2008年度から健康保険組合に義務付けられる、メタボリック対策の健診も担当する「ドクター内山」が、長年の臨床や製薬企業の医療コンサルタントとしての経験を元に健康維持のための様々な情報を気軽に書き綴るブログ

2016年の総括


2016年を振り返ると、私の中では遺伝子検査に注力した1年であったように思います。
遺伝子検査は従来から手がけている栄養代謝関連遺伝子の検査を中心に行っていますが、
後半からはGreenChordというがんを含む64疾患遺伝子のリスク判定をする遺伝子検査も
手がけるようになりました。
この遺伝子検査に含まれるがん遺伝子は胃がん、食道がん、大腸がん、乳がん、子宮がん、
前立腺がんなど一般的ながんを網羅しています。多くの人はまだがんを突然降りかかってくる
災いのように捉えていますが、実は多くの場合生活習慣のゆがみから出てくる病気、すなわち
『生活習慣病のひとつ』として考えるべきなのです。
つまり生活習慣を変えることによりがんの発症をコントロールすることも可能だということです。

では、がん遺伝子を調べればがんになる、ならないが、分かるのでしょうか?
残念ながら研究はまだそこまで進んではいません。ただ少なくとも、『その人がかかりやすいがんは何か』、をある程度推測できるようにはなってきました。
『かかりやすいがんを知り、効果的な対策を立る』ということです。

遺伝子解析手法も日々発展していて、10万円程度で30億個ある塩基配列が全部分かって
しまう時代になってきています。ただ、すべての塩基配列がわかってしまうと、すべての遺伝子に
ついてその配列がわかってしまうことになり、不都合な真実、すなわち重大な不治の病気の
変異遺伝子の存在を知ってしまうことにもなります。
倫理学者の中には、もしそのような遺伝子変異があったら、それは知らせるべきではないという
立場を取る人たちがいます。ただこの議論を聞いていると、私は昔のがんの告知を思い
浮かべてしまいます。

私がまだ医者に成り立ての頃は、『がんは告知すべきではない』というのが主流で、ほとんどが
がんであることを偽って治療していました。
「先生、私は本当はがんなのでしょう?」と聞かれて答えに窮したことも何度かありました。
今では考えられないことです。当時はまだ抗がん剤も有効なものが少なく、がんの告知イコール
死の宣告のように受け取られていた時代背景があったからなのかもしれません。

まだ治療が難しいがんも多くありますが、今ではがん治療によって治るがんも出てきている時代です。おそらく遺伝子変異もこれと同じで、ごく近い将来には、個人の情報なのになぜ本人に知らせないのかということになると思います。そのためには遺伝子の持つ情報の意味をしっかりと分かりやすく伝えていくことが医療者のつとめだと考えています。

今後広げていこうとしているニュートリマイスター講座は、ベーシックでは、まずはカラダの仕組みや栄養の働きを知って、健康とは何か、健康な体になるための方法は何かを学んでいただくために作成しました。
将来的にはニュートリマイスターとは医学、栄養学と遺伝子情報を結びつけられる人と定義できるくらいに発展させられればよいと考えております。

2017年も健康で病気にならないカラダづくりに貢献できるよう頑張ってまいります。
ご支援をよろしくお願い致します。

2016/12/26 09:45:32 | コメント (0) | トラックバック (0)

小林麻央さんのブログを読みました

小林麻央さんのブログを読みました。

最初は人間ドックの検査で乳腺に腫瘤があるということで精密検査を勧められ、
精密検査での診断では授乳中の小さなしこりなので心配ないという判断だったことが
書かれていました。

その後知り合いのドクターなどからも心配ないと言われて、8月に再検査の予定が10月に
なったことを悔やんでいる気持ちが書かれています。私も知り合いから相談されると、
つい楽観的な話をしてしまいますが、これを読んで考えてしまいました。
少しでも安心させてあげたいし、かといって確率としてはゼロではないので厳しめの話を
常にすべきなのか・・・悩んでしまいます。

ところで読者の中には、最初の段階できちんと生検して診断をつけなかった最初の専門医を
とんでもないと思う方もいらっしゃるかと思いますが、画像検査で良性と判断されたしこりを
普通は生検しません。また乳がんは一般的に進行がそれほど早くはないがんですので、
半年後に様子を見ましょうというのはごく普通の判断だと思います。麻央さんのように
半年で大きく進行してしまうことは非常に特殊な例です。

最初のごく小さなしこりの段階では、早く進行するがんなのか、ゆっくりのがんなのかの判別は
付きにくく、一般の方は『どうしたらいいの?』と思われる方も多いでしょう。
また昨年話題になった北斗さんの例のようにエコーとマンモグラフィと両方受けていたのに
発見できなかったということで、どんな検診を受けたらいいのというのも悩ましいところです。

一般的にがん検診は年に1回というのが標準ですが、がんの中には一端できると非常に
大きくなるスピードの速いがんがあり、前年の検診では異常なかったのに、見つかった時には
すでに転移していたということもないわけではありません。この1年というタイムスパンは、
一般的ながんを対象として、検診にかかる費用と発見する確率から考えて導き出されたもので、
速いスピードで育つがんはこれでは早期発見というのは難しいことになります。

通常の検診以外で、現段階で参考になるとするとがん遺伝子検査があります。
若くしてがんになる方では、がん抑制遺伝子などに変異を持っている場合が多くあります。
家族性に乳がん、卵巣がんを起こすBRCA1、2という遺伝子の変異は、2013年に
アンジェリーナジョリーさんというハリウッド女優がこの変異があるために予防的に
乳腺と卵巣を取ってしまったことで広く知られるようになりましたが、これ以外にもいくつかの
がん遺伝子変異があります。遺伝子変異がなかったらがんにならないというわけでは
ないですが、少なくとも変異のある、がんリスクの高い人では検診回数を増やすとか、
腫瘤が見つかったら早めに生検などの精密検査をやってがんかどうかを確認するといった
手段をとることができます。

いずれにしてもこれをやっておけば安心という検査はまだ存在しないのですが、定期的な
健康診断や診察結果を十分に確認すること、さらに、タバコや過度の肥満といった、
がんのリスク因子を減らす生活習慣を送ることがまずは先決でしょう。

都内にお住まいの方で、検診の受診や個別にご相談されたい方がいらっしゃいましたら、
クリニックへお越しください。

2016/09/20 14:58:12 | コメント (0) | トラックバック (0)

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プロフィール

医師、医学博士。メタボリックシンドロームに精通し、大手製薬会社にメタボ体策健康栄養指導を提供。

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「卵子凍結保存」について
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