2008年度から健康保険組合に義務付けられる、メタボリック対策の健診も担当する「ドクター内山」が、長年の臨床や製薬企業の医療コンサルタントとしての経験を元に健康維持のための様々な情報を気軽に書き綴るブログ

平成25年度(2013年)のインフルエンザワクチンについて

暑かった夏もようやく過ぎ去って、朝夕過ごしやすい日が続くようになりました。時は10月、そろそろインフルエンザの季節が近づいてきています。インフルエンザというと今までこのブログでは、タミフルやリレンザといった治療薬の話をしてきましたので、今回はワクチンの話をしたいと思います。

新型インフルエンザ対策講座
http://www.metabo-help.com/0024.html

インフルエンザという感染症の原因はインフルエンザウイルスというウイルスです。インフルエンザにかからないための予防はマスクに手洗いですが、更に確実に防ぐためにはワクチンが必要です。医療機関での接種はすでに始まっていますので、ワクチンを受けるかどうか迷っていらっしゃる方は以下のお話しをよく読んで決めてください。

一般的にワクチンというのは、ウイルスや病原菌の全部または一部を体内に入れて免疫反応を起こさせ、体の免疫システムに記憶させるためのものです。ウイルスや病原菌の一部が一端免疫システムに記憶されると、二度目にそういった成分が体に入ったときに免疫システムは素早く対応して、排除に向かうことができます。

ワクチンには大きく2種類あります。
ひとつはウイルスの病気を起こす力を最小限に弱めて(弱毒化)、その弱ったウイルスを体に感染させることにより免疫をつける、「弱毒生ワクチン」と言われるワクチンと、もう一つはウイルスを殺して増えないようにしたり、免疫に最適な成分をさらに分割したりといった処理(不活化)をした「不活化ワクチン」です。
当然、生ワクチンの方が自然感染に近いので免疫をつける力は強いのですが、弱毒化したとはいえ、ウイルスは生きていますから、これが増えて悪さをすることが希にあり、副作用もある程度起こります。一方不活化ワクチンは、ウイルスそのものは死んでいますから、体の中で増えることはありません。その分安全性は高いのですが、免疫をつける力は若干弱いといえます。

生ワクチンの代表的なものには今年の春に大流行した風疹のワクチンや麻疹(はしか)のワクチンがあります。また不活化ワクチンで代表的なワクチンがインフルエンザワクチンです。

インフルエンザはHA(ヘマグルチニン)というタンパク成分とNA(ノイラミニダーゼ)というタンパク成分がウイルスの表面に並んでいるので(インフルエンザウイルスの図参照)これを免疫システムのターゲット(抗原)にしてワクチンを作ります。
HAとNAにはいくつかの型があって、これらの組み合わせが毎年変わります。従って去年ワクチンを接種してせっかく免疫システムに覚え込ませても今年流行するインフルエンザの型が違うと免疫システムをくぐり抜けてしまうわけです。

インフルエンザウイルスがやっかいなのは、このように毎年抗原の型を変化させて、免疫をすり抜ける能力を持っているためです。それなら変化しない部分をターゲットにしてワクチンを作ったらどうなの?という意見が出てくるかも知れません。それはまさにおっしゃるとおりなのですが、それがなかなか難しくて、現在各大学や研究所で研究が進められているところです。

通常春先~夏に国の研究機関で今シーズン流行しそうな型を予測して、それに合わせて各ワクチンメーカーはワクチンを製造します。この予測がぴったり当たればワクチン接種で流行が防げますし、あたらなかった場合には感染が広がります。ただ型が大きく変化することは滅多に起こるものではなく、大抵は当たらずといえども遠からずという状態くらいにはなるので、ほとんどの場合ワクチン接種で大流行は防ぐことが出来ます。

子供の場合、初めての型ですとワクチンを1回だけの摂取ではきちんとした免疫システムが出来あがらないので、2回摂取の必要があります。成人では多かれ少なかれ過去にインフルエンザには感染していますので、1回摂取すれば免疫システムのスイッチを入れることが出来ます。

高齢者では何度かインフルエンザにかかっているので、免疫システムが対応するはずですが、免疫システム自体が高齢になると働きが鈍くなります。ですから高齢者ほどしっかりワクチンを接種しておく必要があるわけです。

妊娠している人はインフルエンザにかかったら解熱鎮痛剤など多くの薬剤が使えませんので、ワクチンを接種してしっかり予防しておきましょう。インフルエンザワクチンは不活化ワクチンですので、妊娠していても接種できます。

従来のワクチンにはチメロサールという防腐剤が入っていたのですが、最近ではチメロサールの入っていないワクチンも市販されるようになってきました。若干値段が高いのですが、やはり余分な化学物質は体に入れない方が良いと思います。特に妊婦さんはチメロサールの入っていないワクチンをお勧めします。

ところで以前のコラムでインフルエンザにかかったら、無理して会社に出勤せずに最低3日間は家に閉じこもっていること、それがインフルエンザの流行を防ぐよい手段でもありますと書きましたが、最近発表になったある研究で、あちこち動き回る学生や会社員世代に集団摂取した場合と、家にいることが多い高齢者に摂取した場合でどちらが流行全体を防ぐことが出来るかというシミュレーションを行ったというものがありました。

結果は案の定あちこち動き回る学生や会社員世代にしっかり摂取した方が流行を抑えるという意味では効率的という結論でした。ただこれは集団として見た場合どちらが効率的かという話なので、個人で見た場合は重症化しやすい高齢者に摂取した方が、生命の危機を避けることができますので、より意義が高いようにも思えます。

ワクチンの必要性を議論するとき、疫学研究は欠かせませんが、疫学研究というのはどのような側面から眺めるかで結果の解釈も変わってきますので、新聞雑誌、ネット情報などを見る場合は、いくつかの側面から検討してみる必要がありますね。

2013/10/10 23:11:20 | コメント (0) | トラックバック (0)

本日のラジオ出演について

今年7月にラジオ出演した「熱中症」に続いて、
今朝、10月6日の朝7時30から「POWER BAY MORNING」に出演しました。

ベイFMが聞けない人たちもいらっしゃるかと思いますので、その時お話をまとめてみました。
ぜひ、冬の風邪予防のご参考にしてください。

以下は「POWER BAY MORNING」月曜日、火曜日担当の小島さんとのやり取りです。

これからの寒くなってくる季節、どんな病気に注意すればいいのか?

株式会社アーテイジ代表取締役で医学博士の内山明好(うちやま あきよし)先生に
伺っていきます!もしもし~!おはようございます!よろしくお願いします。

「よろしくお願いします。」

まずは気になる新型インフルエンザ・・・もうすぐワクチンも摂取できるようになりますが・・・
⇒今年は、この新型インフルと、いわゆる従来型の「季節性インフルエンザ」、両方に注意しなければ
 なりません。症状に違いはあるのでしょうか?

「症状はほとんどいっしょで区別はつきませんが、熱が少し高めだったり、
症状が若干強かったりするようです。経過もほとんど一緒です。

ただ新型では妊娠中の人や小さいお子さんなどで重症の肺炎になる人の確率が少し高めですので、
発熱がいつもの年に比べると高めであるとか、症状がきついとか心配な方は、
このシーズンは早めに医療機関で抗インフルエンザ薬をもらった方が安心かもしれませんね。」


⇒病院での検査で、新型は季節性かの見極めはできるものなのでしょうか?

「病院の簡易キットではわからず、ウイルスの遺伝子検査をしないとわかりません。」


⇒インフルエンザの治療薬としては、タミフルとリレンザが知られていますが・・・この2つの薬、
 どんな違いがあるのですか?

「タミフルは内服薬、リレンザは吸入薬です。
吸入薬というのは吸入器具がついていて、カプセルから粉の薬を押し出してそれを吸い込む形になります。
新型ではまだタミフルの耐性ウイルスは出ていませんが、季節性では昨年耐性の問題で騒がれましたね。
吸入薬が使える人はリレンザが安心かもしれません。」

⇒そして、もうすぐ新型インフルエンザのワクチン接種もスタートしますが・・・ワクチンにも『国産』と『輸入』の2種類があります。これはどんな違いが!?「こういう人は国産がいい」「こういう人は輸入がいい」など、あるのですか?

「誰にどちらがよい、ということはありません。
ただ輸入ワクチンの特徴はアジュバンドといって、免疫を増強する物質がワクチンの中に入っています。
その分、ウイルスに抵抗する抗体のでき方もよいので、効果の面では安心なのですが、
若干打ったところが腫れるといった作用が国内ワクチンより強いようです。」

⇒しかし、とにもかくにも、予防にはまずはうがいや手洗い、マスクなどが重要ですよね!?

「そうですね。今シーズンは特に徹底しましょう。」


そしてもう1つ・・・インフルエンザとともに、これから寒くなってくる季節、
注意しておきたい病気や症状というと、どんなものがありますか!?

「寒くなって注意を要するのは心筋梗塞や脳卒中などの血管系の病気です。」


⇒なぜ、寒くなると、血管系の病気に注意、なんですか?

「急に寒い所に出ますと、血管が収縮して血圧が上がりますので、
高血圧、動脈硬化など血管系の病気を抱えている人は心筋梗塞や脳卒中を起こしやすくなります。
特にお年寄りで夜中トイレに行ったりするときが危ない。」

⇒予防法などはあるのでしょうか!?

「ご家族にそんな危険性のある方がいらっしゃる場合は、
廊下とかトイレとかあまり寒くならないような工夫が必要です。
エアコンを弱くてよいので、ずっとつけておく、といったところでしょうか。」


最後に、内山先生から、リスナーに向けて、寒くなってくるこれからの季節、
 病気をしないための過ごし方を教えて下さい!

「風邪のはやるこの季節、免疫強化のために、ビタミンA,C.Eの補強を。
特にカボチャなどは美味しい季節ですし、ビタミンAとEが豊富ですから最適ですね。
それからビタミンCはフルーツからと野菜と果物をしっかり取ってこれからの季節に備えましょう。」

★株式会社アーテイジ代表取締役で医学博士の内山明好(うちやま あきよし)先生でした!
ありがとうございました!またよろしくお願いします!

ということでした。

その後、視聴者の方から、「ご自分のお子さんが新型インフルにかかったようなのだが、
またかかってしまうのだろうか」というご質問がありました。

お答すると、同じ型のインフルにはかかりません。
ただし、新型にかかった後に、従来の季節性インフルにはかかる可能性がありますので、
症状がほとんど同じため、2度かかってしまった、と勘違いされる方があるかもしれません。

正しい知識を持って対策をしっかり行い、今年の風邪を吹き飛ばしましょう!!

2009/10/06 11:52:39 | コメント (0) | トラックバック (0)

新型インフル予防対策~手洗いの重要性について~

新型インフルエンザの感染者数が日に日に増えてきていますね。

先ほど、予防について質問を受けましたので、皆様にもお知らせしたいと思います。

『新型インフル予防として手洗いをしていますが、
どれくらいの頻度ですればよいのでしょうか?』

そもそも、予防の1つとして、手洗いがなぜ重要なのでしょうか?

インフルエンザは、感染している人の咳、くしゃみによる飛沫にウイルスが乗って、
それが感染の元になります。

そういった飛沫が感染している人の手について、
その触ったところをまた触ると感染する というわけです。

従って、危ないところを触ったら、自分の口とか鼻を触る前に
ウェットティッシュなりで手を拭くか、洗うかすれば予防につながるわけです。

『外出から帰ったら手を洗ってうがいをしましょう』、と良くいいますが、
外出中に自分の口や鼻を手で触っていれば、感染の予防にはならないということです。

もちろん家にいる他の家族に移さないという意味では、帰ってからの手洗い、うがいは大事ですが、
自分が感染してしまっては元も子もありません。

予防法はよくその理屈を知った上で実行していきましょう。

2009/05/20 13:35:12 | コメント (0) | トラックバック (0)

新型ブタインフルエンザ その2

インフルエンザウイルスが新型かどうかを判定するのに結構時間がかかっているようです。前回のブログにも書きましたが、ゴールデンウィークに海外旅行に行かれる方は、帰国するときは飛行機に数時間缶詰になることも覚悟した方が良さそうです。

今後この流行がどうなるかはなかなか予想が難しいところですが、少なくとも日本ではこれから高温、多湿の気候状態になってきますので、それほどの大流行にはならないような気がします(これは全く私の個人的予想です)。ただ一端夏の期間に終息はしますが、秋頃にまた復活してくるかもしれません。

今度のウイルスはブタのウイルスですが、基本型はH1N1ですので、ある程度既存のヒト型H1N1と交差反応性があるのではないかと思われます。メキシコで重症患者が多数出ているのは、過去にあまりワクチン接種が行われていないことも原因といわれ、一部では既存のヒト型H1N1ワクチンをメキシコに送って接種を始めたとの情報もあります。従来のヒト型H1N1ワクチンにある程度でも交差反応性があるようでしたら、ちょっとは安心です。この場合は既存ワクチンで誘導される抗体価を、アジュバンド(ワクチンの免疫力を増強する薬剤)などを使って増強してやれば、専用のワクチンをあわてて作らなくてもすむからです。

いずれにしろ、情報がころころ変わっている状況ですので、まだどうなるかわかりません。少なくともWHOがフェーズ5を宣言したので、対策マニュアルのできている企業ではインフルエンザ対策として、感染国から帰国して数日は出社せずに自宅待機で、症状が出ないことを確認することを命ずる会社もあるかもしれません。まだこのような対策マニュアルのできていない会社は連休中に考えておいたほうがよいと思います。何事も先手のリスクマネジメント重要です。

2009/05/01 23:15:33 | コメント (0) | トラックバック (0)

新型ブタインフルエンザ

ついに日本でも新型インフルエンザに感染している患者が確認された、というニュースが飛び交ったと思ったら、今日になって新型ではないことが判明したようです。しかし、高速の遠距離大量輸送が可能な時代ですから、いつ起こってもおかしくない状態です。
またタイミングが大型連休というのも最悪です。おそらく脳天気に(失礼!)海外旅行で感染国にいってもし何らかの接触があると、このウイルスは感染力は強そうですので、感染が起こります。潜伏期間が3日ほどあるので、帰国する頃にはまだ症状が出ず、空港での検疫はすり抜け、自宅に帰った頃に発症、という事態がかなり発生することが推測されます。つまり連休明けが大変になるということです。感染国への旅行を計画している人は中止することをお勧めします。

この新型ウイルスはH1N1のブタウイルスで、これが人への感染力を持つように変異したものです。H1N1型は本来それほど強い毒性を持っているわけではありませんので、なぜメキシコだけあのように死亡者がでているのか不思議です。たとえば、インフルエンザは気温の低い乾燥した時期に流行しますので、メキシコでは同じ型のヒトウイルスがあまりはやったことがなく、多くの人がH1N1の通常のウイルスに対する抗体も持っていないとか、特殊な状況があるのかもしれません。
ただこの新型ウイルスと従来のヒトのH1N1型インフルエンザの抗原性と全く違っているのか、交差反応性があるのかどうか、この辺の情報はまだ詳しくでていないようです。

どの型のウイルスであってもインフルエンザウイルスである限り、呼吸器粘膜への入り方はいっしょですので(詳細は私のインフルエンザブログを見てください)、タミフル、リレンザは有効なはずですし、実際米国ではこの両薬剤への耐性はないことが確認されています。

ただインフルエンザウイルスは変異が速いので、いつなんどきこの冬にはやったような薬剤耐性のインフルエンザウイルスがでないとも限りませんが。

ということで何はともあれ、手洗いにうがいをしっかり、また最近のマスクは高性能になって、ウイルスを除去できるレベルのものも出てきておりますから、そんなマスクを使いましょう。
日本国内でも連休明けに海外旅行組の帰国を境に患者が激増しそうですが、くれぐれもインフルエンザに感染したかと思われたら保健所に連絡して、決して電車などの人混みにでないようにしてください。
連休明け、インフルエンザにかかっているのに無理して出勤するのは絶対にやめてください。

2009/05/01 01:35:53 | コメント (0) | トラックバック (0)

タミフルとリレンザ(抗インフルエンザウィルス剤)

最近メタボはどこへやら、インフルエンザの話ばかりで恐縮です。

タミフルという抗インフルエンザウイルス剤が効かない
インフルエンザウイルスが広がっていることがニュースになっています。

タミフルはインフルエンザウイルスの持つノイラミニダーゼという、
ウイルスが呼吸器粘膜細胞にとりついて侵入し、そこから放出するために
重要な役割を果たす酵素を阻害する内服薬です。

タミフル耐性を持ったウイルスの型はAソ連型(H1N1)です。
今シーズン使用されているインフルエンザワクチンはA香港型、
ソ連型とB型の混合ですので、ワクチンは有効です。
また流行の主流は香港型で、こちらの型にはタミフルは効きますので、
多くの人にはまだタミフルも有効です。

ただ自分のかかったインフルエンザが香港型なのかソ連型なのか、
症状は同じなのでウイルス自体を詳しく調べないとわかりません。
インフルエンザにかかってタミフルを飲んでも、

それがたまたまソ連型だと効かないということもあり得るわけです。
タミフルが効かなかったのでソ連型でしたね、
というのでは後の祭り、笑い話にもなりません。

抗インフルエンザウイルス剤はもう一つリレンザという薬剤があります。
こちらもノイラミニダーゼ阻害薬で作用の仕組みはいっしょなのですが、
なぜかこちらには耐性ウイルスはでておりません。
香港型にもタミフル耐性ソ連型ウイルスにも効果があります。

ただしリレンザは吸入剤です。
吸入器に丸いお薬の入ったディスクを装着して
ボタンを押すと粉末がでて、それを吸い込む形式です。

慣れれば簡単なのですが、
これが面倒という人もいて、タミフルに比べると
あまり処方されていませんでした。
ただし臨床試験での効果はタミフルと同じです。

もしリレンザを使用する場合は吸入器の使用法を
薬局で良く教わってから使用するのがよいでしょう。

おなじ作用のお薬なのに、タミフルには耐性ウイルスが出現して、
リレンザにはでていないという理由はよくわかっていません。

タミフル耐性ウイルスは昨シーズン頃より
ヨーロッパを中心に流行していて、
今シーズンになって日本にも広がったということです。

この耐性獲得はウイルスの突然変異が原因のようで、
使いすぎが原因ということではないようです。

また抗インフルエンザウイルス剤の治療タイミングは
感染後48時間以内と非常に微妙で、
これを過ぎてからの投与では有効性は確認されていません。

このタイミングをすぎてから他の薬剤に切り替えても
効果は期待できません。ですからインフルエンザにかかって、

タミフルを処方され飲んだが、48時間以内に熱が下がらなければ
タミフル耐性のソ連型ウイルスであった可能性もあるということで、
それに気がつく頃にはすでに治療機会を失っているということです。
それでしたら最初からリレンザを使った方がよいですよね。

2009/01/23 13:46:11 | コメント (0) | トラックバック (0)

インフルエンザにかかっってしまったら(町田市の院内感染について思うこと)

東京都町田市の病院でインフルエンザに計112人が集団感染し、
女性患者3人が死亡しました。
東京都がインフルエンザの症状が見られる
病院関係者ら計24人を調査した結果、
患者21人のうち11人が「インフルエンザA香港型」というウイルスのタイプに
感染していたとのことです。

インフルエンザの型については以前のブログで解説しましたので、
お分かりかと思いますが、香港型はA型のH3N2の亜型で、
今年主に流行している型です。
最近抗インフルエンザウイルス薬タミフルの耐性を持っている
ソ連型(H1N1の亜型)がかなり広まっていることが話題になっておりますが、
こちらの病院で感染したのはタミフルの効くタイプだったようです。

ほぼ全員インフルエンザワクチンは接種していたにもかかわらず
3名が死亡したということは、インフルエンザ感染力の強さを物語っています。
これも以前のブログにも書きましたが、
現在のインフルエンザワクチンは感染を未然に防げるほどの
強い免疫力を誘導する力はなく、
感染後の重症化を防ぐことがせいぜいです。

その上、高齢者では免疫力そのものが低下しているので、
ワクチンによる抗体産生を十分誘導できないばかりか、
感染後にウイルスと戦う力も弱いということになり、

どうしても重症化が避けられないことになりますので、手洗い、うがい、
感染した人に近づかないといった予防が
如何に大事かということもこの事件は示しています。

今回誰が感染源になったのかがもうひとつの話題になっていて、
医療関係者(特に病院職員)だということになっております。
会社でもそうですが、インフルエンザにかかっても、
無理して出社してくる人がおりますが、
あれは本当に止めたほうが良いと思います。

がんばっているところを見せたいのか、
仕事に穴が開くのを恐れるあまりかわかりませんが、
自分も重症化するばかりか他の人へ感染させるという迷惑行為になりますので、
インフルエンザにかかったらあきらめて3日間
家で閉じこもって寝ている、これを心がけていただきたいと思います。

また他の社員も明日はわが身と、
インフルエンザにかかった社員を無理に来させることなく、
安心して休めるようにしっかりとしたバックアップ体制を
作り上げておくことが重要です。
香港型やソ連型のインフルエンザ程度でしたらまだ良いですが、
今流行が懸念されている新型インフルエンザが
パンデミック(広範囲に流行すること)になったときには、
家から出ることすら政府により禁止されますので、
今のうちから社内体制を作り上げておくことが重要だと思います。

2009/01/22 13:38:32 | コメント (0) | トラックバック (0)

インフルエンザ感染の仕組みとその予防(4)

インフルエンザウイルスの特効薬はどうやって効くの?

さて抗生剤とは違い、インフルエンザウイルスそのものに
対する特効薬であるタミフルOR(中外製薬)やリレンザOR(グラクソ・スミスクライン)は
このインフルエンザウイルスが持っているノイラミニダーゼの働きを阻害し、
インフルエンザウイルスが細胞の中に入り込んで増えることを
阻止するお薬です(感染の仕組みを思い出しましょう)。

感染の仕組みとその治療(1)
http://www.metabo-help.com/drblog/0004/1_4.html

感染の仕組みとその治療(2)
http://www.metabo-help.com/drblog/0004/2_3.html

これらのお薬は、インフルエンザのかかりはじめに使うのが
効果的というのはこのようなわけです。タミフルは内服薬ですが、
リレンザは吸入薬です。
吸入薬ということでちょっと使いづらい面はありますが、
より直接的に効果が発揮されるという利点があります。
またタミフルは内服薬ということで気軽に多く使われすぎたためか、
最近はタミフルが効かない耐性ウイルスも出てきています。
また2,3年前よりタミフルを使用すると突然歩き回ったり、
中には2階から飛び降りてしまったりという異常行動が相次いで報告され(後にリレンザでも報告)、クスリの副作用ではないかと疑われました。
しかし詳細な調査により、これらの異常行動はお薬の副作用というよりは
インフルエンザそのものによる症状であると結論されました。

しかしお薬の副作用であるかどうかにかかわらず、
インフルエンザにかかるとこういった異常行動を起こすことがあるので、
これらのお薬を使う場合はお医者さんや薬局での注意をしっかり守って、
特にお子さんの場合には熱の高い時期は異常行動を起こすことがあるので、
目を離さないように気をつけてあげてください。

結局予防が一番!
もっともこれらのお薬を使わないでも済むように、
しっかり予防するのが一番です。
寒い時期はマスクで呼吸器の湿度と温度を保って、
またウイルスの入った飛沫をひろってもうがいで流し、
手洗いを十分にすることが予防になります。
緑茶に含まれるカテキンは抗ウイルス効果があるといわれています。
中には緑茶でうがいをする人もいますが、飲めばその他の効果もありますから、
うがいは水で、その後緑茶を飲めばよいでしょう。
粘膜を丈夫にするビタミンも重要です
(風邪予防のビタミンについては
サプリメントサンプル館のヘルスステーションをご覧ください)。

ということでこの冬はがんばって風邪予防をするぞ!

2008/12/26 11:45:19 | コメント (0) | トラックバック (0)

インフルエンザ感染の仕組みとその治療(その3)

お医者さんはなぜ抗生剤をくれるの?

ウイルスにすっかり占拠された粘膜細胞は、
今度は病原細菌などのバリアの役割を果たせなくなり、
免疫力が落ちていたり、体力がなかったりすると
とたんに気管支炎や肺炎を起こして
危険な状態になってしまいます。

風邪を引いてお医者さんにかかると抗生剤を処方されますが、
抗生剤がウイルスをやっつけるわけではなく、
その後に起こるかもしれない細菌感染を予防するために
使ってくださいというわけです。

ただ私の意見としては通常元気な大人は
抗生剤を使う必要はないと思います。

2008/12/25 11:13:04 | コメント (0) | トラックバック (0)

インフルエンザ感染の仕組みとその治療(その2)

インフルエンザはどうやって伝染するの?

粘膜細胞内でウイルスタンパクができますと、
今度は粘膜細胞膜から芽が出るようにウイルス粒子が
外に飛び出していきます。
インフルエンザウイルスはこのように自分の子孫を残そうとするのです。
体の免疫機構が感染した粘膜細胞をおかしいと感知すると、
免疫細胞や抗体などがウイルスやその感染した細胞を
排除しようと働いて炎症を起こします。

これが結果として喉の腫れや咳、くしゃみ、鼻水などの症状となって現れるわけです。

ここでくしゃみや咳ででる飛沫に乗って外に出たインフルエンザウイルスは、
他の人の呼吸器粘膜にとりついて伝染が始まります。
予防にうがいや手洗い、マスクがなぜ重要なのかがわかりますね。

2008/12/24 11:19:43 | コメント (0) | トラックバック (0)

インフルエンザ感染の仕組みとその治療(その1)

インフルエンザはどうやって感染するの?

さてインフルエンザウイルスは呼吸器粘膜にとりついても、
粘膜細胞の表面にある粘液に邪魔されると細胞に到達できません。
空気が乾燥して、呼吸器粘膜上の粘液が少なくなると
ウイルスは動きやすくなります。

空気が乾燥する冬の時期にインフルエンザが流行するのはこのためです。

粘液中の糖鎖にあるシアル酸と、
ウイルスの外側にあるヘマグルチニン
(インフルエンザウイルス模式図のHA)の突起がまずくっつきます。
くっついたままですとウイルス同士も結合して
粘膜細胞に到達できませんので、
ここで同じくウイルス表面に並んだノイラミニダーゼ(模式図のNA)という
酵素が働いて、シアル酸と糖鎖を切り離してウイルスが
粘膜細胞に到達するのを助けます。粘膜細胞に到達するとウイルスは、
今度は細胞膜にあるシアル酸にくっついて細胞の中に入り込んでいきます。
インフルエンザウイルスは
(-)鎖RNAウイルス(ウイルスの中に自分自身を作り出す設計図として
RNAを持っている)ですから、
ウイルス自身が持っているRNA合成酵素を使って、
メッセンジャーRNA(アミノ酸を組み合わせてタンパク質を合成するRNA)をまずつくり、
それからウイルスタンパクを合成します。
(参考までに(+)鎖RNAウイルスというのは、
ウイルスの持っているRNAがメッセンジャーRNAそのもので、
細胞に入り込むと即タンパク質を合成できるウイルスです)。

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明日は伝染の仕方についてお話します。

2008/12/22 14:05:59 | コメント (0) | トラックバック (0)

トリインフルエンザ(3)

感染症が大流行することをパンデミック
(広範囲に伝搬するという意味)といいますが、
このパンデミックの状態になってしまってからワクチンを作ると
6ヶ月以上かかるので、パンデミックの前の状態、
すなわちプレパンデミックの時に作っておくのが
プレパンデミックワクチンです。

最近よくパンデミックワクチンとして報道されているのが
このH5N1トリインフルエンザウイルスワクチンなのですが、
正確にはプレパンデミックワクチンです。
(もっともパンデミックを予想して作っているので、
その意味ではパンデミックワクチンですから、
ややこしいのでここではパンデミックワクチンということにします。)

もっとも、本当にH5N1トリインフルエンザウイルスが
パンデミックを起こすかどうかはまだわからず、
肩すかしを食ってまったく別のウイルスが
パンデミックになることもあり得るわけで、その時に備えて、
新たなウイルスで流行が始まっても、
そのウイルスに対抗するワクチンを
短期間で作れるようにする研究も進んでいます。

H5N1型トリインフルエンザウイルスが
ヒトへの感染性を完全に獲得すると、大流行を起こす可能性があるため、
パンデミックワクチンとして、製造され、備蓄されているのが
このウイルスに対するワクチンです。
ただしこのワクチン備蓄は1000万人分程度しかなく、
流行の兆しが認められたときにはインフルエンザに感染すると
重症化しやすい高齢者や小児、流行時に治療などに対応する医療関係者、
政府関係者へ優先的に摂取が行われることになっています。

現在のワクチンは国内メーカーのみのものですが、
量的には不十分なため海外メーカーのものも輸入すべく、
臨床試験をはじめとする準備が進められております。

さて、現在みなさんが受けているワクチンはこのワクチンではなく、
H1N1(Aソ連型)、H3N2(A香港型)、B型の混合です。
私の友人で、昨年ワクチンをうったのにしっかりかかってしまったので、
今年はうたないことにした、ということをいっている人がおります。
間違わないで欲しいのは、
ワクチンというのはインフルエンザにかからなくするためのものではなく、
かかっても重症化させないために使います。

もちろんウイルスに対抗する抗体が非常にたくさん誘導されれば
感染には至らないということがあるかもしれませんが、
インフルエンザワクチンは元来それほど強い免疫を誘導できるわけではありません。
ですからワクチンを打っても予防は大事ということです。
風邪予防の食生活やサプリメントについては
サプリメントサンプル館のヘルスステーションで詳しく解説しておりますので、
是非そちらもご覧ください。

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2008/12/18 11:06:35 | コメント (0) | トラックバック (0)

トリインフルエンザについて(2)

A型のインフルエンザウイルスは亜型がたくさんあり、
ウイルス表面にある特殊な糖タンパク質で区別されています。

糖タンパク質はH(ヘマグルチニン:血球凝集素タンパク質)と
N(ノイラミニダーゼタンパク質)とに分けられ、
Hは16種類、Nは9種類あります。

分離されたウイルスはその型によって
H1N1とかH3N2とかと呼ばれます。
この表面の糖タンパク質が常に一定であれば、
一度感染してしまうと免疫細胞が記憶して
二度と感染することはないのですが、
インフルエンザウイルスの場合、毎年のように
この表面の糖タンパク質が変化するために
免疫細胞から逃れてしまうのです。

インフルエンザウイルスの流行にはトリとブタが大きな役割を果たします。
トリの中でも広範囲に移動する渡りガモが重要と考えられています。

今まではトリインフルエンザウイルスが変化してブタが感染し、
ブタから変化してヒトに感染するようになることが一般的でした。

ところが1997年に
香港でトリインフルエンザウイルスに18人が感染し、6人が死亡しました。
このときのトリインフルエンザウイルスはH5N1型で、
通常はヒトには感染しないタイプのものでした。
これは一端収まったのですが、2003年末から2004年にかけて、
東南アジアのいくつかの国で
ニワトリに大規模な集団感染が再び起こってしまいました。
この時もH5N1トリインフルエンザウイルスで、
34人に感染して24人が死亡するという非常に致死率が高かったため、
一挙に危機感が高まりました。

現在、このウイルスのヒトへの感染能力は高くありませんが、
もしヒトへの感染性を強く示すようになると大流行の危険性があるため、
各国で警戒が強まっています。

2008/12/17 10:26:43 | コメント (0) | トラックバック (0)

トリインフルエンザについて(1)

冬になって風邪が本格的になってきました。
風邪はいろいろなウイルスによって起こりますが、
中でも症状が重いのがインフルエンザウイルスによる風邪です。

今日から三日間にわたって、インフルエンザについてお話をしたいと思います。

インフルエンザウイルスはまず喉や鼻の粘膜にとりついてそこで増殖します。
それぞれの感染性ウイルスには臓器特異性というのがあります。

たとえば肝炎ウイルスは肝臓しか感染しませんし、
エイズウイルスもリンパ球という血液の細胞にしか感染しません。
インフルエンザウイルスにとっては呼吸器粘膜が絶好の増殖場所です。
ウイルスは呼吸器粘膜にとりついて増殖し、
とりつかれた喉や鼻は免疫反応を起こしてウイルスを除去しようとします。
この反応により喉が腫れたり、くしゃみ、鼻水、咳が出たりするのです。

くしゃみや咳によってはき出された細かい飛沫にウイルスが乗って、
今度はこれを吸い込んだ他のヒトに伝染します。
ですから予防としては、まず、うがいをしたり手を洗ったりすることが重要となります。

インフルエンザウイルスは大きくA型、B型、C型の3種類ありますが、
流行を起こすのはほとんどがA型です。

B型、C型はヒトのみに存在しますが、
A型はトリとかブタとかいろいろな動物に存在します。
通常はトリのウイルスはトリだけ、ブタのウイルスはブタだけなのですが、
インフルエンザウイルスは変化しやすく、
動物種を超えて感染を起こすことがあるため大きな問題となります。

2008/12/16 11:24:42 | コメント (0) | トラックバック (0)

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