2008年度から健康保険組合に義務付けられる、メタボリック対策の健診も担当する「ドクター内山」が、長年の臨床や製薬企業の医療コンサルタントとしての経験を元に健康維持のための様々な情報を気軽に書き綴るブログ

2017年締めくくり


もうすぐ2017年も終わりを迎えますね。
皆様はどんな年越しをお迎えになるのでしょうか?

2017年のできごとで印象に残ったのはやはり6月に乳癌にて闘病中であった小林麻央さんがお亡くなりになったことです。

ステージ4ということでしたので余り長くはと予想はしていましたが、こんなに早く最後が訪れるとは。ご家族や関係者に深く哀悼の意を表したいと思います。

亡くなられた後、乳がん発見後標準的な手術療法を選択せず、民間療法に頼ったのが死期を早めたとかいろいろ議論がありましたが、私は本人が選択したその意思を尊重すべきと思いますし、救命できたかどうかあくまでも確率の話でしかないと思います。

それより私が残念に思うことは、麻央さんが闘病中は乳腺の検診が増えたのに、亡くなって3ヶ月目くらいから途端に乳腺健診者数が減り始めたことです。私のクリニックだけかと思ったら、近隣の大きな病院の健診施設でも同じ現象とのこと。

せっかく麻央さんが注意喚起してくれて健診の重要性が認識されたかと思ったのですが、喉元過ぎればということで、日本人の悪い癖です。健診は定期的にしっかり受けましょう。

もう一つ2017年の科学技術分野の話題でAI、人工頭脳の発達がありましたね。
今やさまざま機器に応用され、AIが更に発達すると人間の仕事を奪ってしまうということまで心配されています。医師は大丈夫でしょうか?

医師は、患者さんを診察する時にまず『問診』といって症状やその経過を聞くのはご存知ですね。
そうすると、医師は頭の中でその症状や経過に当てはまる病気を思い浮かべ、別に思い浮かんだ病気を区別するために検査をします。

その検査結果と症状を合わせて考え、最終的な診断を下し、診断した病気や症状を軽快させるための治療法を選択します。

もうお分かりのように、さまざまな症状と検査結果の組み合わせから可能性のある病気を選び出すのはAIがもっとも得意とするところです。

さらに病気が診断できたら病気そのものや症状を軽快させる薬剤や治療法の選択も、膨大な臨床試験論文の結果を調べて最適な治療法を選択するということにもなりますので、これまたAIの得意科目です。

とすると、AIが発達すると医師は必要なくなるのでしょうか?

すでに高機能AIのひとつであるIBM ワトソンは、このようなドクターの代わりになる機能を持ったものができています。おそらく医師支援者としてドクターワトソンの存在は今後重要性を増すのかも知れません。

このような世の中になった時に、医師に求められるほんとうの役割はいったい何なのだろうと考えている今日この頃です。

2018年を迎えますが、年末年始のお休みの間に自身の身体について、少しでもご心配なことがありましたら、いつでもご相談をお待ちしております。

2017/12/26 10:16:22 | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年の総括


2016年を振り返ると、私の中では遺伝子検査に注力した1年であったように思います。
遺伝子検査は従来から手がけている栄養代謝関連遺伝子の検査を中心に行っていますが、
後半からはGreenChordというがんを含む64疾患遺伝子のリスク判定をする遺伝子検査も
手がけるようになりました。
この遺伝子検査に含まれるがん遺伝子は胃がん、食道がん、大腸がん、乳がん、子宮がん、
前立腺がんなど一般的ながんを網羅しています。多くの人はまだがんを突然降りかかってくる
災いのように捉えていますが、実は多くの場合生活習慣のゆがみから出てくる病気、すなわち
『生活習慣病のひとつ』として考えるべきなのです。
つまり生活習慣を変えることによりがんの発症をコントロールすることも可能だということです。

では、がん遺伝子を調べればがんになる、ならないが、分かるのでしょうか?
残念ながら研究はまだそこまで進んではいません。ただ少なくとも、『その人がかかりやすいがんは何か』、をある程度推測できるようにはなってきました。
『かかりやすいがんを知り、効果的な対策を立る』ということです。

遺伝子解析手法も日々発展していて、10万円程度で30億個ある塩基配列が全部分かって
しまう時代になってきています。ただ、すべての塩基配列がわかってしまうと、すべての遺伝子に
ついてその配列がわかってしまうことになり、不都合な真実、すなわち重大な不治の病気の
変異遺伝子の存在を知ってしまうことにもなります。
倫理学者の中には、もしそのような遺伝子変異があったら、それは知らせるべきではないという
立場を取る人たちがいます。ただこの議論を聞いていると、私は昔のがんの告知を思い
浮かべてしまいます。

私がまだ医者に成り立ての頃は、『がんは告知すべきではない』というのが主流で、ほとんどが
がんであることを偽って治療していました。
「先生、私は本当はがんなのでしょう?」と聞かれて答えに窮したことも何度かありました。
今では考えられないことです。当時はまだ抗がん剤も有効なものが少なく、がんの告知イコール
死の宣告のように受け取られていた時代背景があったからなのかもしれません。

まだ治療が難しいがんも多くありますが、今ではがん治療によって治るがんも出てきている時代です。おそらく遺伝子変異もこれと同じで、ごく近い将来には、個人の情報なのになぜ本人に知らせないのかということになると思います。そのためには遺伝子の持つ情報の意味をしっかりと分かりやすく伝えていくことが医療者のつとめだと考えています。

今後広げていこうとしているニュートリマイスター講座は、ベーシックでは、まずはカラダの仕組みや栄養の働きを知って、健康とは何か、健康な体になるための方法は何かを学んでいただくために作成しました。
将来的にはニュートリマイスターとは医学、栄養学と遺伝子情報を結びつけられる人と定義できるくらいに発展させられればよいと考えております。

2017年も健康で病気にならないカラダづくりに貢献できるよう頑張ってまいります。
ご支援をよろしくお願い致します。

2016/12/26 09:45:32 | コメント (0) | トラックバック (0)

小林麻央さんのブログを読みました

小林麻央さんのブログを読みました。

最初は人間ドックの検査で乳腺に腫瘤があるということで精密検査を勧められ、
精密検査での診断では授乳中の小さなしこりなので心配ないという判断だったことが
書かれていました。

その後知り合いのドクターなどからも心配ないと言われて、8月に再検査の予定が10月に
なったことを悔やんでいる気持ちが書かれています。私も知り合いから相談されると、
つい楽観的な話をしてしまいますが、これを読んで考えてしまいました。
少しでも安心させてあげたいし、かといって確率としてはゼロではないので厳しめの話を
常にすべきなのか・・・悩んでしまいます。

ところで読者の中には、最初の段階できちんと生検して診断をつけなかった最初の専門医を
とんでもないと思う方もいらっしゃるかと思いますが、画像検査で良性と判断されたしこりを
普通は生検しません。また乳がんは一般的に進行がそれほど早くはないがんですので、
半年後に様子を見ましょうというのはごく普通の判断だと思います。麻央さんのように
半年で大きく進行してしまうことは非常に特殊な例です。

最初のごく小さなしこりの段階では、早く進行するがんなのか、ゆっくりのがんなのかの判別は
付きにくく、一般の方は『どうしたらいいの?』と思われる方も多いでしょう。
また昨年話題になった北斗さんの例のようにエコーとマンモグラフィと両方受けていたのに
発見できなかったということで、どんな検診を受けたらいいのというのも悩ましいところです。

一般的にがん検診は年に1回というのが標準ですが、がんの中には一端できると非常に
大きくなるスピードの速いがんがあり、前年の検診では異常なかったのに、見つかった時には
すでに転移していたということもないわけではありません。この1年というタイムスパンは、
一般的ながんを対象として、検診にかかる費用と発見する確率から考えて導き出されたもので、
速いスピードで育つがんはこれでは早期発見というのは難しいことになります。

通常の検診以外で、現段階で参考になるとするとがん遺伝子検査があります。
若くしてがんになる方では、がん抑制遺伝子などに変異を持っている場合が多くあります。
家族性に乳がん、卵巣がんを起こすBRCA1、2という遺伝子の変異は、2013年に
アンジェリーナジョリーさんというハリウッド女優がこの変異があるために予防的に
乳腺と卵巣を取ってしまったことで広く知られるようになりましたが、これ以外にもいくつかの
がん遺伝子変異があります。遺伝子変異がなかったらがんにならないというわけでは
ないですが、少なくとも変異のある、がんリスクの高い人では検診回数を増やすとか、
腫瘤が見つかったら早めに生検などの精密検査をやってがんかどうかを確認するといった
手段をとることができます。

いずれにしてもこれをやっておけば安心という検査はまだ存在しないのですが、定期的な
健康診断や診察結果を十分に確認すること、さらに、タバコや過度の肥満といった、
がんのリスク因子を減らす生活習慣を送ることがまずは先決でしょう。

都内にお住まいの方で、検診の受診や個別にご相談されたい方がいらっしゃいましたら、
クリニックへお越しください。

2016/09/20 14:58:12 | コメント (0) | トラックバック (0)

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プロフィール

医師、医学博士。メタボリックシンドロームに精通し、大手製薬会社にメタボ体策健康栄養指導を提供。

著作一覧

ラジオ出演履歴(2015~2018)

radio_bn.jpg2018年2月13日(火)
「2018年のインフルエンザ」について
radio_bn.jpg2017年10月31日(火)
「2017年のインフルエンザ」について
(ベイFM78.0MHz)
radio_bn.jpg2017年5月9日(火)
「任活」について
(ベイFM78.0MHz)
radio_bn.jpg2017年1月31日(火)
「ノロウィルス」と「インフルエンザ」について
(ベイFM78.0MHz)
radio_bn.jpg2016年11月29日(火)
「インフルエンザ」について
(ベイFM78.0MHz)
radio_bn.jpg2016年8月16日(火)
「夏バテ対策最新情報」について
(ベイFM78.0MHz)
radio_bn.jpg2015年10月6日(火)
「乳がん」について
(ベイFM78.0MHz)
radio_bn.jpg2015年8月18日(火)
「夏バテの時期、気を付けたい病気」について
(ベイFM78.0MHz)
radio_bn.jpg2015年3月3日(火)
「卵子凍結保存」について
(ベイFM78.0MHz)
radio_bn.jpg2015年1月13日(火)
今年1年を健康に過ごすコツ
(ベイFM78.0MHz)

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