2008年度から健康保険組合に義務付けられる、メタボリック対策の健診も担当する「ドクター内山」が、長年の臨床や製薬企業の医療コンサルタントとしての経験を元に健康維持のための様々な情報を気軽に書き綴るブログ

ヒトはなぜ風邪を引くのか?

メタボヘルプ.comの質問コーナーより「ヒトはなぜ風邪を引くのか?」という質問を受けました。
とても大切なお話ですので、少し詳しくブログにもまとめておきたいと思います。

3月に入りインフルエンザの流行も一段落してきました。
一昨年から流行した新型のブタインフルエンザは影を潜めて、今年は香港型が5年ぶりに流行しました。
今シーズンは、始まりが遅かった割には、患者数は多かったようで、ピーク時は2005年以来の
流行だったようです。

さていわゆる「風邪」というのはこのインフルエンザとは異なります。
実は風邪はひとつの病気ではなく、くしゃみ、鼻水、咳、寒気、発熱、といった症状がでるものを一緒に
して、風邪といっています。風邪症候群という言い方をすることもあります。

このいわゆる「風邪」の原因として一番多いのがアデノウイルス、ライノウイルスなどのウイルスですが、
これら以外にも実に100種類以上あるといわれています。ウイルス以外では細菌やマイコプラズマなど、
ウイルスより更に大きな病原体も似たような症状を起こします。今年はマイコプラズマが流行ったので、
この名前は耳にしたことがあったのではないでしょうか。ちなみにインフルエンザも風邪のひとつに数えられる
こともありますが、この原因であるインフルエンザウイルスは通常の風邪ウイルスに比べ、感染力がはるかに
強く、また仲間を増やす力も強力で、鼻や喉の症状より、関節痛、高い発熱などの全身症状が強く
でます。

これらの風邪ウイルスは喉や鼻の粘膜にとりついて、そこで仲間を増やそうとします。
体の防御システムがしっかりしていれば、ウイルスがとりついてもすぐに排除されてしまい、
症状が出ることはありません。
しかし急に暑くなったり、寒くなったりと気温の変動が激しいときに体温調節がうまくいかなくなったり、
体力が落ちたりすると免疫力も落ちてしまいます。

こんなときにウイルスが鼻や喉の粘膜細胞にとりついて、細胞の中にしっかり入り込むと仲間が増え始め、
風邪の症状が現れます。くしゃみ、鼻水、咳などといった症状は鼻や気管支で増えたウイルスを外に
出そうとするためですし、また発熱は熱に弱いウイルスに対して体温を上げて対抗する仕組みです。

症状が出始めてから一番活躍するのが免疫細胞です。
免疫細胞はウイルスを攻撃する抗体という特殊なタンパク質を作り出して、ウイルスをやっつけます。
どちらかというと体温が高い方が、免疫細胞は元気になり、またウイルスは反対に元気がなくなるので、
風邪を引いたからといって、風邪薬で症状を抑えたり、解熱剤で体温を下げたりすると逆にウイルスを
助けていることにもなるのです。
くしゃみ、鼻水、咳、発熱などの症状はつらいので、抑えたい気持ちはよくわかりますが、返って治る
期間を長引かせてしまいますので、お薬の使用はほどほどに・・・。

さてこの免疫細胞は体の中にまんべんなく広がっているわけではなく、普段は喉の周りや腸管にある
基地局にたむろしていて、いざ感染が起こるとそこから出動していく仕組みです。
とくに食べ物を消化して、吸収が行われる腸管には多くの基地局があり、体に有毒な物質が入って
こないように見張っているのです。たとえば腸管の中に有毒な物質が来て免疫細胞がこれを見つけると
途端に下痢を起こさせて排除するというシステムが働きます。

腸管の中には腸内細菌といわれる細菌がたくさん住んでいて、消化吸収を助けています。
一説によると100兆個以上といわれています。この腸内細菌には善玉菌と悪玉菌がいます。
善玉菌の代表は乳酸菌、ビフィズス菌などで悪玉菌の代表はウェルシュ菌や大腸菌です。
善玉菌は体によい成分の消化吸収を助け、悪玉菌は毒素を発生させて腸管の細胞を傷つけたり
します。当然腸管に多くある基地局にいる免疫細胞も腸内環境の影響を受けて、善玉菌が
増えれば免疫細胞も元気になり、悪玉菌が増えれば免疫細胞も元気をなくしてしまうのです。

このように腸内環境を整えることが、体全体の健康に係わっているということがおわかりいただけたかと
思います。ヨーグルトを食べると健康になる、というのはこの辺から来ています。
もっともヨーグルトを食べてさえいれば腸内環境がよくなるというものではなく、規則正しい生活、
野菜などの食物繊維を多く摂ること、さらに運動などがあわさってはじめて腸内環境は改善され、
免疫力が上がります。逆に食事で肉類を多く摂ったり、夜更かししたりで悪玉菌が増えると、
腸管の細胞が毒素にやられて、免疫細胞もわるい影響を受けて、免疫力が落ちてしまいます。

腸内環境がよい変わるかは便の臭いである程度見当がつきます。
便がくさいときにはあまりよい腸内環境とはいえないので、食事や生活をよく見直してみてください。

免疫力が落ちると風邪だけではなく、ガンもできやすくなりますのでくれぐれも腸内環境を整えて、
免疫力を落とさないよう気をつけましょう。

投稿者 webmaster : 2012年3月23日 11:14

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