2008年度から健康保険組合に義務付けられる、メタボリック対策の健診も担当する「ドクター内山」が、長年の臨床や製薬企業の医療コンサルタントとしての経験を元に健康維持のための様々な情報を気軽に書き綴るブログ

2014年の総括

今年もあっという間の1年でした。昨年のお正月がつい先週くらいの感覚です。
先日の誕生日で私もついに60歳、還暦となりました。お祝辞をいただきました皆様に
改めて御礼を申し上げます。

昔の還暦というとすごい老人のように感じていましたが、いざその年になってみると
まだ40歳代とあまり変わらない感覚です。とはいえ人やものの名前が思い出せなかったり、
短期記憶もメモリーの容量が減ったりと多少は老いを感じてはます。

さて2014年のできごとで私の中で最も印象深かったひとつはSTAP細胞騒動でしょうか。
最初は単に熱処理すると細胞が先祖返りしていろいろな細胞に分化する能力を
取り戻すということで、夢のような話と驚きましたが、結局その後様々な、
研究者にあるまじき行為が明るみに出て最終的に論文取り下げ、再現実験も
ネガティブな結果で終わったようで、あの騒動は何だったのかという感じです。

ある現象を説明するためには「仮説」が必要になります。
その「仮説」が正しいかどうかを証明するために実験を行います。
しかし最初に考えた「仮説」通りに実験結果が出ることはほとんどありません。
そうすると最初の現象と実験結果の間をつなぐ別の「仮説」が必要となります。

新たな発見というのはこうした実験と検証の積み重ねで矛盾のない説明が
できて始めて公になるものです。たとえば自分自身の立てた仮説に反するような
実験結果が出たとき、元の仮説に無理矢理つじつまを合わせるような解釈をすると、
それに都合のよいデータだけを拾ってきて仮説を組み立てるようになります。
そうすると必ずどこかに矛盾が生じてつじつまが合わなくなるのです。
ちょうどジグゾーパズルの1ピースを合わないところに無理矢理はめると
後で完成できなくなるのと一緒です。

とはいっても世の中で出回っている情報のほとんどは仮説の域を出ていません。
特に健康や栄養に係わるものは仮説だらけと言っても過言ではありません。
これは検証のための実験を行うことが極めて困難だからです。テレビの健康番組で
次から次へと異なる情報が出てくるのはこのためです。たとえばちょっと前まで
20分以上連続して運動しないと脂肪は燃焼しないといわれていました。
しかし厳密に臨床試験を行ってみると、運動の最初から脂肪は使われていることが
わかりました。もちろん運動の初めに使われるのは糖分が主体なのは変わりがなく、
ただ20分以上運動して筋肉内の糖分が枯渇してきてはじめて脂肪が使われるという
話の方が「仮説」としてはきれいでわかりやすいため、それが一般化したのでしょう。

ところが実際はそうではなく、小刻みな運動でも十分脂肪は燃焼するとなったわけですが、
もしかしたらこの説にしてもこの先別の実験結果が出た途端に間違った仮説でした、
となってしまうかも知れません。

そんなことをいったら何を信じてよいかわからない、と怒られそうですが、
現実の科学のレベルとはその程度なのです。ですから科学の限界をよくわきまえた上で、
現在得られる情報の中で最も正しい思われる情報を選択してそれを実行するしか
ありません。その意味ではしっかりした指導者について指導を受ける中で、
『自分に合っているものを自分自身が見つけて行んだ』、という気概が大切になります。

もう一つ印象に残ったものとしては、手前味噌で恐縮ですが、遺伝子ダイエットが
話題になり、いくつかのマスメディアに取り上げていただいたことです。

3月にBLENDAという女性誌にダイエット情報として一般の方からの素朴な疑問と情報の真偽についての特集がありました。
◆雑誌「BLENDA」(2014年3月発売)
http://www.metabo-help.com/0060/0061.html#1403_blenda

また同じく3月にシティリビング誌で女性のかくれ肥満について、さらに3月に
HANAKOの通常版と5月に特集号のカラダ企画書で遺伝子ダイエットについて
特集していただきました。

◆2014年3月シティリビング掲載
http://www.metabo-help.com/0060/0061.html#1403_cityliving

◆2014年5月15日発売のHanako特別編集「カラダ徹底メンテBOOK」掲載
http://www.metabo-help.com/0060/0061.html#1405_hanako

同じく3月にTBSのスゴ腕専門外来スペシャルで、特殊外来として遺伝子ダイエット外来を
取り上げていただき、その後かなりたくさんの方が当院へ来院されました。

11月には「日経朝とく」というテレビ東京系BS放送の朝のニュース番組で
メタボ特集として4日間、鶴田真子とともにメタボの原因から栄養指導を含む治療までを
解説させていただきました。

前段で科学は仮説だらけというお話をしたばかりですが、そんな中でも可能な限り科学に
基づいた信頼できる情報をわかりやすくお届けしようと努力しております。

2014年ももうすぐ終わりますが、2015年も皆様に取りましてよい年になりますよう
祈念申し上げます。くれぐれも正月太りにはご注意を。
来年もどうぞよろしくお願い致します。

2014/12/25 16:26:30 | コメント (0) | トラックバック (0)

「先制医療」とは何か?


先日、ある会合で井村裕夫先生とお話しする機会がありました。
井村先生は京都大学総長や先端医療振興財団の理事長などを歴任された著名なドクターです。
井村先生には、私が評議員を務める製薬医学会(薬を作り育てていくということを、医学の専門領域の
ひとつとして推進している学会)の関係で、たいへんお世話になっています。

井村先生のご専門は内分泌代謝なので、今アーテイジで積極的に進めている遺伝子検査から
食事栄養指導、肥満対策を行うというお話しをしたところ、たいへん興味を持っていただき、同時に
井村先生が中心にまとめられた、今後の新しい医療のあり方として「先制医療」というアイデアを教えて
いただきました。

今回はちょっとその「先制医療」について書いてみようと思います。

アーテイジはアンチエイジングの技術開発をめざそうとスタートした会社です。
ところが、最近「アンチエイジング」という言葉が世の中に広まったのはよいのですが、どちらかというと
見た目の若さということが中心になって、美容やエステ業界でよく使われる単語になってしまい、
ちょっと体全体の、「健康のためのアンチエイジング」という意味合いがずれてしまいました。

かといって昔から使われている「予防医学」という言葉も、健康診断、人間ドックを想像させる言葉として
定着しており、アーテイジがめざすところとはちょっとしっくりこないような気がしていました。
そこでもっとぴったりした言葉はないかと探していたところ、井村先生の提唱する「先制医療」という言葉に
出会ったわけです。

先制医療は井村先生を中心に科学技術振興機構、研究開発戦略センターのメンバーによって
まとめられた概念で、遺伝子検査やバイオマーカーという体の反応や病気のわずかな変化を捉える
指標とか画像診断などを使って、病気の本体をいち早く捉え、病気が表に出ないうちに抑えてしまおう
という医療です。
先制医療
(図:「超高齢社会における先制医療の推進」   
独立行政法人科学技術振興機構研究開発戦略センター 

政府の発信する提言にもこの「先制医療」は盛り込まれています。
私も大学や製薬企業で新薬の開発に長年従事してきましたが、やはり病気が一端表に出てしまいますと、
最新の医薬品を持ってしても、それを元に戻すことはほとんど不可能、というのが実感です。

もちろん病気の治療のために薬は重要な存在ですし、その薬をつくることに大いなる努力を払ってきた
わけですが、多くの薬は病気を安定させることにとどまり、決して元の健康状態に戻してくれるわけでは
ないのです。特に慢性の病気はそうです。

みなさん薬を飲めば病気が治ると考えているかもしれませんが、治療と言っても病気を治すのではなく、
病気がそれ以上悪くならない、病気の進み方を遅らせる、という程度のことがせいぜいです。

たとえば私が開発に携わった薬剤のひとつにアルツハイマー病の薬があります。
自分自身もこの薬はすばらしい薬だと思っていますが、それでも病気の進行を6ヶ月程度遅らせることが
精一杯です。

また最近では、進行した乳ガンに対する抗ガン剤で、患者さんが生きることができた期間を数ヶ月程度、
従来の治療より長くすることができたということで、画期的新薬として承認になりましたが、この程度が
現実です。もちろんそれはそれですばらしいことだと思いますが、それよりは病気にならない方がもっと
良いに決まっています。

「先制医療」では、遺伝子検査により、健康リスクをいち早く捉え、バイオマーカーを使って、体で
起きている異常をいち早く捉え、病気を起こす前に病気の芽となるものをつみとってしまうということに
なります。

今の健康保険制度は崩壊の一歩手前と言うくらい逼迫していて、新たな治療法ができても保険が
適応になるまでには多くの時間と財源の確保が必要となります。

また本年3月に起こった大震災では、流通が途絶えて薬剤の供給がストップし、多くの患者さんが
不安の中で過ごしたことは記憶に新しいと思います。
こんな中でみなさんの考え方もだいぶ変わってきたのではないでしょうか。好き勝手な生活をして病気に
なっても、病院で薬をもらえば良いさ、という考え方から、如何に病気にならないように普段の生活に
気をつけることが重要かということを気づかせてくれたような気がします。

みなさん、年をとるとみんな病気になるのだろうと思っていますが、大きな間違いです。
病気になる人は病気になるだけのことを気がつかないうちにやってしまっているのです。

それを気づかせてくれて、生活習慣を修正する方向を示し、あるいは今までの考え方とは全く異なる、
病気になる前に使う薬剤の開発を行っていくことも先制医療(あるいは今後の医療といっても良いかも
知れません)の大きな役割です。

「先制医療」が実現されると、日常生活のどこに気をつけるべきかがわかり、あるいはごく軽い治療法で
病気を防ぐことができるようになるわけですから、生活の質の改善や医療費の削減にも大いに
役立つことにもなります。

もちろん「先制医療」はまだコンセプトができあがってようやく歩み始めたばかりです。
今後更に多くの研究が必要となります。アーテイジでは生活習慣病を中心にその「先制医療」の
技術開発とアーテイジ虎ノ門クリニックでの実践をめざしてがんばっていきたいと思います。


先制医療のイメージ図
(科学技術振興機構研究開発戦略センター「超高齢社会における先生利用の推進」より引用)

2011/10/13 18:22:14 | コメント (0) | トラックバック (0)

ハッピーエイジング ~アンチエイジングとその先へ その3~ 

今回のブログは、エイジングを「悪」と捉えるアンチエイジングという考え方よりは、
むしろエイジングを前向きに捉えるハッピーエイジングということを目指してはいかがでしょうか、というアーテイジからの提案を書いてみました。

日本語で言うなら「抗加齢」から「幸加齢」へ!です。

ではこのハッピーエイジングのために、最も重要なものは何でしょうか。
それは体全体の調和が保たれた状態で年をとっていくことです。
つまり今回のブログシリーズ、“バランスエイジング~アンチエイジングの先へ その1~”を
もっとも重要と考えています。

人は食物を食べてそれを代謝し、体の細胞を作り変えながらも一定の平衡状態を保っています。
この平衡状態の一部が崩れた典型的な病気が生活習慣病といわれる疾患群というわけです。
すなわち一部の臓器だけ加齢が進んでしまった状態です。

たとえばメタボリックシンドロームとその先にある糖尿病、高血圧、動脈硬化などは、
長年の生活習慣から出てきた体の「歪み」が引き起こす病気です。
言ってしまえば一人一人の「癖」が講じて「歪み」が生じ、
ついに病気になってしまったというわけです。

ですからその「歪み」を見つけて「癖」を直さない限り病気そのものも良くなってきません。
「なくて七癖」とはよく言いますが、中でも食事と食行動にまつわる癖は多くあり、
また大きな影響力を持っています。
この癖に気づいて、行動を修正しないと重大な病気が待っていることになります。

ではその癖はどこから来るのでしょうか?
それは私たちの脳の仕組みそのものなのです。
食べるという行動は意識的に行っていると思う方が大半だと思いますが、
実は食事にまつわる行動の多くは無意識の世界に支配されています。

意識に上らない脳の指令が体を動かして食事に向かわせているのです。
もちろんすべてではありません。
あれを食べたい、これを食べたい、ではどれを選ぼうかという段階では
確かにそこには意識があり、意思が働いています。ところが食べたいという食欲、
どんなものが食べたいかなど、意識してコントロールできるものではありません。
ここに問題があります。

実は、食事を減らすダイエットは脳にとっては大いなる脅威となります。
脳は甘いもの、脂っこいものがあるとそれを食べるように指示します。
食後のデザートやハンバーガー、フライドチキンにかぶりつくのは脳のプログラムのためなのです。
そんな脳の基本をわきまえて、行動修正を諮る必要があります。
いわば脳だましのテクニックが必要なのです。

ハッピーエイジングのお話はまだまだ続きます!皆様、お楽しみに。

2010/04/06 17:38:02 | コメント (0) | トラックバック (0)

花伝書:時分の花~アンチエイジングの先へ その2~ 

世阿弥の著した花伝書の中に「時分の花」というのがあります。

これは花伝書の年来稽古条々の二十四五の段にある言葉ですが、
「時分の花を、真の花と知る心が、真実の花に、なほ遠ざかる心なり」。]
つまり若いというだけでもてはやされるのは一時の花であり、これを本当の花と思ってしまうと
真実の花からは遠く離れてしまう、ということです。
また四十四五の段には「このころまで失せざらん花こそ、真の花にてはあるべけれ」ともあります。

年をとってくれば若いころの花はうせてしまいますが、
44、5歳になってなお失せない花は真の花である、といっています。
つまり真の花をもつとは、どんな年齢になっても花を見せることができるということなのです。
これはもちろん能における稽古の心構えについて述べたものですが、
健康のことに置き換えても同じことがいえると思います。

20歳代のころは手入れをしなくたって肌はつやつや、多少無茶しても、
体はちゃんとついてき、ちょっと休めばすぐに回復しました。
しかし30歳代後半、はやりの言葉で言えばアラフォー世代、
そのころになると仕事で徹夜などしようものなら、回復に3日もかかって、
無理が利かなくなったなあ、なんてため息をつくのが普通でしょう。

確かに自分のことを振り返っても、研修医のころなど救急外来とか手術で徹夜になっても、
翌日平気で外来をやれていました。しかし30歳代後半を過ぎるころから、
これがだんだんしんどくなり、結局当直のない仕事ということで、
製薬企業の研究開発の道を選択したのです。
それ以降、医薬品の開発を通して病気の人々をみてきました。
直接患者さんに触れるわけではありませんでしたが、
臨床試験や副作用報告を通して病気の人々を感じてきました。
そこで考えたことは新しい医薬品の開発ももちろん重要ですが、
それより、まだ病気でない人たちを病気にならないようにすることの方がもっと大事なのではということです。

若いころの健康は「時分の花」とわきまえなくてはいけません。
それはいつまでも続かないのです。そして「真の花」、つまりいくつになっても病気にならない体、
これをどうやって作り上げていくのか、それがアラフォー世代の健康管理の課題です。
そして、その方法論の確立をめざしているのがアーテイジです。
病気は病気になってから治療すればよいのではありません。
常に病気の芽(リスク)を探りながら、早め早めに手を打って、
「真の花」を皆様に持っていただきたいと願っています。

2010/03/29 18:48:10 | コメント (0) | トラックバック (0)

バランスエイジング~アンチエイジングの先へ その1~ 

ちょっと前から『アンチエイジング』という言葉をよく耳にするようになりました。

皆さん、『アンチエイジング』をどのように訳するかご存じでしょうか?
答えは、『抗加齢』と訳します。
「抗」は反対する、逆らうという意味ですから、すなわち年をとらないようにするということです。
いつまでも若くいたい、というこのアンチエイジングの発想の原点は年をとることは悪であるというところにあります。

では本当に年をとることは悪いことなのでしょうか?
もちろん年をとってきていろいろな病気が出てくれば、
若いころはよかった、と思うかもしれませんが、では病気にならなかったらどうでしょう?

加齢現象は人を含めてすべての高等生物に起こり、
そしていつの日か個体としては終焉を迎える運命が待っています。

人は生まれたときから死に向かい、死亡率は100%、まさにこれが真実です。

すなわち死というものは遺伝子にプログラムされているのです。
残念ながらこの固体を死に向かわせる遺伝子は完全に特定されたわけではありませんし、
ましてやそれをコントロールする方法など分かっていません。
それは時計の針が元に戻せないのと同じことです。
とすれば川の流れに無理やり逆らうのではなく、加齢を避けがたいものとして受け入れる中で、
体全体をバランスよくエイジングさせてやろうという考え方もあるのではないでしょうか。

私はまさにこの点が重要だと考えています。すなわち『バランスエイジング』です。
生活習慣病は、日常生活のひずみが生み出す病気ですが、
これも臓器の一部分が突出して老化してしまうことが根本原因です。

糖尿病であればインスリン分泌の要である膵臓、さらには血管や神経までも超老化状態となっていきます。
ですからこれを他の臓器と歩調をそろえてエイジングさせてやるようにもっていければ、
体の健康寿命は延びるということです。

このバランスエイジングという考え方について、皆さまはどう思われましたでしょうか。

2010/03/25 15:09:02 | コメント (0) | トラックバック (0)

抗加齢医学(アンチエイジングとは何か?)

抗加齢医学のセミナーに参加してきました。
抗加齢はアンチエイジングと同じ意味です。
アンチエイジングというと外見的な若さの演出というように
一般的には捉えられていますが、
抗加齢医学は加齢のメカニズムを解明して、
寿命そのものを伸ばすことをめざしています。

もちろん寿命が延びても寝たきりになったのでは生活の質が損なわれますので、
最後まで元気でいることが前提です。

このメタボヘルプドットコムのスポンサーである株式会社アーテイジ
アンチエイジングの技術開発をミッションのひとつとして設立されました。
このメタボヘルプサイトは肥満対策の情報発信サイトですが、
なぜそれがアンチエイジングと結びつくのかを説明しましょう。

近年ずいぶん老化のメカニズムが研究され、
興味深い事実がいくつも明らかにされてきています。
その中で、血糖値を下げるホルモンであるインスリン、
エネルギー代謝に係わる体内のシステムが加齢現象と
大いに関与していることがわかってきました。
すなわち日常の食事の取り方、食事の内容が
寿命に関係しているということです。
というわけで、短絡的な言い方をすれば
メタボ対策はすなわち
アンチエイジングにつながるということです。

前置きが長くなりましたが、
今回のセミナーでの話題のひとつはカロリー制限が寿命を延長することです。
人間ではまだ証明されていませんが、ハエ、線虫、ネズミ、
イヌやサルではすでに証明されています。
今まで、なぜカロリー制限をするとこれらの動物の寿命が延びるのか
判りませんでしたが、
最近このメカニズムにサーチュインという物質が
係わっていることが明らかになってきました。
この辺のお話を次回以降解説していこうと思います。

2008/09/16 11:17:58 | コメント (0) | トラックバック (0)

抗加齢医学会より その1ー活性酸素の話

先週末抗加齢医学会が東京で開催されました。
アンチエイジングという言葉はすでによく知られていますが、
外見の若さを保つ事だと理解している人が多いようです。

ところが、いろいろな年齢における体の状態を調べてみると、
一般的に暦の上での年齢より若い状態を保っている人は
外見も若いといえるようです。

この抗加齢医学会はアンチエイジングを
科学的に研究しようという人たちの集まりで、
様々な方面からのアプローチがなされています。

その中での話題をいくつか取り上げていこうと考えています。

今回はカロリー代謝の話。
細胞内でエネルギーを作り出しているのはミトコンドリアという組織です。
このミトコンドリアという組織は太古の昔
別々の単細胞生物が共生していましたが、
いつしか片方の細胞内に居候となり、
エネルギー産生の役割を受け持つようになったと考えられています。
このミトコンドリアの機能が亢進すると活性酸素が産生されますが、
同時に、これを処理するSOD(スーパーオキサイド変換酵素)という
抗酸化酵素が増加します。

逆に、このミトコンドリアの機能が悪いと肥満になってしまいます。

ところで、運動すると酸素を余分に消費しますから、
活性酸素が体内で多く発生します。
だから体に悪いので運動しない、という言い訳をして
運動をさぼっている人がいます。
こんな人に一言。
最近の研究では活性酸素が多く発生するようになると、
このSODなどの抗酸化の機能が上がって、
効率的に抗酸化処理が行えるようになります。

活性酸素は運動以外でも発生し、
これが老化や病気につながるわけですが、
このSODの機能が上がって抗酸化処理がアップすることで
細胞の老化が防げると考えられています。
すなわち運動は若さを保つ方法でもあるわけです。
というわけですので、
みなさん、活性酸素を怖がらずに大いに運動しましょう。

2008/06/12 11:49:59 | コメント (0) | トラックバック (0)

不老長寿は夢物語?

古くは中国秦の始皇帝の時代より不老長寿は夢みられてきましたが、
現在まですべてが夢物語で終わっています。不老長寿のクスリ、
などというと何か錬金術のような類として受け取られてもきました。
ところが近年の医学の進歩により、
老化の仕組みが一部ではありますが明らかになってきています。

またたしかに「長寿の家系」が存在することは事実で、
いくつかの研究成果もでています。それでは、
このような長寿の家系に属していない人たちにとって、
老化はやはり宿命として受け入れなければならないものなのでしょうか?
その答えは「いいえ」。
最近の研究成果によって、そのような長寿遺伝子を持っていない人々も、
老化をある程度コントロールすることが可能になりつつあるのです。

2008/02/10 16:39:05 | コメント (0) | トラックバック (0)

老化のメカニズム

医学的にいうと老化は遺伝子にプログラムされたものであるという説と、
細胞が傷害されその際に起こるエラーが蓄積していくという説があります(注1)。

老化を防ごうとするいくつかの試みは、
例えば老化は酸素による細胞障害であるという説に基づいて
(1) 抗酸化療法(抗酸化ストレス)、老化は体内のホルモン環境の変化であるという説に基づいて、
(2) ホルモン補充療法、老化は免疫力の低下によるという説に基づき、
(3) 免疫強化療法等 があります。

これらに加えて筋力低下を防ぐ「運動療法」、
また心理的な状態を改善し、
老化に対抗していくモティベーションを高める「心理療法」も重要です。

キーワード
注1
プログラム説
老化プログラム:加齢はある遺伝子の連続的なオンとオフによる結果で
老化は年齢由来の障害が実現した時点のことをいう。
内分泌説:生体時計がホルモンを使って
加齢のペースを制御していくという説
免疫説: プログラムされた免疫システムの虚弱化により、
感染症への抵抗性が弱まり加齢と死を迎えるという説

エラー説
摩滅:細胞や組織の主要部分が摩滅していく
活動率:酸素を基礎にした代謝の割合が大きいほど寿命が短いということ
架橋結合: 架橋結合が起こったタンパク質が細胞や組織を傷害し、
生体反応を減弱させる
フリーラジカル:活性酸素による障害が蓄積し、
細胞や臓器が機能停止に陥る
カタストロフィックエラー: タンパク質の生合成機能が障害を受け、
正常でないタンパク質が合成され、
それがあるレベルまで蓄積されると急激に細胞、組織、臓器に致命的障害を与える

突然変異:遺伝子の突然変異が起こり加齢とともに蓄積し、
細胞に劣化と機能不全をもたらす

(以上 American Academy of Anti Aging MedicineのWebsiteより)

2008/02/09 16:31:40 | コメント (0) | トラックバック (0)

アンチエイジングと医療

エピソード:
ある人が検診に行きました。血液検査の結果、血糖値が正常値上限、
しかし他の検査はみな正常範囲。


お医者さんはそんな場合ほとんど「食事に注意してくださいね」
で終わってしまいます。

ちょっと親切なお医者さんなら、
栄養士に食事指導をしてくれるよう依頼します。
でも家に帰ると指導されたカロリーを守るためには、
カツどん1杯お昼ご飯で食べるときも「これ何キロカロリーあるんだろう」
といろいろ気になりいらいらし始めるか、
あるいは1ヶ月もするとどうでもよくなって忘れてしまうかどちらかでしょう。

そしてそのまま変わりない生活習慣を続けているうちに
2年後には胴回りが立派になり、3年後には血糖値が上昇、
正真正銘の糖尿病となって、ここではじめて
お医者さんから抗糖尿病薬を始めとするの各種のお薬(治療薬)をもらったり、
本格的な生活指導を受けることになります。


現在の医療システムは残念ながら、
個別の疾患治療を目的とした治療医学が中心であり、
また健康保険制度も予防ではなく治療を前提にした制度で成り立っているので、
予防的観点から行われる医療は現行のシステムにはなじみません。
すなわちアンチエイジングは、
現行の医療保険制度の枠組みの外で考えなければならないもの、
ということになります。

しかし、本来病気になってからでは遅すぎます。
症状が表面化する前、健康なうちから、
自らの努力で自分に適したアンチエインジングを見つけ、
実行しなければならないわけです。

もっと早い段階でアンチエインジングについて考え、生活習慣を変えることができれば、
冒頭の人物も違った人生を歩めたはずです。

2008/02/07 16:25:17 | コメント (0) | トラックバック (0)

糖毒性とは?

糖分は体にとって大切なエネルギー源で、
余剰な糖はグリコーゲンとして肝臓に貯蔵されます。
しかし貯蔵の容量は小さく、容量を超えると過剰な糖は脂肪に変換され、
脂肪細胞に蓄積されてしまいます。
こうした代謝の過程には、
インスリンという、すい臓から分泌されるホルモンが重要な働きをしていますが、
日本人 は一般的にインスリンの分泌能が悪いため、
血液中に糖が出やすく、血糖値が上昇しやすい傾向にあります。

この血液中の余分な糖は、
たんぱく質と結びついてAGE(advanced glycation end product)という最終産物になり、
これが血管に障害をもたらし糖尿病の恐ろしい合併症につながります。
(たとえば糖尿病の検査でよく使われるヘモグロビンA1Cは、
赤血球中のヘモグロビンが糖化反応を受けて変性したものです。)
戦後の急速な食糧事情の改善によって、私たち日本人は糖分を過剰摂取するようになり、
前述したような代謝過程を経て肥満や糖尿病を招いています。
糖はエネルギー代謝の上で非常に重要である一方、
余分な糖は体にダメージを与えてしまいます。これを糖毒性と呼んでいます。
糖の吸収を抑え、体のすみずみでの糖の利用を促進してやることは、
糖尿病の治療の基本であると同時に、糖尿病の予防やダイエットにも有効です。

2008/02/06 16:15:34 | コメント (0) | トラックバック (0)

ダイエットと生活習慣病予防のカギ

脂肪細胞そのものが、老化を加速させていた!?

太っている人は、そうでない人にくらべて生活習慣病のリスクが高いことはもうご存知ですね。
私たちの体内に蓄えられている脂肪細胞は、
本来エネルギーの貯蔵庫として大切な役割を果たしていますが、
さまざまな生理活性物質(アディポサイトカイン)を分泌していることもわかってきました。
アディポサイトカインの中には善玉と悪玉があり、
脂肪細胞が過剰に増えると悪玉アディポサイトカインが多く分泌されるようになり、
糖尿病や高血圧、高脂血症などのリスクを高めてしまうのです。

代表的な悪玉アディポサイトカインに、「レジスチン」、「遊離脂肪酸」や「TNF‐α」があります。
これらの物質が血液中にたくさんあると、インスリンの働きをさまたげ、
食後に血液中に増加した血糖をうまく処理することができなくなって、
糖尿病を発症しやすくなります。
この他には「PAI-1(パイワン)」があり、血栓を溶かす反応をさまたげ、
血液を固まりやすくします。その結果、脳梗塞や心筋梗塞の発症リスクを高めてしまうのです。
アディポサイトカインの中には、傷ついた血管壁の修復や、
悪玉(LDL)コレステロールの取りこみを抑制してくれる善玉物質もあるのですが、
脂肪細胞が蓄積されるにつれ、分泌が減ってしまうこともわかっています。

このように、ただ太っている(=過剰に脂肪細胞を持っている)だけで、
見ためだけでなく健康の上でも大幅なダメージとなってしまいます。
体の内側と外側の若さをキープするためには、適切なダイエットを取り入れ、
太り過ぎないようにコントロールすることが肝心です。


2008/02/04 17:03:03 | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年2月

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プロフィール

医師、医学博士。メタボリックシンドロームに精通し、大手製薬会社にメタボ体策健康栄養指導を提供。

著作一覧

ラジオ出演履歴(2014~2017)

radio_bn.jpg2017年1月31日(火)
「ノロウィルス」と「インフルエンザ」について
(ベイFM78.0MHz)
radio_bn.jpg2016年11月29日(火)
「インフルエンザ」について
(ベイFM78.0MHz)
radio_bn.jpg2016年8月16日(火)
「夏バテ対策最新情報」について
(ベイFM78.0MHz)
radio_bn.jpg2015年10月6日(火)
「乳がん」について
(ベイFM78.0MHz)
radio_bn.jpg2015年8月18日(火)
「夏バテの時期、気を付けたい病気」について
(ベイFM78.0MHz)
radio_bn.jpg2015年3月3日(火)
「卵子凍結保存」について
(ベイFM78.0MHz)
radio_bn.jpg2015年1月13日(火)
今年1年を健康に過ごすコツ
(ベイFM78.0MHz)

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