2008年度から健康保険組合に義務付けられる、メタボリック対策の健診も担当する「ドクター内山」が、長年の臨床や製薬企業の医療コンサルタントとしての経験を元に健康維持のための様々な情報を気軽に書き綴るブログ

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Always三丁目の夕日を観て・・・

Always三丁目の夕日の3作目が劇場公開となりましたね。
その宣伝かも知れませんが、先日テレビで第2作目を放映していました。
その中で鈴木モーターズの社長(といっても町の修理工場のオッチャンですが)の一家が東京タワーの
展望台に上る場面がありました。
そのとき高所恐怖症であるこの社長が展望台のエレベーターを降りたとき、家族に「おい、そんなに早く
歩くな!傾いて落ちてしまうじゃあねぇか」というセリフがありました。この脚本を書いた人はもしかしたら
自身が高所恐怖症かも知れません。
というのはあり得ないことを想像して不安を増幅していくのは不安発作を持つ人の特徴で、
それをコミカルに良く捉えているからです。

落ち着いてよく考えれば東京タワーの展望台が傾くはずもなく、単なる妄想に過ぎないことはわかる
はずですが、恐怖症のある人はそう考えざるを得ないのです。不安な要素があり得ることもあり得ない
ことも次々に浮かんできて、互いに増幅されしまいには不安でいたたまれない状況に追い込まれるのが
不安発作です。
カウンセリングではなぜ不安なのかを質問してひとつひとつその理由を尋ね、起こりえないことを納得
してもらって不安を解いていきます。

肥満の方もこれに似た現象を起こします。
食べ物と心理状態が強く結びついている人がいて、不安な状態になると食べ物に手が伸びるのです。
特に甘いものが食べたくなります。また逆に空腹になると不安になることもあります。
お腹が空くと眠れなくなるというのもこれに近いものです。ある程度食べて満腹になったり、甘いもので
しっかり血糖値が上がったりすると一段落して不安な状態が解消されます。
おそらくこれは食べるという行為によりそちらに集中するため不安の増幅が途切れたり、血糖値が
上がり脳内の報酬系が働くことによって、不安の増幅が終息したりするからと考えられています。

不安の増幅を断ち切る方法のひとつは何も考えないことです。
不安はあれこれ考えることによって増幅されるため、何も考えない訓練をするのです。
ヨガでよくやる瞑想は何も考えない訓練としてよい方法です。座禅を組んで(普通のあぐらでも
よいですが)、深くゆっくり呼吸して浮かんでくる雑念をひとつひとつ消していきます。

ダイエットを始めた初期は空腹を感じないように食事配分をしても空腹を感じてしまうことがあります。
そんなときにこの瞑想は役に立ちます。これはS脳、Q脳の存在を意識して、客観的に自分自身を
見つめることによってダイエットを行うQ脳ダイエットの強化方法のひとつでもあります。

Always三丁目の夕日の映画が映し出す昭和30年代は、ちょうど私も映画に出てくる子供達と同じ
年代です。確かにそんなに豊かな時代ではなかったように思います。
でもなぜかみんな活気に満ちて幸福だったようにも思います。こんな風にノスタルジーを感じることも
脳と心の健康に役立ちます。
Always三丁目の夕日の映画を観てそんなことを感じたのでした。

2012/01/24 10:09:27 | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年を占う手相の話

2012年、明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い致します。
sinnen.jpg

私は年末からお正月にかけてテレビづけのお休みでしたが、皆様は如何でしたでしょうか。
お正月の番組は、ほとんどがバラエティやお笑い番組でしたが、出演する芸人さんたちが提供する
笑いにもいろいろな種類がありますね。
絶妙な話し方で出演者から笑えるネタを引き出す、見ている人たちに共感を与えて自然な笑いを
誘うすばらしい芸人さんがいる一方、下品なネタや単におかしな格好をして失笑をかうだけの芸人さんと、
人を喜ばせることにも才能の違いをつくづく思い知らされました。

さて今回の話題は、芸人さんやタレントさんの才能と手相が関係あるのではないかという話です。
お正月番組で最近大人気の芦田愛菜ちゃんという子役の手相を占っていた番組がありました。
私自身、手相に詳しいわけではありませんが、彼女の手相は感情線と知能線が一直線になった、
いわゆる手相用語で「ますかけ」という手相だそうです。
このますかけ線を持っている人は強い運勢の持ち主だとか、天下取りの才能があるとか手相の上では
いわれているようです。
tesou.jpg

手相で見る掌のしわは、指の関節が曲がりやすいようにできる皮膚の溝にすぎませんので、
これでなぜ人生が占えるのかと疑問に思ったことはありませんか?

実は手のしわにも遺伝が関係しているようで、その人の持って生まれた才能などとの関係が
経験的知識として積み重なったのが手相なのかも知れません。さて芦田愛菜ちゃんの手相で
特徴的なこのますかけ線ですが、チンパンジーなどの類人猿の手は皆これです。
そのためSimian crease(猿手皺)といわれています(この言葉は差別的な語感があるので、
あまり用いられなくなっています)。
またこの手相はダウン症やその関連の染色体異常の人にも特徴的に見られます。
ダウン症のお子さんは知能の発育遅延や特徴的な顔つきがありますが、いつもにこやかで人を
楽しくさせる性質があります。そのためelfin smile(妖精の微笑)とも呼ばれています。

もちろん芦田愛菜ちゃんはダウン症ではありませんし、このますかけ線という手相を持っているから
ダウン症を心配するというものではありませんので、誤解の無いようにお願いします。
ただ興味深いことにこのますかけ線は遺伝的要素が強いらしく、この手相を持っている人は
両親のどちらかが同じ手相である確率が高いようです。また同じ番組中で芸能人にはこの手相の人が
多いようで、たとえば明石家さんまさんもこの手相であると紹介されていました。

手相と才能との関係や、ダウン症だとなぜこのますかけ線になるのか、などまだわかっていないこと
だらけですが、色々と総合してみると、この手相を持っている人は人を楽しくさせたり、人を和ませる
すてきな微笑をもっていたりといった才能があるのかもしれませんね。

ということで2012年が笑いの絶えない幸せな年になりますように願っております。

2012/01/05 11:57:11 | コメント (0) | トラックバック (0)

クスリの幻想 その4 -薬の副作用で悩まないために-

今回は第4回目のおくすり講座となります。

◆クスリの幻想 -その1 薬のタネ-
http://www.metabo-help.com/drblog/0004/1_7.html

◆クスリの幻想 -その2 大きな誤解-
http://www.metabo-help.com/drblog/0004/2_7.html

◆クスリの幻想 -その3 薬の効果と副作用-
http://www.metabo-help.com/drblog/0015/3_8.html

クスリ

日本人は薬好きの国民として知られています。何かというと薬に頼る傾向があります。
風邪など1~2日ゆっくり寝ていれば症状は良くなるのに、薬局で市販薬を買って飲み、
良くならないからとクリニックに行って医療用の医薬品を処方してもらいます。

「医師なのにどうしてそんなことを言うの?」と仰る方もいらっしゃるかもしれませんが、
よく考えてみてほしいのです、薬には必ず副作用があります。良いことばかりではありません。
むしろ効きめが強い薬ほど副作用も強いと言えます。
ですから本来は、よほどのことがない限り、薬など飲まない方が良いのです。
これが薬の開発や販売後の安全管理に長年携わってきた者としての正直な感想です。

もちろんすばらしい薬も数多くあります。
ただそのすばらしい薬が使い方を間違えると凶器になってしまうのもまた真実です。
ちょっと想像してみてください。あなたがかかっているお医者さんが実は薬のことをよく知らずに
薬を処方しているとしたらあなたはどうしますか?あなたの主治医はほんとうに大丈夫ですか?

医療用の医薬品には必ず添付文書といういわゆる薬の取扱説明書がついています。
ここには国によって承認された内容が書かれています。その薬が使われるべき病気の種類、使い方や
量(用法、用量といいます)、使ってはいけない場合はどんなときか、どんな副作用が出るのか、
他の薬と飲み合わせはどうか、国の承認にあたってその根拠とした臨床試験のデータなど盛りだくさんの
内容になっています。この添付文書をきちんと読めば、その薬のことはだいたいわかります。

ただ一般的に家電製品などでもそうですが、取扱説明書は読みにくい、わかりにくいのが通例で、
添付文書もご多分に漏れません。ですから多くのお医者さんは添付文書を読んでくれません。
製薬企業はこの添付文書の内容を作るために10年以上の歳月と数百億円の費用をかけているのに、
です。

薬剤師さんはもちろん薬のことが専門ですからちゃんと読んでくれます。
でも実際に処方箋を書くのはお医者さんで、お医者さんには添付文書で規定されている用法や
用量以外の内容で処方しても、その患者さんの治療に役立つのであれば良い、ということになっています。

もちろんこれは患者さんにその旨きちんと説明して、納得していただくことが前提ですが。
ですから薬剤師さんもうかつにこの処方は間違っていますとは言えないのです。
これが時々副作用の悲劇を生みます。

薬の副作用には2つの種類があります。
ひとつは薬の本来持っている作用が期待以上に強く出てしまう場合(A型:Augmentedといいます)、
もうひとつは全く予想できなかった作用が出てしまう場合(B型:Bizarreといいます)です。

A型の副作用は動物実験の段階、臨床試験の段階でだいたい症状や所見が現れるので、
添付文書にしっかり記載されています。
しかしB型はいつ、どんなときに、どんな人にでるのか皆目見当がつきません。
ですからBizarre(異様なといった意味)というのです。この典型的なものが薬疹やアナフィラキシーという
アレルギー反応です。薬の飲み合わせで出てくる副作用は、大抵はA型です。
A型の副作用は早く気がついて薬を止めれば事なきを得ますが、本来の病気が悪化したのではと
逆に用量を増やしてしまう場合やその症状を抑えようと別の薬剤を追加して返ってひどくしてしまう
例などがあります。
出ている症状が病気の症状なのか薬の副作用なのかはなかなか判断が難しいのですが、
薬の副作用を疑う大原則が2つあります。

1. 新たに出た症状と薬の服用という時間的関係があること。
これは今までの病気の症状とは異なる症状が出た場合、その症状が出る前に薬を飲んでいたという
事実があること、さらにその薬の使用を止めたら症状が良くなったという事実があることです。

2. その薬を飲むといつも同じような症状が出ること。
こうなれば犯人は間違いありませんが、いつもそれほど明確にわかるわけではなく、何か関係が
ありそうだね、で終わってしまう事も多いのです。

しかし上記のことからもわかるように、副作用かどうかが一番よくわかるのは、お医者さんではなく
薬を飲んでいるあなた自身です。ですから薬を飲んでおかしいと思ったら上記のことを考えてみてください。

1998年に米国で発表された論文ですが、薬の副作用が原因と考えられる死亡が1994年1年間で
10万人あり、これは当時の死亡者数で言うと第4位の死因であったというたいへんショッキングな
論文でした。だいぶ古い情報ですが、現在でも状況はさほど変わってはいないようで、
日本ではこのような調査はありませんが、似たような状況である事は間違いないでしょう。

高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病はいったんひどくなってしまうと薬が手放せなく
なりますが、薬による副作用も数多く起こっています。
先に書きましたように、副作用かどうかがわかるのは薬を飲んでいるあなた自身です。
薬を飲んでいて何かいつもと違う、何か変だと思ったらすぐにその薬を処方しているお医者さんに
言いましょう。ときどき取り合ってくれないこともあるかも知れませんが、そんなときにはメタボヘルプ.comの
相談サイト
に連絡してください。

2011/12/19 11:14:42 | コメント (0) | トラックバック (0)

世界糖尿病デーにちなんで~糖尿病の正体~


11月14日は世界糖尿病デーでした。
これは糖尿病の全世界的驚異を認知するということで、国際糖尿病連合(IDF)と
世界保健機関(WHO)が定めた日です。
そのシンボルカラーは国連や空を表すブルーですが、個人的にはちょっと違和感があります。
この理由は後で述べたいと思いますが、その前に糖尿病にまつわる数字を少し見てみましょう。

現在世界で推定される糖尿病の患者総数は2億4000万人、そのうち実に380万人以上が
糖尿病関連の病気で亡くなっています。
この数はエイズによる死亡者数と同じくらいです。

かつては贅沢病と言われた糖尿病ですが、実は現在発展途上国で急速に増加しています。
この原因として考えられるのが、ファストフードなどによる安易な脂肪と糖分の過剰摂取による肥満です。

さて日本ではどうかというと、2006年の糖尿病実態調査で糖尿病が強く疑われる人が820万人と
推定され、さらに可能性を否定できない人が1050万人、合わせると1870万人と実に人口の10%を
超える数の糖尿病患者が存在することになります。
一般的に「糖尿病は死なない病気」という認識の人が多いようですが、実は様々な病気を引き起こし、
これが原因で亡くなる人がかなり多いのです。

糖分は体になくてはならない栄養素で、体の中の糖分が少なくなると途端に脳が機能低下して、
ひどくなると脳が活動できなくなり死んでしまいます。
それならその逆の、血液中の糖分が多くなる糖尿病は脳にとって快適な環境なのでは?と考えて
しまいますが、どっこいそうはならないのです。

糖尿病というのは、血液中の糖分が増えてしまう病気です。
これ自体は命に関わるものではないのですが、実は糖分はタンパク質と一緒にいると固く結びついて、
タンパク質の代謝を邪魔するようになります。
たとえば生クリームのケーキなど放っておくと自然に黄色に色づいてきますが、これは糖とタンパク質が
結びついて変質してしまった証拠です。これをメイラード反応と言います。
このメイラード反応がまず手足の末端や体内の臓器の末端の毛細血管というところで起こってきます。
そうなると毛細血管が固くなったり詰まったりして、細胞に十分な酸素や栄養を送れなくなるのです。
これが糖尿病の一番怖いところです。

つまり糖尿病になると、毛細血管がダメになり、手足や臓器が酸素不足、栄養不足から腐ってしまう
ことになるからです。
たとえば眼の毛細血管がやられれば、糖尿病性網膜症として視力が落ちてきますし、腎臓の
毛細血管がやられれば糖尿病性腎症といって、血液透析をしないと生きていけなくなるという状態に
なります。

メタボヘルプ.comのデトックスのおはなしにも書きましたが、血液透析を受けるようになった原因として
現在最も多いのは糖尿病です。
もちろん太い血管もそのうち同じようなことが起こってきますので、動脈硬化が進行し心臓の血管が
詰まれば心筋梗塞、脳の血管が詰まれば脳梗塞、手足の血管が詰まれば末端壊死となり、
切断しなければいけなくなる事態にもなります。

このように見てくると糖尿病はじわじわと人を死に追い込んでいく恐ろしい病気であることがわかります。
手足の毛細血管がやられて、末端まで血液が十分回らなくなると足や手の指先が冷たくなったり、
青白くなったり(そのうちに赤黒くなります)、しびれが出たりします。
糖尿病デーのシンボルカラーが青いのは、この手足の循環が悪くなった状態を想像させるので、
個人的には好きになれません。もっと暖かみのあるオレンジ色などが良いのでは思っているのですが。

血管はまわりの温度や様々な環境で広がったり縮んだりしています。
これを支配しているのが交感神経・副交感神経ですが、もう一つ、「一酸化窒素(NO)」という
物質があります。一酸化窒素が血管の細胞で作られると、その刺激で血管が広がるのです。
これにはアルギニンというアミノ酸が使われます。

アーテイジ株式会社のホームページをご覧いただくと、「ヘルシフィート」というクリームが掲載されています。

ヘルシフィートクリーム

このクリームは、アルギニンを皮膚から吸収させてやることにより、
アルギニン⇒一酸化窒素⇒血管拡張という仕組みを利用して、血管を広げて循環を良くする
クリームです。
米国で糖尿病の患者さん向けに開発されたもので、手足が冷える、しびれる,傷が治りにくいという
症状を改善するクリームです。
もちろん毛細血管が広がるので、手足が冷える冷え症の方に使っていただいても改善が期待できますので、是非お試しください(ちょっと脱線して宣伝になってしまいました)。

このように糖尿病は怖い病気のひとつですので、しっかり治療する必要がありますが、
糖尿病があるのにまだ治療していないという人もかなり多いようです。
治療には様々な薬がありますが、まず食生活や生活習慣を改善して、肥満をなくすることが基本です。

あまり進行しないうちでしたら、生活習慣の改善だけで元に戻ることも可能です。
健診などで「まだ大したことはありませんが、ちょっと糖尿病の気がありますね」、といわれたら、
安心せずにしっかりと生活習慣を見直すという治療を始めましょう。これも立派な治療です。

アーテイジ虎ノ門クリニックでは糖尿病の生活習慣改善指導も行っていますので、興味のある方はご連絡ください。

2011/11/16 19:02:55 | コメント (0) | トラックバック (0)

「先制医療」とは何か?


先日、ある会合で井村裕夫先生とお話しする機会がありました。
井村先生は京都大学総長や先端医療振興財団の理事長などを歴任された著名なドクターです。
井村先生には、私が評議員を務める製薬医学会(薬を作り育てていくということを、医学の専門領域の
ひとつとして推進している学会)の関係で、たいへんお世話になっています。

井村先生のご専門は内分泌代謝なので、今アーテイジで積極的に進めている遺伝子検査から
食事栄養指導、肥満対策を行うというお話しをしたところ、たいへん興味を持っていただき、同時に
井村先生が中心にまとめられた、今後の新しい医療のあり方として「先制医療」というアイデアを教えて
いただきました。

今回はちょっとその「先制医療」について書いてみようと思います。

アーテイジはアンチエイジングの技術開発をめざそうとスタートした会社です。
ところが、最近「アンチエイジング」という言葉が世の中に広まったのはよいのですが、どちらかというと
見た目の若さということが中心になって、美容やエステ業界でよく使われる単語になってしまい、
ちょっと体全体の、「健康のためのアンチエイジング」という意味合いがずれてしまいました。

かといって昔から使われている「予防医学」という言葉も、健康診断、人間ドックを想像させる言葉として
定着しており、アーテイジがめざすところとはちょっとしっくりこないような気がしていました。
そこでもっとぴったりした言葉はないかと探していたところ、井村先生の提唱する「先制医療」という言葉に
出会ったわけです。

先制医療は井村先生を中心に科学技術振興機構、研究開発戦略センターのメンバーによって
まとめられた概念で、遺伝子検査やバイオマーカーという体の反応や病気のわずかな変化を捉える
指標とか画像診断などを使って、病気の本体をいち早く捉え、病気が表に出ないうちに抑えてしまおう
という医療です。
先制医療
(図:「超高齢社会における先制医療の推進」   
独立行政法人科学技術振興機構研究開発戦略センター 

政府の発信する提言にもこの「先制医療」は盛り込まれています。
私も大学や製薬企業で新薬の開発に長年従事してきましたが、やはり病気が一端表に出てしまいますと、
最新の医薬品を持ってしても、それを元に戻すことはほとんど不可能、というのが実感です。

もちろん病気の治療のために薬は重要な存在ですし、その薬をつくることに大いなる努力を払ってきた
わけですが、多くの薬は病気を安定させることにとどまり、決して元の健康状態に戻してくれるわけでは
ないのです。特に慢性の病気はそうです。

みなさん薬を飲めば病気が治ると考えているかもしれませんが、治療と言っても病気を治すのではなく、
病気がそれ以上悪くならない、病気の進み方を遅らせる、という程度のことがせいぜいです。

たとえば私が開発に携わった薬剤のひとつにアルツハイマー病の薬があります。
自分自身もこの薬はすばらしい薬だと思っていますが、それでも病気の進行を6ヶ月程度遅らせることが
精一杯です。

また最近では、進行した乳ガンに対する抗ガン剤で、患者さんが生きることができた期間を数ヶ月程度、
従来の治療より長くすることができたということで、画期的新薬として承認になりましたが、この程度が
現実です。もちろんそれはそれですばらしいことだと思いますが、それよりは病気にならない方がもっと
良いに決まっています。

「先制医療」では、遺伝子検査により、健康リスクをいち早く捉え、バイオマーカーを使って、体で
起きている異常をいち早く捉え、病気を起こす前に病気の芽となるものをつみとってしまうということに
なります。

今の健康保険制度は崩壊の一歩手前と言うくらい逼迫していて、新たな治療法ができても保険が
適応になるまでには多くの時間と財源の確保が必要となります。

また本年3月に起こった大震災では、流通が途絶えて薬剤の供給がストップし、多くの患者さんが
不安の中で過ごしたことは記憶に新しいと思います。
こんな中でみなさんの考え方もだいぶ変わってきたのではないでしょうか。好き勝手な生活をして病気に
なっても、病院で薬をもらえば良いさ、という考え方から、如何に病気にならないように普段の生活に
気をつけることが重要かということを気づかせてくれたような気がします。

みなさん、年をとるとみんな病気になるのだろうと思っていますが、大きな間違いです。
病気になる人は病気になるだけのことを気がつかないうちにやってしまっているのです。

それを気づかせてくれて、生活習慣を修正する方向を示し、あるいは今までの考え方とは全く異なる、
病気になる前に使う薬剤の開発を行っていくことも先制医療(あるいは今後の医療といっても良いかも
知れません)の大きな役割です。

「先制医療」が実現されると、日常生活のどこに気をつけるべきかがわかり、あるいはごく軽い治療法で
病気を防ぐことができるようになるわけですから、生活の質の改善や医療費の削減にも大いに
役立つことにもなります。

もちろん「先制医療」はまだコンセプトができあがってようやく歩み始めたばかりです。
今後更に多くの研究が必要となります。アーテイジでは生活習慣病を中心にその「先制医療」の
技術開発とアーテイジ虎ノ門クリニックでの実践をめざしてがんばっていきたいと思います。


先制医療のイメージ図
(科学技術振興機構研究開発戦略センター「超高齢社会における先生利用の推進」より引用)

2011/10/13 18:22:14 | コメント (0) | トラックバック (0)

地球リズム

先日開催された第54回日本糖尿病学会(5月19〜21日,札幌市)に北海道を代表する人として
脚本家の倉本聰氏が招待講演を行ったという記事が、ある医師向けサイトに掲載されていました。
興味深い記事でしたのでちょっと引用してその所感を述べたいと思います。

今回の東北大震災と福島原発の事故をみて、倉本氏は日本の歴史における「第3の敗戦」と位置づけ、
この復興には既成概念の転換が必要としました。それは特に豊かさの象徴として電力があり、
原子力発電があればこそ実現できた豊かさ、今後は今と変わらぬ生活を求めるのであれば原発は
必要だし、今回以上の災害が起こることを覚悟しておかなければならない。
そうではなく、原発が必要なくなるようなもっと質素な暮しに戻るべきだという主張であったと
いうことです。
倉本氏は自身の作である「北の国から」を引用しながら以下のように発言されたとのことです。

「都会から電気も水道も通っていない富良野に移住した兄妹が『電気がなければ
暮らせませんよ。夜になったらどうするの?』と父に聞くと,父は『夜になったら
寝るんです』と答えた。夜は本来寝るものだった。
それを明るくするために電気が発明され,今はそれがまぶしいくらいに夜を圧してしまった。
ぼくが富良野に移住して初めての夜,手のひらすら見えない闇の中で熊とお化けにおびえ,
一睡もできなかった。
このまま闇が続くのではないかと考えていたところ,鳥の声がかすかに聞こえ,
シュラフからおそるおそる首を出してみると,森に光が差し,やがて太陽が上がってきた。
そのとき,太陽の光がこんなにありがたいものだったのかと気付くと同時に,それを
すっかり忘れていた自分にがくぜんとした。
本来,われわれは光と熱を太陽から得ていたが,その根源を忘れ去っていたのだ。
当たり前過ぎることは忘れてしまう。呼吸もそうだろう」

このような原始に戻る生活をしたいとは自分自身思いませんが、少なくとも非常に重要なことを提示してくれていると思います。
便利さ、豊かさの中で、人はサボることを憶えました。ただその豊かさは人が作り出した幻想かも知れません。

このお話を読んで、「地球リズム」という言葉が思い浮かびました。
地球は多くの生命をはぐくんで、それらの生命体は地球全体としてつながっています。
地球上にあるほとんどすべての生命体は地球のリズムで動いていますが、唯一人類は自分たちのリズムで動こうとしています。
地球のリズムから外れることは大きなエネルギーを必要とします。
都会では夜になっても電気のおかげで昼のように明るい世界が実現できています。
暗くなったら寝る、という地球リズムが完全に無視され、その分余分なエネルギーが
使われているわけです。

これは今に始まったわけではなく、古代においては火のエネルギー、産業革命では熱と水蒸気の
エネルギー、もっとも最近が電気エネルギーです。このような巨大なエネルギーを浪費することを
憶えた人類は、地球を疲弊させ、また人自身も体の中で大きなストレスを抱え込むことになったのです。

たとえば肥満もそのひとつです。エレベーターやエスカレーター、自動車と便利なものを作り出し、
エネルギーをそこで使って、自分自身ではその分サボる。消費していないのだから、摂取する
エネルギーをもっと削減しないといけないのに、そちらの方はせっせと過剰に食べてしまう。

そしてその余剰エネルギーが脂肪としてたまるというわけです。そうしてメタボになって、
さらに高血圧、糖尿病、心筋梗塞、脳卒中で早死にしてしまう。
そうすると最近のエネルギー節約は自分の健康のためでもある、ということなのですかね。

皆さんで一緒にがんばりましょう。

2011/06/06 09:24:10 | コメント (0) | トラックバック (0)

エイズのはなし -その4-

今回はこのシリーズの最後で「抗エイズ薬の開発」についてです。

エイズのおはなしも第4弾となりましたが、皆様エイズ感染の仕組みはご理解頂けたでしょうか。ちょっと複雑ですが、これがウイルスというものです。

ウイルスは生物と無生物の間の存在ですが、そのようなものでも自分が生き残っていくために、こんな巧妙な仕組みをもっているのです。

ちなみに補足ですが、インフルエンザウイルスもRNAウイルスなのですが、ウイルスが乗っ取る相手は免疫細胞ではなく、喉や気管支の粘膜細胞です。

また逆転写酵素を使ってDNAを作ることはなく、RNAから直接メッセンジャーRNAを作って
タンパク質を合成します。ですから感染してすぐにウイルスの増殖が始まり、症状が出ます。
同じRNAウイルスといっても様々な種類があるのです。

さて、本題に戻りますが、もしみなさんが抗エイズウイルス薬を作るとしたら、どんな作用を持った薬剤を作りますか?
クスリづくりで大事な点は、人の正常な細胞では使われていないシステムを見つけ出して、
そこを邪魔する薬剤を作れば安全で効果的な薬剤が作れます。
病原菌やウイルスはヒトの細胞にはない、特徴的な酵素やタンパク質がありますので、
そこをブロックしてやればよいわけです。正常な細胞の活動に必要な酵素を邪魔する薬剤ですと、
正常細胞も影響を受けて、副作用が多発することになります。

前回のお話しで、まずエイズウイルスに特徴的な点は「逆転写酵素」です。
これはほとんどウイルスにしか存在しない酵素ですので、抗エイズウイルスとして最初にできた薬剤も
この逆転写酵素阻害剤(阻害剤というのは酵素の働きを邪魔する薬剤という意味です)でした
(薬剤名:レトロビル、ヴァイデックス、ザイアジェン等)。

ところがこの薬剤を使っていくと、ウイルスもその薬剤に耐性(薬剤に対して抵抗性ができ、
薬剤が効かなくなること)を持つようになってしまいました。化学構造を変えた逆転写酵素阻害剤も
数種類作られましたが、そのたびに耐性ウイルスが出現することになりました。

次に考えられたのがエイズウイルスの別の特徴であるプロテアーゼ阻害剤でした。
これは前回のお話しで、ウイルスDNAからタンパク質がひとつながりの長い鎖として作られて、
それがプロテアーゼにより切り出されてエイズウイルスの部品が作られます、というお話しをしましたが、
このプロテアーゼを阻害する薬剤ができました(薬剤名:クリキシバン、ノービア、カレトラ、レキシバ、
プリジスタ等)。さらにこれらの逆転写酵素阻害剤とプロテアーゼ阻害剤とを組み合わせた、
多剤併用療法が有効なことがわかりました。

すなわちエイズウイルス産生のはじめと終わりを邪魔することにより、エイズの治療効果は
劇的に改善したのです。
それまでエイズを発症して免疫不全になって多くの患者さんが亡くなられていましたが、
この逆転写酵素阻害剤とプロテアーゼ阻害剤を組み合わせたHAART療法
(Highly Active Anti-Retrovial Therapy)ができてから、エイズが発症しない程度に、
ウイルスが増えるのを抑えることができるようになったのです。

しかしまだ耐性ウイルス出現の問題が残されています。
今まで使っていた薬剤が次第に効かなくなって、次々薬剤を変えていくというのが現状です。
最近では新しい作用の薬剤として、エイズウイルスDNAをT細胞DNAに組み込むために必要な、
インテグラーゼという酵素を邪魔するインテグラーゼ阻害剤が開発されました(薬剤名:アイセントレス)。

またエイズウイルスがT細胞にとりつくときに、CD4といっしょにくっつくことが重要なCCR5という
タンパク質がありますが、そこがくっつかないようにするCCR5阻害剤も
開発されています(薬剤名:シーエルセントリ)。次々に新しい薬剤が開発されていますが
、耐性ウイルスとの追いかけっこのような状況です。まだウイルスを完全に駆逐するまでには
至っていません。
エイズのはなし -その4-

最初にご紹介させていただいた中村キースへリング美術館でのエイズキャンペーンでも、
エイズ患者さんの手記の朗読がありました。いつか耐性ウイルスばかりとなり効く薬剤が
無くなったときの恐怖ですとか、抗エイズ薬での副作用に苦労されているお話しですとか、
つらい心情が直接伝わってきました。今回の4回シリーズでエイズウイルスの正体をご理解頂き、
まだ解決されたわけではないエイズやエイズウイルス感染症に今一度、
関心を持って頂ければ幸いです。

2011/04/20 12:59:31 | コメント (0) | トラックバック (0)

「企業変革」と「ダイエット」の共通点?!


「企業変革」と「ダイエット」、ちょっと似ても似つかぬ2つのテーマですが、
意外に多くの共通点があります。
私は現在、製薬企業の業務改革などのコンサルティングも手がけているので、
今回はそんな二つのテーマの共通点を探ってみました。

まず1つ目の共通点としては、『明確なメッセージ』でしょうか。

会社で組織を変革するときには変革の先導役が必要です。
それは必ずしもカリスマ的リーダーである必要はありません。
わかりやすいメッセージで「変わらなければいけない!」と
多くの人が「腑に落ちる」戦略、それがあれば、会社は変革に向かって動いていきます。

組織改革は失敗することも多いですが、失敗理由の多くは変革の裏に隠された意図と
表向きのメッセージが食い違っていることです。
それが簡単に見透かされてしまうので、「そんなこと言っていても本当はこれが目的でしょう」といった
白けた雰囲気になってしまい、社員は変革を本気で受け取らなくなるのです。

ダイエットも似たようなところがあります。
ダイエットも体にとっては一種の変革です。体は会社の組織と同じように、
各臓器が調和を取って働いています。
しかしいつの間にか、脂肪が余分にたまる方向に各臓器が働いた結果肥満となるわけです。

それは倒産する企業とよく似ています。
過去に倒産した企業の共通点を見ると、例えば、山一証券では現場で多くの無駄が
発生しているのに、組織の責任者はいっさい指示を出さない。
あるいは自分たちに都合のよい理論がまかり通って、顧客に必要なものは何かという
視点が見失われ、ついには顧客から見放されてしまう。
気がついたときには借金がかさんで債務超過となり、
倒産ということになってしまったわけです。
最近では日本航空もそうですね。
社内の論理が世間一般の常識から外れてしまった結果ともいえるでしょう。

肥満も全く同じです。
こんな脂っこい物をたくさん食べていれば肥満になる、と分かっていながら止められない。
テレビを見ながらついポテトチップスやチョコレートに手が行く。
頭でわかっていて何とかそんな癖を直そうとするが、
何かにつけて都合のよい理屈をつけてしまう。
今日はちょっと疲れたからいいだろう、今日はいいことがあったから特別だ、などなど。

そうして次第に赤字ならぬ脂肪がたまって、債務超過すなわち肥満となり、
生活習慣病を発症して、めでたく会社更生法の申請ならぬ医者通いが始まるわけです。

さて、倒産しかけた企業が立ち直るためには、
先に述べた変革に向けたわかりやすいメッセージと腑に落ちる戦略が必要となります。
たとえば日産自動車ではゴーン社長の明確なメッセージと、
いくつかの工場閉鎖による減量作戦という目に見える戦略が功を奏しました。

ダイエットも全く同じです。
ダイエットに向けたわかりやすいメッセージとなるほどと自分で納得出来る戦略、
これが重要なカギとなります。
単にダイエットしようでは、メッセージとして弱いのです。
しっかりと具体的な目標、いついつまでにこうなる、という明確なボディイメージを
持つことが重要です。そしてそれを周囲に宣言します。

拙著、「Q脳ダイエット」でも書きましたが、
指令を出すのはもちろん脳です(Q脳ダイエットで言うところのS脳)。

しかし脳だけがわかっていてもダイエットは成功しません。
同じ脳の中にも抵抗勢力のQ脳があります。そのためQ脳をはじめとして
各臓器が納得してくれるようなメッセージでないといけません。
そして各臓器のことを考えて、バランスの良い食事をするという行動が必要となります。

次に自分だけにしか通用しない理由づけはしないということです。
たとえば今日はちょっと疲れたからといって、
チョコレートケーキを食べているとしましょう。
これはダイエット宣言を聞いた周囲の人間から見たら、理由はどうあれ
おかしいと思うでしょう。さらに無駄の排除。これは会社を建て直す際に、
お金の出入りを厳しく管理するのと同じで、食事量と運動量のバランスをしっかり考えて、
カロリー出納の無駄に鋭く切り込んでいきます。

会社の立て直しとダイエットとどちらがやさしいか、難しい問題ではありますが、
少なくともダイエットに成功した方は、会社においても変革のリーダーとして、
会社に大いに貢献できることでしょう。
ぜひそんな視点も持ちながら日々のお仕事に努めていただければ 幸いです。


2011/04/14 11:20:49 | コメント (0) | トラックバック (0)

「健康」を管理するということ

連日の震災についてのニュースには、胸が痛む思いでいっぱいです。
今回の震災では、天変地異はいつ起こるかわからないということを実感させられました。

企業では、このような災害や業務上のトラブルを「リスク(危険性)」として想定して、
どんな場合にも事業が継続できるようにそのリスクを評価して、前もって対応策を考えています。
これをリスク管理といいます。
企業では事業の継続性ということが非常に重要ですので、何かトラブルがあって途中でお休みというのは
許されないわけで、そのためリスク管理はもっとも重要な業務のひとつなのです。

健康にも同様のことが言えるのではないでしょうか。
たとえば、健康診断では病気のタネになりそうな異常値を早く見つけて対処するのも
立派なリスク管理ですね。
しかし、人間の体は会社と違って少しずつ老化が進んで、何もしなくても健康のリスクが増えてきます。

ところが一般の人々にはそのリスクをどう評価してどんな対応策をとるべきか、
よくわからない場合がほとんどだと思います。
その結果、健康診断は受けたけれど異常値をそのまま放置して、病気になってはじめて
お医者さんにかかり、ようやく治療を始めるということになりかねません。
病気の治療のためひょっとすると自宅療養や入院が必要になったりすると、
日常の幸福な生活が途切れてしまいます。

そうならないために、個人で健康リスク管理をしていく必要があるのではないでしょうか。
そうはいってもどこに向かって、何を目安に健康リスクを見極めるかは大変難しいところです。
まだまだ完成の域には到達していませんが、遺伝子を検査することである程度の健康リスクを
評価できるようになってきました。
生活習慣の偏りとともに、遺伝子のもつリスクを併せて評価して、
健康リスクを管理できる時代になってきています。

今回の震災でも被災された多くの高齢者が、薬がないために不安な日々を送っていました。
もし健康リスクに対処できていれば、そのような不安な日々を送らなくてもよかったわけで、
こんな機会に一度健康リスクの管理について考えてみてはいかがでしょうか。

健康管理について、遺伝子検査についてお気になる方は、いつでもご相談ください。

Dr.内山に聞きたい!
http://www.metabo-help.com/0015.html

アーテイジ虎ノ門クリニック
http://www.artage-clinic.jp/

2011/04/13 14:39:06 | コメント (0) | トラックバック (0)

健康管理のあり方

本日、医師で栄養学の大家でもいらっしゃる板倉弘重先生とお話しする機会がありましたので、
そのときの話をちょっと書きたいと思います。板倉先生はときどきテレビにも出演され、
栄養やサプリメントなどをわかりやすく解説されるので、ご記憶の方も多いのではないかと思います。
また政府関係の会議などにもメンバーとして多く参加されている方です。

今回話題になったのは、「医師の役割というのは何でしょう」ということでした。
現在、アーテイジクリニックでは、「健康リスク管理」というプログラムを提案しています。
これは予防医学の1つでもあり、『遺伝子検査や生活習慣調査を組み合わせ将来的な健康リスクを
予測し、できる限り病気にならないよう日常の食事や習慣を見直していきましょう』というプログラムです。
このプログラムのお話しを板倉先生にしたところ、それは大変意義深いことだとご賛同いただきました。

板倉先生はもともと予防医学に注力されている先生で、
予防医学の重要さがなかなか広まっていかないことにフラストレーションを感じておられるそうです。
板倉先生曰く、本来の医師の役割というのは、地域の住民の健康を日常管理して、
その地域から病気の人を出さないようにするのが役割ではないのか、というわけです。
私もその点大いに賛成で、そのことこそ、このメタボヘルプやブログなどで情報発信してきた
大きな理由なのです。

また医学教育の話にもなり、医学部での教育が単に患者の病気を治す(病気の患者を治すのでは
ない)ための技術者を育てるためだけの内容になっている、と憂慮されておられました。
すなわち医師は病気の人には関心を示すが、そうでない人には関心が無い。
医療も技術が中心で、傷んだ部分をどのように治すのかが医療だと皆思い込んでいる。
本当にそれでよいのかというわけです。

今回の震災のことにも話題が広がりましたが、被災者が、薬がなくてパニックになっているという話も、
例えばコレステロールを下げる薬があのような食事環境の中でほんとうに必要なのか、患者である
被災者自身も普段飲んでいる薬の内容をよく知らず、薬がなくなったことだけが問題になっている。
如何に日常の医療が薬を出すだけに終わっているかがこのようなときによくわかるというわけです。

私も震災直後のブログに書きましたが、糖尿病のお薬など、食事をしないで飲むと低血糖という恐ろしい
事態を招くので、それよりはむしろ飲まずに、医師の診察を受けてから再開するのが望ましいのです。
被災地の現場も知らずに勝手なことをいうなという批判もあるかも知れませんが、こんなときだからこそ、
普段の食事をもっとしっかり考えなければいけないでしょうし、さらに普段の健康のあり方を考えなおすよい機会なのではないでしょうか。

2011/04/01 13:21:19 | コメント (0) | トラックバック (0)

心よりお見舞いを申し上げます

東北地方太平洋沖地震およびそれに伴う津波により多くの犠牲者が出てしまいました。
お亡くなりになられた方のご冥福をお祈り致しますとともに、
ご家族やご親戚の無事の確認が一刻も早く進みますことを心より願っております。

災害時に起こり得る症状と対処方法をまとめてみましたので、ご参照ください。

<擦り傷、切り傷などの怪我について>
津波で流された場合は海水とはいえ汚染されていますので、
傷ができたら一刻も早くきれいな水で洗い流すことが重要です。
飲料水もない中できれいな水を確保すること自体難しいかも知れませんが、
初期治療が大事であるということを忘れないでください。

◆対処方法◆
一刻も早くきれいな水で洗い流すことが重要。


<低体温について>
濡れている衣服で外気が冷えますと、体温が奪われ低体温となります。

・震えについて
はじめはがたがたと震えがきますが、これは筋肉が小刻みに収縮して熱を産生しているためです。

・震えが止まる
震えが止まってぐったりします。この状態になってしまいますと意識ももうろうとなり、一挙に体温が下降します。

・体温が30度以下になる
不整脈が起こりやすくなり、ときには重症の不整脈を起こして亡くなる方も出てきますので、要注意です。

◆対処方法◆
濡れている衣服を乾いたものに換える、火をたいて暖を取る、温水を入れた容器を脇の下などにはさむ等の処置が必要になります。


<骨折について>
家屋の倒壊などに巻き込まれて手や足を挟まれ骨折する方も多いですので、すみやかに骨折部を動かない処置をすることが大切です。

◆対処方法◆
何か支えになる板とか棒とかを骨折部に当て、骨折部が動かないようにします。骨は折れていてもその部分が動かなければ痛くはないので、骨折部が動かないようにする工夫が重要です。そのときに板や棒を縛る材料は、タオルとかなるべく太いものを使ってください。細いひもですと骨折部が腫れて皮膚に食い込み、後で筋肉や神経などに障害が残ることがあります。

<出血している>

・皮膚が切れて出血している

◆対処方法◆
よく出血部より心臓に近いところをぎゅっと縛る、といった間違った処置法を書いた家庭医学書や
救急の本がありますが、それは太い動脈が切れて吹き出すような大出血の場合に必要となる処置で、
通常の出血はしっかり抑えることで十分です。
それにタオルで腕や足の根もとを通常の力で締めたくらいでは、動脈は止まりません。
誤解のないよう、ご注意ください。


<慢性疾患を患っている方、その周囲の方>

今回のような広範囲の災害になりますと、薬の供給が止まってしまい、
また家庭の常備薬もなくなってしまった場合に、慢性疾患を持っていらっしゃる患者さんは不安になります。
このような場合にはパニックにならずとも大丈夫です。
多くの場合、このような異常な環境では、体もストレス反応を起こしてきて、
いつもと代謝が変わってきます。

ストレスホルモンの影響で数日間は薬が無くとも無事に過ごせます。
逆に、たとえば糖尿病の患者さんが食事もままならない状況で、血糖値を下げるお薬を
定期的に飲んだとしますと、低血糖発作を起こす可能性が出てきます。
このような状況ではあわてずにしばらく薬を飲まずに様子を見て、
お医者さんの診察を受けてから薬を再開することを心がけてください。


災害では怪我がつきものです。
ほっておきますと、後になって大変なことになりますので、最初の処置はできるだけ注意したいものです。
十分な資材が不足しているため大変かとは思いますが、
応急処置や対処方法についの基礎知識があれば、現場で工夫することもできるかと思いますので、
少しでもお役にたてれば幸いです。

2011/03/17 12:29:22 | コメント (0) | トラックバック (0)

エイズのはなし -その3-

エイズウイルス感染の仕組み

エイズウイルスは巧妙な手口でT細胞を乗っ取るという話ですが、
さてそれではその手口はいかように?というところをお話しします。

繰り返しになりますが、まずエイズウイルスの感染力は極めて弱いので、
相当濃厚な接触がないと感染しません。ですからいたずらにエイズウイルスを怖がる必要はありません。

さて、前回の免疫のところでお話ししましたが、
マクロファージや白血球といった原始的な免疫システムをかいくぐったエイズウイルスが
T細胞に到達したとします。
エイズウイルスは表面にGP120という突起分子を持っていますので、
これがCD4陽性T細胞表面のCD4という突起分子にくっつきます。
そうするとさらにT細胞表面にあるCCR5という分子にもくっついて、
だんだんT細胞の中に取り込まれていきます。
ついにはT細胞の細胞膜とエイズウイルスのウイルス膜が融合して、中に入り込んでいきます。
ある程度入り込むと、ウイルスの中にあるRNAをT細胞内に送り込みます。
このときウイルス内にあった「逆転写酵素」という酵素もいっしょにT細胞内に入り込み、
この酵素が重要な働きをします。
<エイズウィルス感染の仕組み
さてみなさんは中学、高校の理科や生物で、
細胞の核の中にあるDNAが細胞や体を作り上げるタンパク質の設計図だということを
習ったと思いますが、憶えていますか。

地球上の生物は細胞核の中にある染色体に折りたたまれているDNAが設計図となって、
RNAにその設計図が読み取られ、RNAの配列に合わせてアミノ酸が並べられるとタンパク質となって、
細胞や体に使われます。ところがある種のウイルスでは、自分自身はRNAだけしかウイルス内に持っておらず、
DNAがないウイルスがいます(RNAウイルス:インフルエンザウイルスもこのたぐいですが、
増殖の仕方は全く異なります)。ウイルスは病原菌やバクテリアと異なり、
自分自身単独では増えることができませんので、必ず何かの細胞を乗っ取って利用します。

しかしウイルス自身はRNAしか持っていませんので、このままでは乗っ取った細胞のタンパク合成システムを
使うことができません。そこでエイズウイルスの場合、「逆転写酵素」という酵素を持っていてこれが働きます。
これはRNAからDNAを作り出すDNAポリメラーゼという特殊な酵素です。
普通の細胞ではDNAに合わせてメッセンジャーRNAが作られ、タンパク質合成となりその逆はないのですが、
この種のウイルスではこの酵素によってRNAからDNAが作られてしまうのです。

そうして作られたウイルスDNAは、今度は乗っ取ったT細胞の核の中に入って、
T細胞に元々あるDNAの中に組み込まれます。このときに働くのが「インテグラーゼ」という酵素です。
こうしてT細胞の核にあるDNAに密かに組み込まれたウイルスDNAは増える機会をうかがいながら潜伏します。
この期間は5年から10年という長い期間となります。そうしているうちに、ある日突然ウイルスのDNAから、
活発にウイルスタンパク質が作り出されます。なぜこのような長い潜伏期間を経て、
ある日突然急に活動し出すのかはまだわかっていません。

さてT細胞のDNAに組み込まれたウイルスDNAからは、長い連続したウイルスタンパク質が作られます。
この長いタンパク質から「プロテアーゼ」というタンパク分解酵素が働いて、
ウイルスの体を構成する部品を切り出します。切り出されると、ウイルスとして再構成され、
T細胞の細胞膜から発芽するようにウイルス粒子ができて、乗っ取られたT細胞は死んでしまいます。
ですからエイズウイルスが次々増える状態になると、T細胞の数が激減して、免疫システムが崩れてしまうのです。
そうなると普通は免疫システムが守ってくれるのでかからないような感染症とか、
ガンのたぐいが出てきてエイズ(AIDS:後天性免疫不全症候群)という状態になってしまいます。
エイズウィルス感染の仕組み

2011/02/24 03:04:55 | コメント (0) | トラックバック (0)

エイズのおはなし -その2-

エイズウイルスは非常に巧妙に、人のT細胞という免疫の司令塔の役割を
果たしている細胞に限って感染します。

ここでちょっと免疫の仕組みをお話ししておかないと、
ことの重大性をご理解頂けないかもしれないので、
ややこしいですが今回は免疫のお話しということにしたいと思います。

まず病原菌やウイルスなどの外敵が体に侵入してくると、
まずマクロファージとか白血球とかの外敵なら何でも攻撃する細胞が
まず第一陣として攻撃します。

これらの細胞の攻撃というのは、外敵をそのまま細胞自らの中に取り込んでしまうことです。
そしてその細胞の中で外敵を消化、分解します。
これは原始的な免疫のシステムで、人ではさらにもう少し進化した「抗体」を
使うシステムも持っています。「抗体」という言葉はよく聞かれるのでご存知かと思います。

外敵を分解したマクロファージや白血球は、
その分解した外敵のタンパク質の切れ端を細胞の表面に出します。
昔の戦いで敵の大将の首を取ったら、槍の先に高く掲げて
やっつけたことを自慢しましたが、簡単に言うとそんな感じです。

さて話題のT細胞ですが、T細胞には細胞表面にでている分子の種類に2種類あって、
細胞表面にCD4と呼ばれる分子がつきだしているT細胞をCD4陽性T細胞、
もう一つはCD8と呼ばれる分子がつきだしているT細胞をCD8陽性T細胞といいます。
エイズで重要なのはCD4陽性T細胞の方です。

以下T細胞といったらこのCD4陽性T細胞だと思って下さい。
さてマクロファージなどが敵の大将の首を細胞の表面にかかげますと、
T細胞はCD4という分子でその大将の首を「そうか敵はこんな顔のやつか」ということで認識します。
そうするとT細胞の中でその情報を処理して、今度はそれをB細胞という
同じくリンパ球の仲間に情報を渡します。

つまりマクロファージがやっつけた大将の似顔絵をT細胞が作って、
それをB細胞に渡すわけです。
そうするとB細胞は、もらった情報にぴったりの「抗体」というタンパク質を作り上げます。
この抗体というタンパク質は非常に多種多様のものがあって、
T細胞から情報を受け取ったB細胞は、その情報をもった敵を効率よく攻撃するための
抗体を作り出します。
つまり敵の大将の似顔絵と同じ顔を探し出す専門の足軽を育てて、
同じ顔の敵を見つけたら、マクロファージなどの大御所が出陣する前に足軽だけで
攻撃してしまうというものです。

冒頭に「T細胞は免疫の司令塔」といった意味はこのようなことです。
T細胞は免疫の司令塔

さて話を元のエイズウイルスに戻しますと、
エイズウイルスはこのT細胞表面のCD4という分子にくっつくのです。
前回のエイズウイルスのイラストを見て下さい。

エイズウイルス表面にもGP120という分子が飛び出していますが、
これがCD4にぴったりはまりこむのです。
さてCD4という分子にくっついたエイズウイルスは、今度はCCR5という名前の
同じくT細胞表面にでているタンパク質にくっついて、
T細胞の中に入り込んでいきます。

CD4だとかCCR5だとか色々訳のわからない名前が出てきますが、
単にT細胞の表面に突き出しているとげ状の分子に記号が付いているだけですので、
難しく考えないで下さい。
こうしてエイズウイルスは、T細胞の中に入り込んで、細胞の中でわるさを始めるのです。

続きは次回に・・。

2011/02/16 18:13:01 | コメント (0) | トラックバック (0)

エイズのおはなし - その1 -

昨年12月、山梨県小淵沢町にある中村キースへリング美術館で行われた
エイズキャンペーンの行事のひとつとしてエイズに関する講演を行いました。
今日はそのことについて、ご紹介します。

キースへリングという人は、現代美術画家で地下鉄駅の壁などに書いたポップアートが人気になり、
ストリートアートの走りとして有名になりましたが、同性愛者で後にエイズを発症し、
1990年に31歳で亡くなっています。
自分自身の「エイズウイルス感染」を知ってからアンチエイズ運動を熱心に行った人としても知られています。
彼の絵はユニクロのTシャツにも取り上げられたので、ご存知の方も多いかと思います。
ご興味のある方はぜひ見学に行ってください。

中村キースへリング美術館
http://www.nakamura-haring.com/


最近あまり話題に上らなくなったエイズですが、
実はコンスタントに患者数が増えているのはご存じでしょうか?
エイズ動向委員会の2009年の統計によりますと、
男女合わせて1年間に1000名程度のエイズウイルス感染者が登録され、
400名程度のエイズを発症した患者さんが登録されています。
国内エイズ感染者

かつては同性愛者の間で流行したので、そのような習慣のない人は感染しないと思っている人も
多いようですが、最近の感染は男女間でのセックスによる感染の割合が増えており、
感染者のかなりの割合を占めるまでになっています。

ところで「エイズ」と「エイズウイルス感染」とがごっちゃになって理解している人が
多くいらっしゃるので、一度まとめてみたいと思います。


◆エイズとエイズウイルス感染の違い
まず、ウイルスの感染とエイズの発症は全く異なります。
HIV (ヒト免疫不全ウイルス:Human Immunodeficiency Virus)はエイズを起こす原因ウイルスで、
HIVは感染してから5年~10年潜伏します。このウイルスは免疫を担うTリンパ球に限って感染します。
そしてこのウイルスが体の中で増えて、免疫を担うTリンパ球が数少なくなってしまったときに
エイズ(AIDS:Acquired Immune Deficiency Syndrome)が発症します。
エイズとは、免疫低下により通常では感染しないような病原菌やウイルスにも感染してしまう病気です。

さてこのヒト免疫不全ウイルス(HIV)とはウイルスの分類上は、エンベロープ (殻)を持つ
一本鎖RNAウイルスであるレトロウイルス科レンチウイルス属に属します。
分類はどうでもよいですが、ただRNAウイルスであることは憶えておいてください。
RNAウイルスというのは、普通の生物が自分を作る設計図をDNAとしてもっているのに対して、
ウイルス自身が増えるための設計図をRNAとしてもっているウイルスのことをいいます。
ちなみに毎年流行るインフルエンザウイルスもRNAウイルスです。
元来霊長類に住み着いていたサル免疫不全ウイルス が、
突然変異によってヒトへの感染性を獲得したと考えられています。
HIVウィルス粒子

エイズの歴史:
最初の報告
1981年にアメリカのロサンゼルスに住む同性愛男性(ゲイ)に初めて発見され症例報告されました。
当初、アメリカでエイズが広がり始めたころ、原因不明の死の病に対する恐怖感に加えて、
感染者にゲイや麻薬の常習者が多かったことから感染者に対して社会的な偏見が持たれてしまったわけです。

原因ウイルスの発見
1983年にパスツール研究所のリュック・モンタニエとフランソワーズ・バレシヌシらによって
エイズ患者より発見され「LAV(Lymphadenopathy-associated virus)」と命名されました。
また1984年にアメリカ国立衛生研究所(NIH)のロバート・ギャロらも分離に成功しており、
「HTLV-III(Human T-lymphotropic virus type III)」と命名し、
ほぼ同時期カリフォルニア大学サンフランシスコ校のレヴィらも分離に成功し
「ARV(AIDS-associated retrovirus)」と命名しました。
研究者というのは発見すると勝手に名前を付けたがるのはどこもいっしょのようですね。
これらのLAV、HTLV-IIIおよびARVは、後にいずれも同じウイルスである事が明らかとなり
「HIV-1」と改称されました。

HIV感染症は長い潜伏期間を経て、あるときから突然ウイルスが増え出して、エイズとして発症します。
かつては発症してしまうと8割以上の患者さんが亡くなっていたのですが、
抗HIV薬が次々と開発され、1996年頃からHAART(Highly Active Anti-Retorovial Therapy)療法と
呼ばれる複数の抗HIV薬を組み合わせる、多剤併用療法が一般化してきて、
治療成績は一挙に上がり、かつてのように多くの患者さんが死亡することはなくなりました。

ヒトからヒトへの伝染が主体で、ウイルス粒子が存在するのは血液、膣分泌物、精液、母乳で、
ウイルス自体の感染力は強くないのが特徴です。従ってかなり濃厚な接触なくしては感染しませんし、
もちろん正常な皮膚からは感染しません。エイズ患者さんと握手したりキスするくらいでは伝染しません。
しかし皮膚に傷があるとそこから侵入し、感染を起こすことがあります。
また腸粘膜、口腔粘膜など傷になり易いところからは感染があり得るわけで、
そのため主にセックスによって伝染する性交感染症のひとつとなっています。

―その2―に続く


2011/01/27 13:13:01 | コメント (0) | トラックバック (0)

クスリの幻想 -その3 臨床試験-


さて、だいぶ間が空いてしまいましたが、おくすり講座の続きです。

前回までは、
「人の体は大きな化学工場で、いろいろな化学反応は「代謝」と呼ばれ、
これらによって細胞は活動している」
「代謝の一部に異常を来して、それらが積み重なると病気になる」
「クスリはこういった病気に関係した異常な代謝の一部を抑えたり、
刺激したりして病気の症状を抑えようとするもので、病気そのものを治すという
ものではない」

こんなお話しをしました。

本日はクスリの臨床試験についてお話します。
少し難しい用語もありますが、皆さんのクスリへの認識を深め、
大切な部分を知っていただければ と思います。

病気の症状は、クスリによって抑えられたり刺激されたりした代謝の一部により、
関連する代謝全体がよい方向に向かってくれれば改善に向かうでしょう。

しかし、それはあくまでもクスリによって作り出された、いわば仮の平衡状態で、
健康であったときの状態とは異なることがほとんどです。

また同じような症状を示す病気でも、個人によって影響を受けている代謝が
異なっているかもしれません。
このためクスリはすべての人に同じようには効かないのです。

クスリはその開発段階で多くの動物実験で安全性を確かめられた後、
人での臨床試験が行われます。
ネズミでどんなに効果があっても人に効くかどうかわからないので、
クスリの効果を調べるために、人での臨床試験は必須です。

臨床試験を行う目的は;

1.そのクスリを飲んだり、注射したりで体内に入れても体に有害な反応が起こらないこと
2.そのクスリを使ったときに意図した(あるいは予想どおりの)反応が起こること
3.そのクスリが体に入る量を変えたときに、意図した反応が強くなってくること
 (すなわち高血圧のクスリであれば少ない量を使ったときにはそれほど血圧が
 下がらなかったのに、その倍の量を使ったらほぼ倍の血圧の下がり方を示した、
 となれば本当にクスリが体で反応していることになります)
4.個人によって反応の程度は異なってくるのが通常で、できる限り多くの人が同様に
  改善の方向の反応を起こすこと
 (ある人には効果があったが、ある人では悪化した、というのもあり得る話です)
5.プラセボという見た目はそっくりでも効果のある成分を含まない偽クスリを使って、
  効果のある成分の入っているクスリか、プラセボか、飲んでいる本人やその症状を
  評価するお医者さんにもわからないようにして比較検討したときに、ちゃんと差が
  現れること

他にもたくさんありますが、だいたい上記の事項がきちんと証明されれば、
クスリとして国から承認がもらえるわけです。

特に上の5は「プラセボ対照二重盲検比較試験」といって、クスリの効果を調べるための
標準的な方法です。
この効果のある成分とプラセボとの差を、統計学を使って検定という計算をします。
そこでポジティブな結果になれば(統計学的に有意といいます)このクスリは
有効というわけです。

この方法にも問題がないわけでありません。
たとえば試験に参加した患者さん全体の20%程度しか効果がなかったとしても、
プラセボでの反応が0%であれば、統計学的に有意ということになります。

しかしクスリは効果だけでなく副作用という有害な反応も起こし得ますので、
残りの80%の患者さんでは効果がないばかりか副作用が起こってしまうかもしれません。
これを利益と危険性のバランス(専門用語でベネフィット・リスクバランスといいます)といって、
利益が上回っていなければクスリとしての存在意義はないのです。

患者さんは飲んだクスリは100%効果があると思いがちですが、
残念ながら多くのクスリは平均的には50~60%程度です。

この数字も誤解を生みやすいので少し解説します。
お医者さんは患者さんを診察して診断して病名をつけます。
冒頭にも書きましたが、同じ病気だからといってその病名がついた患者さんすべてが
同じところ(代謝)に異常が生じているというわけではありません。
またクスリに対する反応も個人によって異なります。
ですから臨床試験に参加した患者さんの集団の中でどのくらいの割合の患者さんで効果が
あったかというのがこの数字です。

お医者さんに行ってクスリをもらったのに、効かないという人が二人に一人くらいはいる
ということです。
極端な見方をすれば40~50%のクスリは無駄に使われている、ということになります。
それはけしからん、製薬企業はなってない、と思われる方も多くいらっしゃるかと思いますが、
現在の医学のレベルは残念ながらその程度なのです。

もちろん病気の種類によってもクスリの効果がでる率は変わってきます。
平均的な数字ですが、たとえばコレステロールを下げるクスリでは80%、
関節リウマチでもっとも効果があるとされる生物製剤で60%、うつ病で50%です。

難しい病気、たとえばアルツハイマー型認知症のクスリでは15%程度です。
抗ガン剤はガンの種類にもよりけりですが、20%から40%くらいです。
当然ですが、これらの数字は病気が治ったという数字ではありません。

クスリが効いているという基準値まで改善したときの数字です。
たとえばコレステロールを下げるクスリでは、総コレステロール値が220まで下がった人の
割合ということです。
抗ガン剤は何をもって効果有りとするかという指標が難しく、ガンが小さくなったという
指標でいえば奏功率(完全に縮小した割合と部分的に小さくなったという割合を
合計したもの)が一般的で、上に示した数字はこの奏功率です。

最近ではガンが小さくならなくても転移したり臓器の機能を障害したりしなければ
よいのでは?という考え方から、またガン細胞を死滅させるクスリではなく、
おとなしくさせるクスリも多く開発されてきた関係で、無増悪期間(ガンが大きくならないで
いる期間)で評価することが多くなってきました。

たとえば最近承認を取った抗ガン剤の場合、既存のクスリではこの無増悪期間が
5ヶ月程度だったのを新しいクスリを上乗せすることで9ヶ月まで延長したということで
承認されています。
短いように感じますが、この試験の対象となった患者さんは試験で使われた以外の
他のいくつかの抗ガン剤が無効であった患者さんが参加しています。
抗ガン剤については複雑なのでまた別途まとめたいと思います。

~続く~

2010/11/16 10:42:51 | コメント (0) | トラックバック (0)

NHKの遺伝子検査のインタビュー

NHKで夕方放映している首都圏ニュースの取材がありました。
テーマは遺伝子解析検査についてです。
昨今企業ベースで一般に対して遺伝子解析サービスを提供することが多くなっていますが、
そのことについてどの様に考えるかということでした。ディレクターの方とは1時間近くお話しさせていただき、
ディレクターさんとしてはこのまま放置しておいて大丈夫か、という懸念があるとのことでしたので、
正直な感想を述べさせていただきました。

質問とその回答という形で簡単にまとめてみます。

Q:遺伝子解析サービスは、今後普及していくと思いますか?

A:普及していくと思います。米国などではすでにずいぶん盛んになっており、
またその解析にかかる費用もずいぶん安くなってきて、拍車をかけているようです。
米国では保険や医療費が高額ですので、自分の健康は自分で守るという発想が強い人たちですが、
日本は国民皆保険で守られていて、今ひとつ自身の健康管理を怠りがちです。
しかしそうはいっても昨今健康にずいぶん関心が高まっていますので、今後は普及してくると思います。

Q:今まで遺伝子の技術や知識はごく限られた研究者や専門家だけでしたが、
一般に普及してくるとなると何が問題になるでしょうか?

A:一般の人たちがもっている遺伝子のイメージは、遺伝子がわかると自分が将来かかる病気が
すべてわかってしまう、といったイメージで捉えているのではないかと思いますが、
そのような誤解を早く解く必要があります。遺伝子の中にはもちろんひとつの遺伝子異常が重症の病気を
引き起こすという遺伝子もありますが、たとえば生活習慣病に係わる遺伝子など、
その病気に対する関わり具合は半分程度です。つまり残りの半分は生活習慣、食事、栄養などで
決まってくるわけです。
そのため遺伝子を計測するだけではダメで、その結果をもってカウンセリングや食事、
栄養指導をしっかり行うことが重要になります。

Q:いくつかの企業が遺伝子解析サービスを提供し始めている中で、
遺伝子を解析して欲しいと思う側ではどんなことに注意すればよいのでしょうか?

A:遺伝子検査ですべての未来が決まるわけではないのですが、
インターネットなどで解析サービスを受けますと、その結果がどうであったかしか返ってきません。
もし何らかのやっかいな病気の遺伝子があるとなると、それがけっこう心の重荷になったりします。
しかし実際にはそれほど1対1の関係ではないので、ひとつのガイドくらいに考える必要があります。
そのため、結果をわかりやすく説明してくれて、後どうすればよいかをしっかりと指導してくれる人が
必要になります。
遺伝子を解析してその結果が重要なのではなく、その結果をその後に人生にどう生かすかの方が
よほど重要なのです。

Q:現状では各企業や医療機関が勝手に遺伝子解析サービスを提供している状況で、
各省庁もそれぞれバラバラの指針を出している程度ですが、法制化は必要ないのでしょうか?

A:法制化によってがんじがらめにしてしまうのはよくないですが、ある程度の基本的なガイドラインは
必要だと思います。先ほども申し上げましたように、結果だけ提供されて意味づけがよくわからないままですと、
本来改善しなければ行けない方向ではなく、やってはいけない方向に生活習慣を変えてしまうかもしれません。

そんなことを防ぐ意味でもしっかりしたカウンセリングができる施設を受診して指導してもらう、
あるいはそのようなカウンセリングのサービス無しでは解析サービスを提供しないとかそんなガイダンスが
必要かもしれません。
これは極端な例かもしれませんが、母親が乳ガンで、姉妹も乳ガンで自分も同じ遺伝子をもっているという
結果が出たので、乳ガンが起こる前に正常な乳房を切除してしまったという例もあります。
これはもちろん本人にとって究極の意思決定となりますが、その意思決定を支えてくれるしっかりした
プロのアドバイスが必要になるのです。

Q:メディビックという会社がおくすり体質検査ということで、薬物代謝酵素の遺伝子検査を出していますが、
製薬企業に長らくおられたということですが、これについてはどの様にお考えですか?

A:クスリの副作用というのは製薬企業にとってほんとうに悩ましい問題で、いろいろと情報収集をして、
必要に応じて添付文書の中などで注意喚起をしています。ところが医療現場での情報収集には
企業にとって限界があります。またクスリの投与量の設定も承認申請の過程で当局と一番もめる点で、
結局多くの人のデータから平均的な投与量をもってそれが推奨用量となり、添付文書に記載されるわけです。

ところが薬物代謝酵素の遺伝子に変異をもつ人では、クスリが体内にたまって効果が強く出たり、
副作用がでたりという一方、代謝の早い方では効き目が悪いということが起こりえます。自分のもっている
クスリに対する反応性を知っておくことは、将来クスリを使わなければ行けない状況になったときに、
安心してクスリを使用出来るようになると思いますので、自分の健康リスク管理の上では有意義な
ことだと思います。

Q:最後に一言まとめをお願いします。

A:遺伝子検査に対する過度の期待や恐れを払拭するためには検査に対する正しい理解をする必要が
あります。またその結果だけをもって一喜一憂したり、誤った意思決定をしたりということを避けるためにも
きちんとしたカウンセリングをやってくれる施設で検査を受けるべきだと思います。将来的には肝機能や
コレステロールなどのように通常の血液検査と同じようにルーチンで検査されるようになってくると
思われますが、そのためにも正しい知識の普及は欠かせません。

この取材は10月20日午後6時10分からの首都圏ネットワークという番組で放映される予定だそうです。
私のインタビューは放送ではたぶん1、2分程度になってしまうとは思いますが、ご興味のある方は
是非ご覧になって下さい。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
首都圏ネットワーク
総合  月~金 18:10~19:00
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

2010/10/11 22:35:40 | コメント (0) | トラックバック (0)

クスリの幻想 -その2 大きな誤解-

ここのところお薬のことをシリーズで書いているのは、お薬の本質について
皆さまにもっと理解して欲しいと思ったからです。

お薬はもちろん病気になってしまった人には不可欠ですが、多くの誤解があり、
またその誤解は医療者側にも多くあります。
そんな誤解を、お薬を開発している側から少しでもお伝え出来たらという気持ちからです。
お薬は「危ない」とか、「何が何でもお薬無しで治療しましょう」、と主張しているつもりは
決してないので、その辺は是非誤解しないでいただきたいと思います。
そんな誤解の中で一番大きな誤解は以前のブログにも書きましたとおり、
お薬を飲めば病気が治る、というものです。

病院やクリニックで使われるお薬が使えるようになるには、国の承認が必要です。
そのために製薬企業では多くの動物試験や患者さんなどのボランティアでの臨床試験を
積み重ね、全体として十分な結果であればそのお薬を販売してよいかどうかの判断を求める
申請をします。
国の機関ではそれらの申請資料、特に臨床試験の結果をしっかり審査して、効果と安全性が
担保されていれば承認となり、そのお薬が医療機関で使えるようになるわけです。

お薬のはたらきは、前回のブログに書いたとおり、人の体内の化学工場で営まれている代謝の一部を
抑えたり、逆に進ませたりします。病気の原因となっている代謝に影響を与えるわけです。
それなら当然異常だった代謝が元に戻るので、病気もよくなると考えますが、そうはいかないのです。
というのは、人の体は一部の代謝がおかしくなったら、他の代謝を変化させてその異常をカバーしようとします。
どうやってカバーするかは人によって異なります。
しかし代謝の異常がひどくなってきますと、カバーしくれなくなり症状が出てしまうというのは
前回のお話しでした。

急性の病気は異常になっていた期間が短いですから、異常な代謝が元に戻れば
もとの元気な体になるわけですが、慢性の病気はそうはいきません。
たとえば異常な代謝を抑えてしまうと今度はその異常をカバーしていた他の代謝が
おかしくなってきます。
ですからお薬の飲み始めは要注意で、副作用も起こしやすいというのはこのような理由からです。

さて、お薬を続けて飲んでいると、症状は治まってきますが、病気になる前の状態に戻ったわけでは
ありませんから、お薬を止めてしまうとまた別の症状が出るといったことにもなりかねないのです。
ですから根本的な原因を正さずに、お薬だけ飲めば症状は治まるかもしれませんが、
病気が治ったことにはならない、というのはそんな理由です。

生活習慣病は生活の乱れが原因ですから、それを正さないでお薬を飲んで、症状を抑えて、
検査データを正常にしたとしても病気を治していることにはならないのです。
症状が無くならないから、検査データがよくならないからと、やたらとお薬の量を増やしたりするのは
間違ったやり方です。

ひとつの例を挙げましょう。
何年か前に不整脈を抑えるお薬の大規模な臨床試験が行われました。
これは心筋梗塞を起こした患者さんでは命が助かっても不整脈を起こすことが多くあります。
そのため不整脈という症状を抑える抗不整脈薬というお薬がたくさん使われていました。
それではこの抗不整脈薬を使った方がほんとうに長生き出来るのでしょうか、という疑問がなげかけられました。
そこで、この抗不整脈薬を使った患者さんのグループと、プラセボといってお薬の形はそっくりですが、
お薬成分は入っていない錠剤を飲むグループを比較する試験が行われました。
当然不整脈を抑えれば長生き出来ると誰しも思ったわけです。
ところがこの大規模な臨床試験の結果では、この抗不整脈薬を使った患者さんのグループの方が
プラセボを使った患者さんのグループより多く亡くなるという結果がでてしまいました。
お薬とはこんな性質を持ったものなのです。

2010/10/05 09:38:09 | コメント (0) | トラックバック (0)

クスリの幻想 -その1 薬のタネ-

お医者さんが病気を治してくれる、薬を飲めば病気が治るというのは幻想に過ぎないと、
ここ何回かのブログの中で書いてきました。

それでは薬とはいったい何なのか、それを少しわかりやすく書いてみたいと思います。

人は大きな化学工場です。何万種類もの化学反応が体の中で起こって、生命活動は営まれています。
この化学反応はいろいろな状況で変化が起こります。
たとえばある化学反応でAという物質とBという物質が化学反応を起こしてCという物質ができるとします。
これをA+B=Cと表現しましょう。
ところがA+BがCにならずに、Dになってしまったとします。もしA+B=Cの先の化学反応がC+D=Eだと
すると、Cができないので、この化学反応が起こらないことになってしまいます。

そうするとDがどんどんたまって来るという結果になります。
ところがこれだけでは病気にはならず、かわりの反応が起こってDという物質を処理してくれます。
ところがこんなことがいろいろと起こってくると、細胞の働きがおかしくなってきます。
それでもおかしくなった細胞を取り除いて、別の細胞を置き換えるような働きも起こってきます。

しかしおかしくなった細胞が置き換わらずにどんどん増えてしまうと、その細胞の属する臓器の働きが
おかしくなってきます。
こうなって初めて病気として症状が出てくるのです。病気の起こり方を研究している人たちは、
病気が起こってくる化学反応の異常を突き止めようとしているのです。
そしてある要となる化学反応の異常を突き止めることができれば病気が解明されたとなるわけです。

最近の薬の開発はそんなところから始まります。
こういう薬は分子標的といって、ある特定の病気に関係している、化学反応を変化させるように働く
化学物質をまず見つけ出します。その化学物質の構造をいろいろと変化させて、
狙った化学反応をもっとも強力に変化させる化学物質を作り出します。
それがまず薬のタネになるのです。

2010/09/24 09:40:24 | コメント (0) | トラックバック (0)

スーパー病原菌「多剤耐性菌」のおはなし

最近、帝京大病院(東京都板橋区)での院内感染の発覚を契機に、「多剤耐性菌」の話題が
広がってきていますね。
では、「多剤耐性菌」とはどういうものかご存じでしょうか?

今回メタボヘルプで「多剤耐性菌」と「抗生物質」分かりやすく解説してみました。
耐性菌はなぜ出現するのか、また皆さまが気になるであろう
「どうやって予防したらいいのか」ということについて紹介しています。 

慌てることなく生活習慣を見直しながら、しっかりと対策していきましょう。

◆スーパー病原菌「多剤耐性菌」のおはなし
http://www.metabo-help.com/0028.html

◆鶴田真子のオススメ5品!免疫力アップレシピ
http://www.metabo-help.com/0052up5.html

2010/09/13 22:35:35 | コメント (0) | トラックバック (0)

病気に対する一番大きな誤解とは・・・


先日、ある方とお話ししていて病気の話になり、質問をしてみました。

(内山) 「ところで、健康のために何かしていますか?」
(お相手) 「いえ、特に何もしていません」
(内山) 「それでは、病気になったらどうしようとか心配になりませんか?」
(お相手) 「別に、心配してもしょうがないし」
(内山) 「それでは健康診断とか受けていますか?」
(お相手) 「いえ、受けていません」
(内山) 「なぜ受けないのですか?」
(お相手) 「なぜって、病気が見つかったらいやじゃないですか」
(内山) 「なぜいやなんですか?」
(お相手) 「だって、あれをしてはダメ、これをしなくてはいけない、といろいろ生活が
       制限されるでしょう。それがいやなんです」
(内山) 「でも病気がひどくなっていたらもっと大変ですよ」
(お相手) 「そうしたら病院に行って薬でももらいます」
(内山) 「薬を飲めば治ると?病院に行けばお医者さんが何とかしてくれると?」
(お相手) 「ええ?そうじゃないんですか。だって病院って病気を治してくれるところでしょう?」


さてこの会話を見て、思い当たる節はありませんか。
残念ながらまだ多くの方がこんな考え方をするようです。

ポイントをまとめますと
1. 自分が病気なるなどとは考えたくない
2. 病気を見つけられるのがいやだ
3. 多少の異常でも見つかったら自分の思うような生活ができなくなる
4. 病気になったとしても症状が出るからわかる
5. そしたら病院に行って薬を飲めば病気が治る
こんなところでしょうか。

確かに何も考えず、勝手気ままに生活していても病気にならない人も中にはいます。
しかしこんな人はごくまれです。たとえていうなら、往来の激しい道路を、
目をつぶって赤信号を無視して渡るのと同じことです。
中には車にひかれずに渡れる人もいるでしょうが、ほとんどの人が車にぶつかるでしょう。


どんなに気をつけていてもほとんど必ずといっていいほど何らかの病気にはなります。
いや病気にならないまでも転んだり交通事故にあったりで怪我をするかもしれません。
確かにこれは気にすればきりがないのかもしれませんが、
常に病気になる危険性を考えて手を打っておくことが重要です。

健康診断で異常が見つかるのはいやなものです。でも早く見つかれば元に戻れるのです。
「動脈硬化」、「糖尿病」といった生活習慣病など特にそうです。
こういった生活習慣病は早めに生活習慣を改善すれば、薬とは縁が切れますが、
一端進行してしまうと薬無しでは生きられなくなります。ガンもまたしかりです。
早く見つかれば内視鏡などで簡単に処理することができるようになりました。
ところが進行すると大きな手術が必要になりますし、転移を常に心配しなくてはいけなくなります。

一番大きな誤解はいざというとき、病院に行けば病気を治してもらえると思っていることです。
病気を治すのはあくまでも自分自身なのです。

病院はどこが異常なのかを見つけてくれて、どうすればよいかを教えてくれますが、
病気を治してくれるわけではありません。
またいろいろな医薬品が世に出ていますが、薬を開発してきた身にとっては、
薬を飲めば病気が治ると思われると困るのです。

慢性に進行する病気の場合(生活習慣病など)、ある程度病気が進行して、
すなわち薬を飲まなければいけないくらい病気が進行している場合、
薬を飲んでも治ることはありません。確かに薬が反応すれば、全体としての調和は取れ、
ある程度の苦痛はとれます。でも病気を治してくれている訳ではありません。
それ以上悪くなるのをもしかしたら止めることはできているかもしれません。
現在の薬でやれることはせいぜいそんなところが精一杯です。

病気にならない秘訣は「病気になりたくない」と思うことなのです。
病気になりたくないと思えば、それに備えて何ができるかを考えるようになりますから。

2010/09/03 11:07:19 | コメント (0) | トラックバック (0)

水分補給の落とし穴

今年はほんとうに暑い日が続いております。
熱中症で病院に運ばれる人もかなりの数に上っているとか。
特にお年寄りが部屋の中で倒れるケースがかなり多いようです。

さて熱中症といえば、その対策としては水分補給ですが、水分補給には水が一番です。
汗がでてナトリウムなどの電解質が失われるためスポーツ飲料がよい、とよくいわれますが、
汗をかきすぎてナトリウムや他の電解質が失われて倒れるケースは少ないのです。

100816_water.jpgそれよりは汗があまりでなくて熱が体にこもって熱中症という方が多いのです。 ですからわざわざスポーツ飲料でなくても、ミネラルウォーターや水道水で十分なのです。 どうしても塩分補給したいという方は、お塩をひとつまみでも梅干しでもよいでしょう。 もちろん屋外でスポーツをする、作業をする、ということで汗を大量にかく場合は スポーツ飲料もよいかもしれません。

さて水分補給なら何でもよいかとお茶の飲料やコーヒー飲料などで水分補給をする人もいます。
確かにどうせ水分補給ならおいしいほうが、と考えるのも無理からぬこと。ところがこれらの飲料の中にはカフェインが含まれています。カフェインは利尿作用といって、おしっこを余計に出す作用がありますので、かえって体から水分が出てしまいます。
また炭酸飲料などは、注意すべきはその糖分です。
けっこう糖質が含まれている製品が多いので、暑いからと大量に炭酸飲料を飲んでいますと、カロリー摂取過多になり、
肥満の原因となります。またスポーツ飲料も同様に糖分の取りすぎには要注意です。

様々な飲料が販売されていますが、ボトルにある表示をよく確認してから飲むようにしましょうね。


2010/08/16 09:50:05 | コメント (0) | トラックバック (0)

市民公開講座でサプリメントセミナー

先週埼玉県のある地域の基幹病院で市民公開講座を企画していただき、
サプリメントについてのお話しをさせていただきました。
50名ほどの、その病院に通っておられる患者さんやそのご家族、
一般市民の方が参加して熱心に聞いていただき大変感謝しております。

お医者さんの中にはサプリメントについて頭から否定する人も多いのですが、
その病院の理事長先生や院長先生を始め、スタッフの皆様にはサプリメントについて
ご理解をいただきこのような講演となりました。

その講演のときに質問をし、答えに挙手うぃしていただくと、病院の職員を含めて3分2くらいの人が
何らかのサプリメントを使ったことがあるということでした。
そうなりますと、むしろお医者さんが否定したところで、患者さんは何かを求めて使うわけですし、
使う限りは内容をよく理解して安全に使っていただきたいものだと思います。
しかし講演をまとめていて思ったことは、ほんとうに使い方が難しいということです。

サプリメントは食品に分類されますが、食品中に含まれる栄養成分、健康に役立つ機能成分を抜き出して、
錠剤、カプセル、ゼリー、飲料などの形にしたものですので、大なり小なりの効果は出てきます。
ただ反応には個人差が大きく効き方も一定していないという点がまず問題です。
本来であれば、一部の栄養が欠落していてそれを補う意味で使われるのが自然でしょうが、
どんな症状のときにどんな栄養素が欠落しているのか、と聞かれましてもよほどのひどい欠落でない限り
明確な症状は出ません。
ですから簡単な目安としているのは、たとえば健康診断などでちょっと検査の数値が悪くてお医者さんに
かかったら、まだ薬で治療するほどではないよ、生活や食事に気をつけてといわれた場合に、
その悪かった検査項目に合わせて食事で気をつけるのと同時に、該当する領域のサプリメントを使うのが
無難だと思います。

特定保健用食品(いわゆるトクホ)では、効果を示唆する文言を使ってもよいことになっていますから、
これをヒントに使ってみるのがよいと思います。
ただしこのトクホで使っている文言は医薬品で言う効能・効果とは異なりますので、
使う目安くらいに考えていただいた方がよいでしょう。

アーテイジ虎ノ門クリニックではより健康になりたい、10年後も20年後も元気でいたいという方のための支援を
しています。健康リスクの診断や食事、栄養指導、肥満カウンセリングなどを行っていますが、
ご希望によりサプリメントの指導も合わせて行います。
ご興味のある方はお気軽にご相談下さい。

2010/08/09 14:43:07 | コメント (0) | トラックバック (0)

健康管理の第一とは・・

健康管理の第一は管理しないこと?

ある週刊誌の特集で、今度は85歳以上までぴんぴんしている人たちの生活や意識を特集していました。
これらの人たちに共通しているのは一時期までタバコを吸ったり、大酒を飲んだりしていたが、
皆様々なきっかけでその後はそういった悪習慣を止めています。

ただ健康管理の秘訣は?と聞かれると、そろって特に何もしていないと答えていたのが興味深いです。
特に健康のために何々をしていますという意識はないのです。
多くの人たちが、自然体が一番と答えていて、「食事も何かを制限しなくてはいけない、と考えると
ストレスがたまるし、それは良くないよね」、と答えていた人などは肉をほとんど食べないようです。

ほとんどが魚と野菜の食事。かといって肉を断固として食べないと思っているわけではなく、
ここに健康管理の秘訣があるように思う。

アーテイジの推奨する健康管理は管理しないことを基本にしています。
この点は冒頭の週刊誌に登場した人たちに共通しています。
なにやら禅門答めいているが、管理しようという意識が働くと、自分の行動に自ら制限を加え、
それが知らず知らずにストレッサーとなります。
そうではなく、正しい知識を身につけて、何らかの選択の際に、正しい選択をしていけば
「管理する」という自らの行動に制限を加えているという意識がないままに、
自然と健康になる道を歩むことができるというわけです。
冒頭の特集に登場した人たちが言っていた、自然体ということなのです。

しかし多くの人はここで失敗をします。
なにやら体調を崩して、一端回復したら今度は健康になるためには、あれとあれを止めて、
これを始めなくてはいけない、と考えてしまうまらです。
つまり健康は管理しなくてはいけないと考えてしまうことで、これでは自分の首を絞めているようなものだから
長続きはしないですね。人は食事をするときどんな食材を選ぶか、もっと簡単に言えばお腹が空いたとき
何を食べたいと思うか、そこに理性はほとんど働いてはいないでしょう。
だから食欲に任せて食材を選んでいけば通常は肥満の道をまっしぐらとなります。

ところがしっかりした知識を身につけ、それが習慣となっていれば、
ほぼ毎回正しい(ここでは健康にとって良い)選択ができるようになります。

先日出版された「Q脳ダイエット」本をお読みいただいた方にはわかると思いますが、
Q脳理論風に言えば食欲に任せて食べていると、Q脳の求める食材に手が伸びるだけです。
ここでしっかりQ脳がS脳の認知に基づいて指示が出来れば、自然と健康によい食材を選ぶことが
できるようになるのです。

Q脳を如何にうまく手なずけるか、それはQ脳ダイエットを実践していただくと身につけることができるでしょう。


2010/06/28 09:48:11 | コメント (0) | トラックバック (0)

時差ボケ対策

先日、久しぶりの海外出張でロンドンに行ってきました。
ロンドンはまだ20度くらいで東京の夏日に比べると涼しく感じました。
ホテルはケンジントンガーデンという王室のケンジントン宮のある広大な公園の
すぐ近くのホテルでした。
ホテルの近くに大使館が並んでいる通りがあり、会議の後散策に出かけて
ちょっと撮影してみました。趣があって良いですね。

イギリス

イギリス

ところでみなさんは海外に行かれたとき時差ボケは大丈夫ですか。
私はそれほど苦痛になるたちではないのですが、かつては何とか早く現地の時間帯に
合わせようと努力したものです。
着いた当日の夜は飛行機の中で熟眠出来ないためか比較的長く眠れるのですが、
2日目になると12時くらいに寝ても夜中の2時とか3時くらいに目が覚めてしまいます。

何とか眠ろうとするのですが、また1時間くらいすると起きてしまう。
そうこうしているうちに朝になってボーとしている状態で起きあがるという感じでした。

そこで最近考えたのが一度起きたらもう寝ないというものです。
現地の時間に合わせてもどうせ数日で日本に帰り、また帰国してからまた
時差ボケになるのでしたら、現地の時間帯に合わせるのは止めようと言うことです。
仕事ですとどうしても夜の食事会などがありますが、なるべく早く切り上げて、
9時とか10時くらいには寝てしまう。3時まで熟眠出来れば5、6時間は眠れるので
普段もそんなものなのでまあいいかと。

ロンドンですと時差が8時間ですので3時に目が覚めると日本時間の11時です。
ちょっと御寝坊のときくらいの時間帯ですので、それほど大きな狂いはなく過ごせます。
しかも日本ではすでにお仕事真っ最中。メールをつなぐとすぐ返事が返ってくる状態です。
こうすると比較的現地でも楽に過ごせるし、帰国してからも楽ですよ。

皆さんはどんな時差ボケ対策を取っていますか。ぜひ教えてください。

2010/06/23 10:10:23 | コメント (0) | トラックバック (0)

抗ガン剤について

先日のブログにも書きましたが、多くの方は抗ガン剤について
必ずしも正確でない理解をされておられるようです。
また抗ガン剤に限らず、ガンに対しても誤解していることが多々あることがわかりました。

最近ではインフォームドコンセントの普及により、病院ではガン患者さんに対してはっきりと
「あなたはガンです」と告げるようになりました。かつてはガンと診断されると、
本人のいないところでごく近い親族が呼ばれて、「どうやらガンのようです。だいぶ進行しているので
余命は後半年ほどだと思います」などと主治医からいわれ、家族は本人に知られないように、
こそこそしながら日常生活を送り、本人も次第に悪くなっていく病状に、もしかしたらと思いつつ、
半信半疑で日常生活を送り、主治医も嘘の病名でごまかしながら治療を続けるという、
今から考えると信じられないような状況が展開していました。

いまでは明確にどの様なガンであるのか、どの様なステージにあるのか、
どの様な治療手段があるのかきちんと主治医から説明が受けられるようになりました。

しかし主治医からガンの説明を受けても難しすぎてわからない、各治療法にどんな違いがあるのか
これまたわからない、選択肢が多いのはけっこうだが多すぎて選べない、といった状況が
起こっています。

さらに医師の中には患者さんの気持ちもくみ取らず、いいたいことだけさっさと説明して終わったり、
あるいは選択肢を多く説明するのはよいが、優先順位もつけずに説明したり、
インフォームドコンセントでは患者さんが選ばなくてはいけないとばかりに、
すべて患者さん任せにするなどの問題もでています。患者さんも説明を受け理解できなかったら
その場で質問すればよいのですが、どんな聞き方をしたらよいか、何を聞いたらよいかわからない
というのが現実のようです。

ガンも比較的患者数の多い肺ガン、大腸ガン、乳ガンなどは日常生活の習慣が多く関与しており、
食事や喫煙など習慣を見直すことである程度ガンになるリスクを下げられることが
最近の研究で明らかになってきました。

中でもメタボヘルプで取り上げている肥満はガンの発症とも深く関与しています。
いつまでも健康で病気にならない体作りをテーマに情報発信しているメタボヘルプドットコムとしては、
いま死亡原因の第一番であるガンについても、情報発信をしていくべきと考えました。

ガン専門のサイトもいくつかあり、そちらでも詳細な情報は取れるかもしれませんが、
私の専門とする薬剤開発や、薬剤の使い方、副作用、メタボヘルプドットコムの中心テーマである
肥満との関連情報などを中心に提供して参ります。
どうぞご利用下さい。

抗ガン剤講座 ~抗ガン剤について知って欲しいこと~
http://www.metabo-help.com/0009/09_1.html

2010/05/21 11:31:24 | コメント (0) | トラックバック (0)

サウナ話シリーズ ~抗がん剤についてお伝えしたいこと~

久しぶりにスポーツジムでのサウナでの会話シリーズです。
今回の登場人物は60歳過ぎの重量挙げ大好きの二人組。
かなりの重量を上げているので、おそらく筋肉は相当ついていると思われますが、
その上に更に厚い脂肪に覆われているため、相撲取り体型。

今回の話題は秋田の玉川温泉。
ここは岩盤浴でも有名な温泉で、ガンに効くということで有名な温泉です。
私の通っているスポーツジムのサウナは、木製のベンチと床ですが、
このお二人の会話によると、玉川温泉ではサウナに小石が敷き詰めてあるらしく、
そちらの方が快適だと話しています。
二人組の一人の知人がどうもお気の毒にどこかのガンのようで、抗ガン剤を飲んでいるらしいのです。
彼曰く、「抗ガン剤は5mgで7万円、こんな高い値段を払っても、副作用ばかりで効くかどうかわからん。
医者が半年の余命といって抗ガン剤を投与すると、みたてどおり半年で死ぬのは、
ガンのせいではなく抗ガン剤のせいではないか」
「玉川温泉に行くとガンの末期の患者が多いが、温泉に来ているということは延命出来ているということだ、
抗ガン剤よりはるかにいい」
「玉川温泉の岩からは微量の放射線がでていてそれで効果があるらしい」という内容のお話しでした。

医療従事者の私にとっては耳の痛い話です。
しかし一般の人たちにとって医療情報というのはこのように伝わっていくのかというのを実感しました。

そこで、このお話についていくつかの誤解を解きたいと思います。
まず抗ガン剤は、確かに値段は高いですが、たぶん1錠あたりでは高いものでも数千円、
入っているクスリの成分量はよいとしても、7万円はたぶん他の治療費も含めての値段では
ないでしょうか(注射剤では1回あたりの薬剤費が10万円を超える高価なものもあります)。

またガンという病気は抗ガン剤を使ったからといって、きれいさっぱり治るものではありません。
残念ながらまだそのようなスーパーな抗ガン剤は開発されていません。
抗ガン剤が国から承認されるためには、臨床試験でガンが小さくなること、
また平均的な余命が既存のものより長くなること、これらを証明出来れば承認されます。
これは平均値での話ですので、もっとよくなる人もいますし、悪くなる人もいるということで、
たまたま知り合いの方が悪くなったりすると、抗ガン剤は効かないという話になってしまうのでしょうが、
なかなか難しいところです。

さて肝心の玉川温泉ですが、これは10年以上前にNHKで紹介されてから、
最後の救いを求めてガンの末期患者さんが殺到するようになったようです。
今でも多くの患者さんが訪れているそうです。
しかし皆がこの温泉で回復するわけではなく、ごく希に回復した患者さんがいると、
玉川温泉には全国から来ているので、たちどころにその話が広がって、
ますます有名になったということが真実のようです。
無理をして玉川温泉に来てはみたものの、症状が悪化してそこで亡くなる人も多いということも聞きます。
私のよく行く理髪店のご主人もそうでした。
ガン関連の著書(「がんばらない」、「あきらめない」等)で有名な鎌田實(かまたみのる)先生が
ガンサポート情報センターというサイトの2004年の記事で詳しく紹介されておられるので、
そちらをご一読下さい(http://www.gsic.jp/support/sp_03/kts/index.html)。

ガンという病気は本当にに色々な面で難しいですね。
それにしてもこれだけ抗ガン剤のことが誤解されているとなると、
もう少しこのブログで解説していかなければと思います。

2010/05/17 13:58:58 | コメント (0) | トラックバック (0)

肉食が環境破壊を及ぼす?!

スウェーデンのNational Food Administration(国立食品庁)が、
EUに対して興味深い提言をしています。
To eat for the environment and for your health(環境と健康のために食べること)と称して、
肉食を減らして魚介類、野菜、果物の摂取を増やすことを提言しています。

肉食、特に牛と羊は育てる過程で環境にかなりのダメージをもたらすことを指摘しています。
スウェーデンでは現在1年間に国民一人あたり65Kgの肉を消費しています。
これはほんの10年前に比べて10Kgも増えているそうです。
1Kgの牛肉を得るために15~25Kgの温室効果ガス(CO2やメタンガス)が発生します。

肉類は鉄分とタンパク質のもとですが、
子供や妊娠中の女性を除いて現状では過剰な鉄分を摂取していることになり、
もっと肉食を減らして、菜食に切り替えることで、
環境にもやさしい食べ方を考えましょう、という提言です。

この提言では牛、ブタ、羊、トリ肉について言及していますが、
特に牛と羊のような反芻動物が環境に与える影響が大きいとしています。
ちなみにブタ、トリからの温室効果ガスは肉1Kgあたりブタで5Kg、
トリで2Kg程度とのことです。
いずれにしても肉好きにとっては頭の痛いところです。

日本人の場合は多くのタンパク源を魚介類に頼ってきました。
ところが終戦後は肉食が一般化して、急速に肉食の比率が高まってきました。
それに比例して肥満も増加しています。

ある統計によると1990年に一人あたり年間約30Kgだったのが、
1995年には40Kgを越えましたその後はほぼ同様の消費量で推移しています。
(もう少し長いスパンで見た別の統計では1962年に肉類の年間総消費量が91万トン、
これが2002年には560万トンと約6倍に伸びています)

ところが摂取総カロリー量は1980年代半ばをピークに低下の一途をたどっています。
にもかかわらず肥満は増加している(特に男性で)ということは、
肉食が肥満と大いに関係していることになるわけです。

ようするに程度の差はあれ、日本でもスウェーデンと同じことがいえるということです。
肉食を全くゼロにする必要は無いと思いますが、
せめて肉を食べるときには環境破壊に思いをはせる必要はあるのかもしれません。

この話を読んでいて、ふと医学部の学生時代に生物学の試験で
「草食動物と肉食動物でどちらが生存に有利か?
エネルギー効率の観点から考察せよ」という問題がありました。

他の問題はすっかり忘れてしまいましたが、なぜかこの問題だけは頭にしっかり残っています。
この試験問題には解答したのですが、その解答が正解だったかどうか、
生物学の教授にはついに聞けず仕舞でした。
ただちゃんとその年の単位は取れたので、たぶん当たらずといえども遠からずの解答だったのでしょう。

みなさん、いかがでしょうか。(私の解答は後日掲載予定ですので、お楽しみに!)

2010/03/03 16:12:32 | コメント (0) | トラックバック (0)

動的平衡その2 ~治療薬の考え方とよいお医者さんの見分け方~

前回も書きましたが、薬剤によっても病気という不平衡を正すことはできます。
ところが使い方を間違えると自然治癒力が作り出す平衡状態とは別の平衡状態を作り出してしまいます。
これが、いわゆる「薬が手放せない」状態です。

もしこの状態でさらに自然治癒力が働いたとすると、また不平衡状態に陥って、
再び病気の様な状態になってしまいます。
ところがこれは真の平衡状態に戻るための過程ですので、
本来であれば薬剤を減らさなくてはならない不平衡なのです。

ところが多くのお医者さんはこれを病気が再び悪くなったと勘違いして薬の量を増やしたり、
種類を増やしたりしてしまうのです。
これではいつまで経っても薬が手放せない状態が続いてしまうことになります。

現実にはどんな病気でどの程度こんな現象が起こっているのか、簡単に判別する方法はありません。
ただ慢性疾患で多くの薬剤を処方されていた方が、
その数を減らしたところ調子がよくなったというのはよく聞く話です。


誤解のないようにお伝えしたいのは、「薬を使うのを止めなさい」といっているわけではありません。
薬によって多くの命が救われ、多くの病気が管理できるようになったのは事実です。
ただ、やみくもに症状の変化に合わせて薬を追加していくやり方はちょっと考え直した方が良いとお伝えしたいのです。


病院などで使われる薬剤(処方薬)は臨床試験のデータを元に国によってその使用が許可されています。
ところが多くの薬剤の承認前臨床試験は単独でその薬剤を使った場合のデータです。
あるいはせいぜい2種類くらいまでの併用です。
それから先の4剤、5剤の併用というのはお医者さんが勝手にやっている処方で、
決して国が承認して保証している使用方法ではないのです。

年を取ってくると、いくつかの病気が重なってきますが、
それらの病気だけを見てしまいますと、たぶんひとつひとつの病気に対しての治療薬として薬の数が増えてきます。

お医者さんは、「病気がたくさんあるのだからそのひとつひとつの病気に合わせて処方してどこが悪い」 と
いうかもしれませんが、対象は一人の人間です。
その体の中でいろいろな薬剤が混じり合って、体の平衡状態がどうなっているのか、
そんな臨床試験のデータはどこにもありません。
そんなことを認識して薬を使っていただいているお医者さんは残念ながらごく少数です。

ではそういうことに気を遣っているお医者さんとそうでないお医者さんの見分け方として、
一番大切なことは、話をよく聞いてくれるお医者さん。

患者さんの体の変化は一律ではありません。その変化は患者さん自身が一番よく分かっています。
しかし患者さん自身は、医学知識が十分あるわけではありませんので、
その変化が何を意味するかわかりません。

でもその変化を言葉で表現することはできますね。
良いお医者さんはそうした患者さんの変化をその言葉の中でしっかり捉えて、治療に役立てます。


ところがそうでないお医者さんは、患者さんの発する症状の変化を一言二言聞いただけで、
あたかも別の病気が起こったように考え、その症状変化に合わせて別の薬剤を処方します。
ですから症状の変化をいうたびに薬剤の種類が3つ、4つと増えていくようであれば要注意です。

そんなときは勇気を出して、なぜ薬が増えたのかを聞いてみましょう。
よく説明してくれるようなら大丈夫!

皆さんが、今かかっておられるお医者さんはいかがでしょうか?

2010/01/22 10:36:44 | コメント (0) | トラックバック (0)

動的平衡その1 ~薬での治癒と本来の健康という状態~

福岡伸一氏の著書「動的平衡」を読みました。

内容は、生物を定義づけているものは何か、それは動的な秩序であるという
「生物と無生物のあいだ」で著した考えを発展させた、生物の定義としての動的平衡でした。
ところが、福岡氏の文章はそのような生命現象にチャレンジした研究者たちの研究の道のりや
生き様を巧妙に描き出しながら、
様々な社会現象もその動的平衡の考え方の中で解釈してしまう非常に興味深い本でした。


私は、長年医療機関での診療と、製薬企業での薬剤開発の両者に携わってきましたが、
その中で思ってきたことがあります。
それは、一端薬剤を使い始めると止めるときが非常に難しい という点です。
もし薬剤で病気が治癒するなら、その時点で薬剤を止めればよいのですが、
なかなか止め時がないというのが現実なのです。

例えば、「感染症」などのように外敵によって与えられた病気は、病気の終わりが比較的はっきりしています。
つまり「感染症」が治ったというときが存在し、それ以後、薬剤は必要なくなります。

ところが「高血圧」、「糖尿病」、「変形性関節症」、「骨粗鬆症」などの
いわゆる生活習慣病を含めた慢性疾患となると、そうはいきません。


さきほどの『動的平衡』という概念を用いると、慢性の病気と治療薬の関係が
非常にうまく説明できることに気がつきました。

健康という状態は体全体の臓器に調和が取れていて、ひとつの平衡状態を作り出しています。
ところが病気になるとこの平衡状態が変化します。
逆の言い方をすれば、平衡が崩れた状態が、病気であるともいえます。
そうすると、「病気を治す」ということは「元の平衡状態に戻す」ことであるといっても良いでしょう。

薬を使って病気の治療をすると、もしその薬がある程度の功を奏すれば
その不平衡状態は一定の平衡状態となります。
ところがそれは、時として病気でなかったときの平衡とは異なった平衡状態を作り出す可能性があります。
いわば薬によって作り出された幻想の平衡状態といえるかもしれませんね。


体には自然治癒力があります。
本来であれば病気はほっておいても治るはずです。

ただ、生活習慣病のたぐいは長年の悪行の蓄積が作り出した病的不平衡なので、
生活習慣を正したところで、長年のつけがありますから、簡単には元の平衡状態には戻せないでしょう。
しかし、生活習慣病にももちろん自然治癒力は働きます。
そして、ある程度の平衡状態に持って行くことも可能ですが、そのためには日常生活の質が問題となりますね。


もっともこれは若かりし頃の平衡状態とは異なるわけで、
それは根源的な老化ですので、ある程度は仕方がないことです。
言葉を換えれば、平衡状態のまま年齢を重ねれば健康のまま、その年齢なりの平衡状態となることができます。しかし生活習慣病のたぐいは異常に速い速度で老化が起こっているのと同じことですので、
いつしか平衡状態に破綻を来すわけです。

ですので、破綻を来す前にしっかり生活の質を改善することが一番よいのではないでしょうか。

2010/01/22 10:31:20 | コメント (0) | トラックバック (0)

お笑いと医療

お正月だと浮かれていたらあっという間に2週間が過ぎてしまいました。
皆様のお正月はいかがだったでしょうか?

私は家で静かに寝正月。何となくテレビ鑑賞に浸りきってしまいました。

正月のテレビは例年のごとく特別番組だらけでしたが、
特に初笑いとばかりに何とお笑い番組が多いこと。
正月早々暗いニュースよりは、せめて正月くらい明るく過ごしたいということかもしれません。

これはある医学雑誌にフランス文学者で東京大学教授の宮下志朗先生が書いておられた話ですが、
16世紀ルネサンス期のフランス人のフランソワ・ラブレー(この人は「ガルガンチュアとパンタグリュエル」という
荒唐無稽な物語の長編文学を著した修道士からお医者さんに転じた人です)は、
『笑いに治癒力がある』と考えていたようです。

宮下先生曰くラブレーの発言記録を見てみると、
彼の著書もおそらく治療行為の延長という認識であったようです。

この笑いと治癒力でちょっと前に話題になったのが、
アメリカのジャーナリスト、ノーマン・カズンズが著した「笑いと治癒力」という本です。

彼がかかってしまったのが、強直性脊椎炎という免疫異常で起こってくる難病で、
強い痛みを伴う病気です。
この病気にかかってしまったノーマンは、喜劇フィルムを見て馬鹿笑いをすると
しばらく痛みが軽くなるのを経験しました。
その後、それを繰り返すうちに病気そのものもよくなってしまったという話です。

実際臨床研究で、コントや喜劇等を見て大笑いするとNK(ナチュラルキラー)細胞という
ガンやウイルスを排除する免疫細胞が増えたり、活性が強くなったりすることが報告されています。

笑うことによって脳内のエンドルフィンが多量に分泌されるためとか、
自律神経が安定化するためとかいわれていますが、まだ本当のところはわかっていません。

沈静化してきたとはいえまだまだ油断できない新型インフルエンザ・・・。
しかし、笑いでNK細胞が活性化するのは何も正月に限ったことではありません。

皆さま、お笑い番組をしっかり見て、たくさん笑うことができれば、
きっとインフルエンザにかからず無事にやり過ごせるのではないでしょうか。

2010/01/15 09:53:18 | コメント (0) | トラックバック (0)

医療の問題点と皆様の健康に必要なこと

9月9日は、何の日かご存じでしょうか?
9(きゅう)と9(きゅう)で「救急の日」です。

では、急な発病やケガで利用する救急車、1年でどれくらいの台数が利用されているのでしょうか。
2008年度の救急車の出動件数は509万5615件、搬送された患者さんは467万人でした。
2007年度より若干減っているとはいえ、それでも62秒に1回の割合で出動している計算になります。
最近は救命救急のテレビ番組も多いので、病院の救急現場の実態をご覧になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。我が国の国民医療費は年々膨れ上がっているのです。


一人の患者さんの命を救うことは非常に重要なことですし、そこにコスト概念を入れることは必ずしも受け入れがたいことかもしれませんが、一人の心臓発作の患者さんが救急車で病院に運ばれた場合のコストを考えてみましょう。

救急車のコスト
消防士の人件費
入院した場合の医療費
入院については、特にICU(集中治療室)に入った治療の場合、看護師、医師が24時間つきっきりで治療に当たりますから、その医療材料費、医療スタッフの人件費等のコストたるや莫大なものです。


もちろん一番つらい思いをするのは倒れた本人です。万が一、脳卒中で倒れて麻痺が残ればそのリハビリテーションに長い期間を費やさなくてはなりません。


救急外来に搬送されてくる患者さんは、外傷(けが)以外ですと脳卒中、心臓発作などが多いのですが、このような発作で倒れて搬送されてくるかなりの割合の患者さんは、日常生活、特に食事に気をつけていれば防げたろうに、と思うところがあり、非常に残念に思っています。
日常生活、食生活に気をつけるだけで、こんな思いをせずに健やかな生活を送れるということをぜひとも知ってもらいたいのです。


しかし、なぜ実践にまで結びつかないのでしょうか。

おそらく、したくないわけではないのでしょうが、めんどう、おっくう、病気になったときに考えればよい、色々と理由を見つけているかと思います。しかし、様々な健康食品や健康番組が流行っていますので、健康志向の人は多いのでしょうが、自分自身の体にあったものかどうかの判断は難しいですし、また本当に健康に向けて進んでいるのかどうかもわからない状況ではないでしょうか。
そして、そんな疑問を誰に聞けばよいのでしょう。病院やクリニックのお医者さんに聞いても、ただでさえ患者さんを治療するので忙しいのに、今元気ならそれで良いじゃないかと追い返されるのが現状でしょう。それが現在の医療の矛盾点なのです。


そこでその矛盾を解決するために、アーテイジとしては新しい医療の形として、その個人の持っている健康リスクを評価し、そのリスクを最小化するための支援を行うクリニックを立ち上げることになりました。


アーテイジとはそもそも芸術や熟練を意味する「art」と、年齢をあらわす「age」を合わせ、「年齢を重ねるごとに、美しく充実した人生を送っていただきたい」という願いが込められています。


日常生活、食生活に潜む健康リスクを評価して、個人の体質にあった解決策を提供し、健やかな生活を1人でも多くの方に送っていただきたい・・・ そんな想いからアーテイジクリニックの立ち上げが始まったのです。


新しい医療の形というアーテイジクリニックですが、例えば『肥満』について。

肥満とメタボリックシンドロームの関連はかなり明らかになっており、肥満を改善すると糖尿病、高血圧、高脂血症とその先にある脳卒中、心筋梗塞といった恐ろしい病気を予防できることが分かってきました。肥満はそれ以外にもガンの発症にも係わっていることも分かってきています。

このように肥満は多くの病気とつながっています。ですので、まず肥満のある人はこれを改善することを目指し、無理に体重だけを減らすのではなく、健康リスクを回避させることを目的に、1人1人の体質に合った減量をサポートしてまいります。もちろん美容のためのダイエットも同じです。やたらに体重を減らすだけでは、健康を損なってしまいますし、バランスの悪い体型にもなってしまいます。リバウンドが来ないように賢くやせる、これが重要です。

アーテイジクリニックでは、肥満を改善させるための適切な栄養指導とカウンセリングを専門的に行い、皆様の健康のお役に立ちたいと願っております。

今現在、クリニック開院への準備をしています。
詳細が決まり次第お知らせいたしますので、ご期待ください。
(事前にご質問がある方はメタボヘルプ.com運営事務局までご連絡ください。)

2009/09/14 11:39:54 | コメント (0) | トラックバック (0)

普段の生活で便秘を治すには

マンナンヒカリのプレゼントキャンペーンをお申し込みの方よりご質問がありました。

『普段の日常で便秘を治すには何をしたら良いですか?』という質問です。

便秘は多くの場合腸、特に大腸の動きが悪いことが原因です。

大腸の作用は主に水分の吸収ですので、食物残渣が長らく腸内にとどまっているとどんどん固くなって、
ますます排便しにくくなってしまいます。
腸の運動は精神状態にも関係していますので、まずたまったストレスを取りのぞいてリラックスすることが第一です。

次に水分の補給、食物繊維が豊富な野菜の摂取、全身運動が重要となります。

また腸内細菌も重要な役割を果たしていますので、ヨーグルトなどの乳酸菌食品も役立ちます。

余談になりますが、便秘の定義は「長期間排便がないことによりお腹に苦痛を感ずること」ですので、
毎日便が出なくてもそれが苦痛でなければ便秘とはいいません。

たとえば3日に一度しか排便がなくても、それはその人の生活リズムですので、
便秘として問題視する必要はないのです。

排便がないことを気にしすぎて、ますます腸の動きを悪くしていることもありますので、何事もリラックス、前向きに考えてましょう。

2009/08/06 11:15:21 | コメント (0) | トラックバック (0)

金融危機と病気

あるテレビの特集番組にて昨年後半に起こった金融危機について放送していました。

最新の金融工学を使ったリスク分散の仕組みと、そこで何が起こったのかを解説した番組でした。


私はもちろん金融の専門家ではないので、内容の半分も理解できたかわかりませんが、
簡単に言うと最新の数学、工学を組み合わせた金融工学を用いて、
貸し倒れリスクを最小化する方法を見つけたある投資銀行が、
そのリスクを積極的にかぶることで儲かる仕組みをもつ金融商品を作り上げた。


ところがその金融商品の儲けに目がくらんだ金融機関、投資機関が、
リスクも考慮せず際限なく資金をつぎ込んでしまった、というのが今回の金融ショックの原因ということでした。

金融商品のリスクの大元をたどると、米国での不動産価格は下落しない、
ということが前提であったようで、どこかで昔聞いたような土地神話がまだ残っていたようです。


リスクとは、いずれ具現化する可能性があるからこそリスクなのであって、
そのリスクの分析と対応は常に怠るべきではありません。健康も全く同様です。

誰しも病気になるリスクはあるわけですが、
残念ながら普段それを意識しているのはごくわずかな人たちだけでしょう。


たいていの人は「あの人は病気になったが自分は違うので大丈夫」あるいは
「病気になっても病院で薬をもらえば治るから大丈夫」と思っていて、
金融恐慌前の金融機関と全く一緒で、リスクを無視して根拠のない安全を信じているのです。

最近少しは健康志向ということで、病気のリスクを前向きに捉える人たちが出てきましたが、
メタボヘルプ.comの読者にはぜひ、リスクを意識して、しかしいたずらに不安を覚えるのではなく、
それをどうやって最小化するかを考えていただきたいものです。

2009/07/27 11:20:46 | コメント (0) | トラックバック (0)

野菜スイーツは健康的?

先日あるテレビ番組で野菜を使ったスイーツの有名店が紹介されていました。

野菜というと苦手な人も多い中、フルーツのようにうまく取り入れて、美味しいスイーツに仕上げています。
ところがそこに買いに来ているお客さんのコメントが、ちょっと気になりました。
「野菜を使ったスイーツなのでいくら食べても大丈夫」、「野菜を使っているので健康的」といったものです。

ちょっと待ってください!
野菜=健康というイメージがみなさんあるようですね。
基本的にそれは間違いではありませんし、そういう意味ではフルーツだって十分健康的です。
でもそれは調理の仕方次第ということです。番組ではもちろん作っている風景も出ていました。

当然クリームにバター、砂糖をたっぷりです。甘さ控えめ、といってもそこはやはりスイーツですから相当入っています。ですから中に野菜が入っていようが、『量を食べれば不健康』ということをちゃんと認識する必要があります。

食品の一部のイメージだけで全体を捉えて、健康によいとか悪いとかいう傾向が強いようです。
たとえば大豆を使ったバーケーキがありますが、大豆ということで痩せるダイエット食品として捉える人が多いようです。ところが1本当たりのカロリー量は結構ありますので、量を食べれば普通の食事より肥る結果になります。

野菜スイーツや大豆のバーケーキが不健康だとはいいませんが、
食事の仕方、料理の仕方次第で健康的な食材も不健康になりうることは、
皆様のライフケアのためにも正しく理解していただけたら と思います。

真の健康志向の皆さん、是非ともかしこい調理や食べ方を身につけていきましょう。
手作りスイーツに興味のある方は、メタボヘルプ.comで紹介しているデザートレシピもご参考までに。

ヘルシーなスイーツはいかが? デザートレシピ

2009/06/30 00:48:30 | コメント (0) | トラックバック (0)

幸福論(その1)

みなさんは何に幸せを感じますか。
お金をたくさん儲けたとき?
美味しいものを食べたとき?

かつて日本が貧しかった時代、「もの」への欲求には大いなるものがありました。
また世の中も大量生産、大量消費を「善」としてきたように思います。
時は流れ、気がつくと部屋の中には「もの」があふれかえっています。

食の世界も同様で、『安くて量があればよい』ということで、
より安い輸入食品に頼る仕組みが出来上がってしまいました。
いつから人はこんなに大量に食べるようになってしまったのでしょうか。
町のレストランでは食べ放題が大流行、
テレビでは大食いタレントによる大食い競争がもてはやされ、食の尊厳はどこへやら。

エコの時代といわれていますが、そんな時代にふさわしい食事があります。
安全で栄養価の高いものを、適度に食べるのが体には一番です。

『安全で栄養価の高いものなんて、値段が高いじゃないか?』
確かにひとつひとつの値段は高いかもしれませんが、多く買わなければよいのです。

『それではお腹が一杯にならない?』
そうですね、お腹が一杯になるまで食べなくていいのです。
お腹が一杯にならないと幸せを感じられない?
量的な幸せを求めずに、質的な幸せを求めてください。

少量の食材を丁寧に調理して、ゆっくり味わう。
そこに流れるゆったりした時間をともに食してください。
「もの」であふれた部屋に幸せを感じますか。
もっとゆったりした空間が欲しくなるのではありませんか。

冒頭の質問、何に幸せを感じますか?

私はたぶん健康でいられることではないかと思うのです。
ところがこれは、残念なことに健康でない状態になって
初めて実感できるというのが現実です。
皆さんもぜひ本当の幸せを見失わないように、
食材のひとつひとつを尊重しながら食べてみてはいかがでしょう。

きっと幸せを味わえますよ。

2009/03/24 11:44:53 | コメント (0) | トラックバック (0)

うつ病のテレビ特番

あるテレビ番組でうつ病を特集で取り上げていました。

要旨を記すと、医師がきちんと患者の評価をせずに、
抗うつ剤を安易に処方し、良くならないとどんどん種類と量が増えていく。
処方が増えるといろいろな薬剤による副作用が重なり、
元々の病気が良くなっているかどうかがわからなくなる。

まず、こうした悪循環が説明されました。

さらに、ある大学病院では、処方されていたクスリの種類と量を減らすことにより
患者さんの状態が改善した。
こんな内容で話は進み、
実際にクスリを減らして良くなった人を画面に映し出していました。

私のこのブログでは、クスリはできる限り飲まずに、
自身の持っている治癒力を高めよう、と主張してきました。
その意味ではこの番組は共感すべきものであったかもしれません。
しかし同時に、こんなことをテレビで放映すると、
患者が大混乱になるだろうなという危惧も持ちました。

気をつけなければいけないのは、うつ病は時として死に至る病です。

そう、自殺です。

東京ではほとんど毎日、人身事故による列車の遅れや
運行停止を目にしています。
列車の人身事故はほんとうに自殺なのかと計算してみました。
年間約3万人が自殺で亡くなっています。
これは17分30秒に一人自殺で亡くなっている計算になります。

東京には全人口のだいたい10分の1が住んでいますので、
平均すると東京だけでも3時間に一人、自殺者が出ていることになります。

この番組を見たうつ病の患者さんたちが、
勝手に自分でクスリを減らさないことを祈るばかりです。
一端増えたクスリを減らすには、専門の知識と判断力が必要です。
番組中の解説者がその旨強調するか、少なくともテロップなどで、
視聴者の患者に、番組を見て、
自身の判断でクスリの量を減らさないように訴えるべきだったと思います。

薬物療法中の患者さんたちは微妙なバランス状態にあります。
もし勝手にクスリを減らした患者さんたちが自殺に至ったら、
テレビ局はどのように責任を取るつもりでしょうか。

認知行動療法など薬物治療以外の重要性や、医師選びのポイントなど
とても大切なことを網羅していただけに、大変残念です。

2009/02/24 13:56:19 | コメント (0) | トラックバック (0)

インフルエンザにかかっってしまったら(町田市の院内感染について思うこと)

東京都町田市の病院でインフルエンザに計112人が集団感染し、
女性患者3人が死亡しました。
東京都がインフルエンザの症状が見られる
病院関係者ら計24人を調査した結果、
患者21人のうち11人が「インフルエンザA香港型」というウイルスのタイプに
感染していたとのことです。

インフルエンザの型については以前のブログで解説しましたので、
お分かりかと思いますが、香港型はA型のH3N2の亜型で、
今年主に流行している型です。
最近抗インフルエンザウイルス薬タミフルの耐性を持っている
ソ連型(H1N1の亜型)がかなり広まっていることが話題になっておりますが、
こちらの病院で感染したのはタミフルの効くタイプだったようです。

ほぼ全員インフルエンザワクチンは接種していたにもかかわらず
3名が死亡したということは、インフルエンザ感染力の強さを物語っています。
これも以前のブログにも書きましたが、
現在のインフルエンザワクチンは感染を未然に防げるほどの
強い免疫力を誘導する力はなく、
感染後の重症化を防ぐことがせいぜいです。

その上、高齢者では免疫力そのものが低下しているので、
ワクチンによる抗体産生を十分誘導できないばかりか、
感染後にウイルスと戦う力も弱いということになり、

どうしても重症化が避けられないことになりますので、手洗い、うがい、
感染した人に近づかないといった予防が
如何に大事かということもこの事件は示しています。

今回誰が感染源になったのかがもうひとつの話題になっていて、
医療関係者(特に病院職員)だということになっております。
会社でもそうですが、インフルエンザにかかっても、
無理して出社してくる人がおりますが、
あれは本当に止めたほうが良いと思います。

がんばっているところを見せたいのか、
仕事に穴が開くのを恐れるあまりかわかりませんが、
自分も重症化するばかりか他の人へ感染させるという迷惑行為になりますので、
インフルエンザにかかったらあきらめて3日間
家で閉じこもって寝ている、これを心がけていただきたいと思います。

また他の社員も明日はわが身と、
インフルエンザにかかった社員を無理に来させることなく、
安心して休めるようにしっかりとしたバックアップ体制を
作り上げておくことが重要です。
香港型やソ連型のインフルエンザ程度でしたらまだ良いですが、
今流行が懸念されている新型インフルエンザが
パンデミック(広範囲に流行すること)になったときには、
家から出ることすら政府により禁止されますので、
今のうちから社内体制を作り上げておくことが重要だと思います。

2009/01/22 13:38:32 | コメント (0) | トラックバック (0)

インフルエンザ感染の仕組みとその予防(4)

インフルエンザウイルスの特効薬はどうやって効くの?

さて抗生剤とは違い、インフルエンザウイルスそのものに
対する特効薬であるタミフルOR(中外製薬)やリレンザOR(グラクソ・スミスクライン)は
このインフルエンザウイルスが持っているノイラミニダーゼの働きを阻害し、
インフルエンザウイルスが細胞の中に入り込んで増えることを
阻止するお薬です(感染の仕組みを思い出しましょう)。

感染の仕組みとその治療(1)
http://www.metabo-help.com/drblog/0004/1_4.html

感染の仕組みとその治療(2)
http://www.metabo-help.com/drblog/0004/2_3.html

これらのお薬は、インフルエンザのかかりはじめに使うのが
効果的というのはこのようなわけです。タミフルは内服薬ですが、
リレンザは吸入薬です。
吸入薬ということでちょっと使いづらい面はありますが、
より直接的に効果が発揮されるという利点があります。
またタミフルは内服薬ということで気軽に多く使われすぎたためか、
最近はタミフルが効かない耐性ウイルスも出てきています。
また2,3年前よりタミフルを使用すると突然歩き回ったり、
中には2階から飛び降りてしまったりという異常行動が相次いで報告され(後にリレンザでも報告)、クスリの副作用ではないかと疑われました。
しかし詳細な調査により、これらの異常行動はお薬の副作用というよりは
インフルエンザそのものによる症状であると結論されました。

しかしお薬の副作用であるかどうかにかかわらず、
インフルエンザにかかるとこういった異常行動を起こすことがあるので、
これらのお薬を使う場合はお医者さんや薬局での注意をしっかり守って、
特にお子さんの場合には熱の高い時期は異常行動を起こすことがあるので、
目を離さないように気をつけてあげてください。

結局予防が一番!
もっともこれらのお薬を使わないでも済むように、
しっかり予防するのが一番です。
寒い時期はマスクで呼吸器の湿度と温度を保って、
またウイルスの入った飛沫をひろってもうがいで流し、
手洗いを十分にすることが予防になります。
緑茶に含まれるカテキンは抗ウイルス効果があるといわれています。
中には緑茶でうがいをする人もいますが、飲めばその他の効果もありますから、
うがいは水で、その後緑茶を飲めばよいでしょう。
粘膜を丈夫にするビタミンも重要です
(風邪予防のビタミンについては
サプリメントサンプル館のヘルスステーションをご覧ください)。

ということでこの冬はがんばって風邪予防をするぞ!

2008/12/26 11:45:19 | コメント (0) | トラックバック (0)

インフルエンザ感染の仕組みとその治療(その3)

お医者さんはなぜ抗生剤をくれるの?

ウイルスにすっかり占拠された粘膜細胞は、
今度は病原細菌などのバリアの役割を果たせなくなり、
免疫力が落ちていたり、体力がなかったりすると
とたんに気管支炎や肺炎を起こして
危険な状態になってしまいます。

風邪を引いてお医者さんにかかると抗生剤を処方されますが、
抗生剤がウイルスをやっつけるわけではなく、
その後に起こるかもしれない細菌感染を予防するために
使ってくださいというわけです。

ただ私の意見としては通常元気な大人は
抗生剤を使う必要はないと思います。

2008/12/25 11:13:04 | コメント (0) | トラックバック (0)

インフルエンザ感染の仕組みとその治療(その2)

インフルエンザはどうやって伝染するの?

粘膜細胞内でウイルスタンパクができますと、
今度は粘膜細胞膜から芽が出るようにウイルス粒子が
外に飛び出していきます。
インフルエンザウイルスはこのように自分の子孫を残そうとするのです。
体の免疫機構が感染した粘膜細胞をおかしいと感知すると、
免疫細胞や抗体などがウイルスやその感染した細胞を
排除しようと働いて炎症を起こします。

これが結果として喉の腫れや咳、くしゃみ、鼻水などの症状となって現れるわけです。

ここでくしゃみや咳ででる飛沫に乗って外に出たインフルエンザウイルスは、
他の人の呼吸器粘膜にとりついて伝染が始まります。
予防にうがいや手洗い、マスクがなぜ重要なのかがわかりますね。

2008/12/24 11:19:43 | コメント (0) | トラックバック (0)

インフルエンザ感染の仕組みとその治療(その1)

インフルエンザはどうやって感染するの?

さてインフルエンザウイルスは呼吸器粘膜にとりついても、
粘膜細胞の表面にある粘液に邪魔されると細胞に到達できません。
空気が乾燥して、呼吸器粘膜上の粘液が少なくなると
ウイルスは動きやすくなります。

空気が乾燥する冬の時期にインフルエンザが流行するのはこのためです。

粘液中の糖鎖にあるシアル酸と、
ウイルスの外側にあるヘマグルチニン
(インフルエンザウイルス模式図のHA)の突起がまずくっつきます。
くっついたままですとウイルス同士も結合して
粘膜細胞に到達できませんので、
ここで同じくウイルス表面に並んだノイラミニダーゼ(模式図のNA)という
酵素が働いて、シアル酸と糖鎖を切り離してウイルスが
粘膜細胞に到達するのを助けます。粘膜細胞に到達するとウイルスは、
今度は細胞膜にあるシアル酸にくっついて細胞の中に入り込んでいきます。
インフルエンザウイルスは
(-)鎖RNAウイルス(ウイルスの中に自分自身を作り出す設計図として
RNAを持っている)ですから、
ウイルス自身が持っているRNA合成酵素を使って、
メッセンジャーRNA(アミノ酸を組み合わせてタンパク質を合成するRNA)をまずつくり、
それからウイルスタンパクを合成します。
(参考までに(+)鎖RNAウイルスというのは、
ウイルスの持っているRNAがメッセンジャーRNAそのもので、
細胞に入り込むと即タンパク質を合成できるウイルスです)。

%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%891.jpg


明日は伝染の仕方についてお話します。

2008/12/22 14:05:59 | コメント (0) | トラックバック (0)

トリインフルエンザ(3)

感染症が大流行することをパンデミック
(広範囲に伝搬するという意味)といいますが、
このパンデミックの状態になってしまってからワクチンを作ると
6ヶ月以上かかるので、パンデミックの前の状態、
すなわちプレパンデミックの時に作っておくのが
プレパンデミックワクチンです。

最近よくパンデミックワクチンとして報道されているのが
このH5N1トリインフルエンザウイルスワクチンなのですが、
正確にはプレパンデミックワクチンです。
(もっともパンデミックを予想して作っているので、
その意味ではパンデミックワクチンですから、
ややこしいのでここではパンデミックワクチンということにします。)

もっとも、本当にH5N1トリインフルエンザウイルスが
パンデミックを起こすかどうかはまだわからず、
肩すかしを食ってまったく別のウイルスが
パンデミックになることもあり得るわけで、その時に備えて、
新たなウイルスで流行が始まっても、
そのウイルスに対抗するワクチンを
短期間で作れるようにする研究も進んでいます。

H5N1型トリインフルエンザウイルスが
ヒトへの感染性を完全に獲得すると、大流行を起こす可能性があるため、
パンデミックワクチンとして、製造され、備蓄されているのが
このウイルスに対するワクチンです。
ただしこのワクチン備蓄は1000万人分程度しかなく、
流行の兆しが認められたときにはインフルエンザに感染すると
重症化しやすい高齢者や小児、流行時に治療などに対応する医療関係者、
政府関係者へ優先的に摂取が行われることになっています。

現在のワクチンは国内メーカーのみのものですが、
量的には不十分なため海外メーカーのものも輸入すべく、
臨床試験をはじめとする準備が進められております。

さて、現在みなさんが受けているワクチンはこのワクチンではなく、
H1N1(Aソ連型)、H3N2(A香港型)、B型の混合です。
私の友人で、昨年ワクチンをうったのにしっかりかかってしまったので、
今年はうたないことにした、ということをいっている人がおります。
間違わないで欲しいのは、
ワクチンというのはインフルエンザにかからなくするためのものではなく、
かかっても重症化させないために使います。

もちろんウイルスに対抗する抗体が非常にたくさん誘導されれば
感染には至らないということがあるかもしれませんが、
インフルエンザワクチンは元来それほど強い免疫を誘導できるわけではありません。
ですからワクチンを打っても予防は大事ということです。
風邪予防の食生活やサプリメントについては
サプリメントサンプル館のヘルスステーションで詳しく解説しておりますので、
是非そちらもご覧ください。

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2008/12/18 11:06:35 | コメント (0) | トラックバック (0)

トリインフルエンザについて(2)

A型のインフルエンザウイルスは亜型がたくさんあり、
ウイルス表面にある特殊な糖タンパク質で区別されています。

糖タンパク質はH(ヘマグルチニン:血球凝集素タンパク質)と
N(ノイラミニダーゼタンパク質)とに分けられ、
Hは16種類、Nは9種類あります。

分離されたウイルスはその型によって
H1N1とかH3N2とかと呼ばれます。
この表面の糖タンパク質が常に一定であれば、
一度感染してしまうと免疫細胞が記憶して
二度と感染することはないのですが、
インフルエンザウイルスの場合、毎年のように
この表面の糖タンパク質が変化するために
免疫細胞から逃れてしまうのです。

インフルエンザウイルスの流行にはトリとブタが大きな役割を果たします。
トリの中でも広範囲に移動する渡りガモが重要と考えられています。

今まではトリインフルエンザウイルスが変化してブタが感染し、
ブタから変化してヒトに感染するようになることが一般的でした。

ところが1997年に
香港でトリインフルエンザウイルスに18人が感染し、6人が死亡しました。
このときのトリインフルエンザウイルスはH5N1型で、
通常はヒトには感染しないタイプのものでした。
これは一端収まったのですが、2003年末から2004年にかけて、
東南アジアのいくつかの国で
ニワトリに大規模な集団感染が再び起こってしまいました。
この時もH5N1トリインフルエンザウイルスで、
34人に感染して24人が死亡するという非常に致死率が高かったため、
一挙に危機感が高まりました。

現在、このウイルスのヒトへの感染能力は高くありませんが、
もしヒトへの感染性を強く示すようになると大流行の危険性があるため、
各国で警戒が強まっています。

2008/12/17 10:26:43 | コメント (0) | トラックバック (0)

トリインフルエンザについて(1)

冬になって風邪が本格的になってきました。
風邪はいろいろなウイルスによって起こりますが、
中でも症状が重いのがインフルエンザウイルスによる風邪です。

今日から三日間にわたって、インフルエンザについてお話をしたいと思います。

インフルエンザウイルスはまず喉や鼻の粘膜にとりついてそこで増殖します。
それぞれの感染性ウイルスには臓器特異性というのがあります。

たとえば肝炎ウイルスは肝臓しか感染しませんし、
エイズウイルスもリンパ球という血液の細胞にしか感染しません。
インフルエンザウイルスにとっては呼吸器粘膜が絶好の増殖場所です。
ウイルスは呼吸器粘膜にとりついて増殖し、
とりつかれた喉や鼻は免疫反応を起こしてウイルスを除去しようとします。
この反応により喉が腫れたり、くしゃみ、鼻水、咳が出たりするのです。

くしゃみや咳によってはき出された細かい飛沫にウイルスが乗って、
今度はこれを吸い込んだ他のヒトに伝染します。
ですから予防としては、まず、うがいをしたり手を洗ったりすることが重要となります。

インフルエンザウイルスは大きくA型、B型、C型の3種類ありますが、
流行を起こすのはほとんどがA型です。

B型、C型はヒトのみに存在しますが、
A型はトリとかブタとかいろいろな動物に存在します。
通常はトリのウイルスはトリだけ、ブタのウイルスはブタだけなのですが、
インフルエンザウイルスは変化しやすく、
動物種を超えて感染を起こすことがあるため大きな問題となります。

2008/12/16 11:24:42 | コメント (0) | トラックバック (0)

人生にリセットはない!?

先日ケーシー高峰のお笑いコントを見ていたら、うまいこと言っていました。

「健康のありがたさを知っているのは病人だけ!」。
思わず笑ってしまいましたが、
これは笑っている場合ではありません。

ほんとうにそうなのです。

これは株式会社アーテイジがこの事業をやっている
根幹にも係わる問題です。

たとえばメタボリックシンドロームを発症してしまった人たちを見てみると、
その発症の前、5~10年間の無症状の肥満の時期があるのです。
ですからその無症状の肥満の時期に何かの対策をしていれば
メタボリックシンドロームの発症はなかったことになります。
発症してからではリセットはかけられないのです。

健康のうちに病気にならないことを考えておく、これが一番大事です。

2008/12/11 11:10:36 | コメント (0) | トラックバック (0)

知って欲しいこと(医師の仕事とクスリの役割)

どうも勘違いしている人が多いような気がしてなりません。

何の話かというとクスリのことです。
クスリを飲めば病気が治る、あなたはそう信じていますか?

多くの薬剤は病気に伴って起こる症状を和らげる作用があるだけです。
あるいは病気で足りなくなった成分を補うだけです。

それでは、病気を治すためには何をすればよいのでしょうか。

基本は自分自身の治る力を最大限引き出すことです。

生体は全体が微妙なバランスの上に成り立っています。
様々な代謝反応が次々に起こって、
生体の活動を支えているのです。
あるときそれらの反応のいくつかがおかしな方向に
向いてしまうことがあります。
ある程度の規模にその異常が広がるまでは別の反応が修復したり、
代わりを務めたりして全体のバランスが崩れないようにしています。
ところが、このバランスの乱れが大きくなると
修復不可能なところまでいってしまい、病気が発症することになります。

生活習慣病はまさにこのパターンです。

従って病気を治すためには、
このバランスを元に戻してやることが必要な作業ということになり、
また元に戻らないまでも、それに近い状態で
バランスを取り戻してやればよいことになります。
病気を治すためには自然治癒力を邪魔しないように、
またはその治癒力が働く方向にうまく持って行くようにすればよいのです。
ですから薬剤も、そうしたことを基本に使っていかなければいけないはずです。

医師である自分が言うのも変な話ですが、
どうも医師という職業は、病気を診断して治す仕事だと
思い込んでいる人がかなり多いと思います。
診断はします。ですが、治すのは医師ではありません。患者さん本人なのです。
医師の仕事は、患者さん本人が病気の治る方向に
向かっていくように指導し、薬剤は、
それがうまくいくように手助けすることを基本に使用すればよいのです。
どうも患者さんの症状を急いで取らんがために、
薬剤を多く用いて、今度はそのクスリのためにバランスを崩して、
その崩れたバランスを元に戻そうと別の薬剤を用いて、
結果として高齢の患者さんに10種類以上の薬剤を投与する結果になるのです。
何の病気にしろ、なってしまったらその病気と対話するくらいの気持ちで、
どんな方向を向けば良くなるのか、
あせらずに考えることが第一だと思います。

ちょっと概念的すぎてわかりにくいでしょうか?
病気とクスリの関係については、今後とも書いていきたいと思います。

2008/11/25 10:49:16 | コメント (0) | トラックバック (0)

副作用から身を守るということ

CIOMS(Council for International Organization of Medical Sciences)という
学術団体の会議へ出席のため、先週ロンドンに行ってきました。
このCIOMSという団体はWHO(世界保健機構)とUNESCO(ユネスコ)とが
共同で作った学術団体で、
私は薬剤の副作用監視に対するいろいろな提言を行うグループに所属しています。
現在のグループでは如何に早く薬剤の重大な副作用を捉えて、
医療現場に注意喚起を行うかというシステムの提言を話し合っています。

病院で使われるお薬は、残念ながら程度の差はあれすべて副作用があります。
主作用である有効性に優れる薬剤は、
裏腹に副作用も強いものが多いのです。
このため製薬企業は多くの臨床試験を通して
有効性と副作用のバランスを確認しながら、
最終的に国の承認を受けて医療機関に向けて販売しています。

よく、副作用のあるようなクスリをなぜ国は承認したのだと怒る
患者さんがいらっしゃいますが、一定の頻度で副作用が起こることを前提に
薬剤は承認されるのです。

有効性と安全性のバランスがよいもの(ベネフィット・リスクバランスといいます)、
すなわち有効性が高く、
副作用が少なく安全性の高い薬剤(副作用はゼロではありません)が
理想的な薬剤です。

臨床開発の段階では臨床試験に参加した患者さんの数は
日本国内だけですと、多くても1000人程度、
グローバルに展開している製薬企業の場合、
海外の臨床試験も含めると3000人から5000人程度です。
たとえば5000人の患者さんに使われ、
そのうちの1例に重大な副作用が発生したとすると0.02%の発生率となります。

ところが各国で承認になって使われ始めると、
世界中で10万人と100万人に使われるようになり、
かなりの数の重大な副作用が発生することになるのです。
そのため製薬企業や国(厚生労働省やその関連機関)によって
副作用の情報収集と分析が行われ、予期しない副作用が起こっていないか、
特定の条件下で
(特定の薬剤といっしょに使うとか、心臓などに病気を持った患者さんの集団とか)
特定の副作用が起こっていないかを監視しています。

今回のロンドンでの会議では
そのような副作用発生の兆候を如何に早く捉えるか、
その捉えた兆候をもとに、どのように医療機関や患者さんに
届けるのかといったシステムを作り上げるための提言をまとめております。

新聞報道などで取り上げられる薬害問題は
この副作用の監視がうまくいかなかったために起こったものです。
血液製剤で起こったエイズや肝炎は、
副作用の情報を捉えていながらその情報提供が遅れたり、
副作用情報の分析が不十分で副作用の広がりを過小評価したために起こりました。

現在でも副作用を捉えて情報を分析するシステムは存在します。
でも必ずしも完璧ではありません。

この薬剤を使えば病気が治ると信じて使った薬剤で思わぬ副作用を起こり、
別の重大な病気になってしまうことは大変不幸な出来事ではありますが、
いつ誰の身にも起こりうることなのです。

病院や調剤薬局で副作用情報を聞かされ、
飲むのが怖くなったという話を良く聞きますが、
副作用から身を守るのは自分自身なのですから、説明は良く聞いてください。
そして説明を受けた副作用と同じような症状が起こったらただちに医師に相談してください。

2008/11/05 14:32:12 | コメント (0) | トラックバック (0)

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プロフィール

医師、医学博士。メタボリックシンドロームに精通し、大手製薬会社にメタボ体策健康栄養指導を提供。

著作一覧

雑誌掲載履歴

new2011年8月4日
女性セブン(30号)
「ダイエット大特集 太る人、太らない人の違い」インタビュー出演

TV出演履歴

2010年10月20日
首都圏ネットワーク
「個人に広がる遺伝子検査」インタビュー出演

ラジオ出演履歴

radio_bn.jpg 2011年11月22日(火)
「冬に流行る病気」について
(ベイFM78.0MHz)
radio_bn.jpg 2011年5月17日(火)
食中毒対策講座
(ベイFM78.0MHz)
radio_bn.jpg 2011年3月22日(火)
東日本大震災について
(ベイFM78.0MHz)
radio_bn.jpg 2011年2月1日(火)
空気乾燥対策講座
(ベイFM78.0MHz)
radio_bn.jpg 2010年11月30日(火)
ノロウィルスについて
(ベイFM78.0MHz)
radio_bn.jpg 2010年11月2日(火)
誤解しやすい医学知識について
(ベイFM78.0MHz)
radio_bn.jpg 2010年8月3日(火)
夏にかかる病気について
(ベイFM78.0MHz)
radio_bn.jpg 2010年7月6日(火)
夏バテ対策対策講座
(ベイFM78.0MHz)
radio_bn.jpg 2010年4月27日(火)
五月病対策講座(ベイFM78.0MHz)
radio_bn.jpg 2010年3月23日(火)
花粉症対策講座(ベイFM78.0MHz)
radio_bn.jpg 2009年10月6日(火)
新型インフルエンザ対策講座(ベイFM78.0MHz)
radio_bn.jpg 2009年7月14日(火)
熱中症対策講座(ベイFM78.0MHz)