2008年度から健康保険組合に義務付けられる、メタボリック対策の健診も担当する「ドクター内山」が、長年の臨床や製薬企業の医療コンサルタントとしての経験を元に健康維持のための様々な情報を気軽に書き綴るブログ

心よりお見舞いを申し上げます

東北地方太平洋沖地震およびそれに伴う津波により多くの犠牲者が出てしまいました。
お亡くなりになられた方のご冥福をお祈り致しますとともに、
ご家族やご親戚の無事の確認が一刻も早く進みますことを心より願っております。

災害時に起こり得る症状と対処方法をまとめてみましたので、ご参照ください。

<擦り傷、切り傷などの怪我について>
津波で流された場合は海水とはいえ汚染されていますので、
傷ができたら一刻も早くきれいな水で洗い流すことが重要です。
飲料水もない中できれいな水を確保すること自体難しいかも知れませんが、
初期治療が大事であるということを忘れないでください。

◆対処方法◆
一刻も早くきれいな水で洗い流すことが重要。


<低体温について>
濡れている衣服で外気が冷えますと、体温が奪われ低体温となります。

・震えについて
はじめはがたがたと震えがきますが、これは筋肉が小刻みに収縮して熱を産生しているためです。

・震えが止まる
震えが止まってぐったりします。この状態になってしまいますと意識ももうろうとなり、一挙に体温が下降します。

・体温が30度以下になる
不整脈が起こりやすくなり、ときには重症の不整脈を起こして亡くなる方も出てきますので、要注意です。

◆対処方法◆
濡れている衣服を乾いたものに換える、火をたいて暖を取る、温水を入れた容器を脇の下などにはさむ等の処置が必要になります。


<骨折について>
家屋の倒壊などに巻き込まれて手や足を挟まれ骨折する方も多いですので、すみやかに骨折部を動かない処置をすることが大切です。

◆対処方法◆
何か支えになる板とか棒とかを骨折部に当て、骨折部が動かないようにします。骨は折れていてもその部分が動かなければ痛くはないので、骨折部が動かないようにする工夫が重要です。そのときに板や棒を縛る材料は、タオルとかなるべく太いものを使ってください。細いひもですと骨折部が腫れて皮膚に食い込み、後で筋肉や神経などに障害が残ることがあります。

<出血している>

・皮膚が切れて出血している

◆対処方法◆
よく出血部より心臓に近いところをぎゅっと縛る、といった間違った処置法を書いた家庭医学書や
救急の本がありますが、それは太い動脈が切れて吹き出すような大出血の場合に必要となる処置で、
通常の出血はしっかり抑えることで十分です。
それにタオルで腕や足の根もとを通常の力で締めたくらいでは、動脈は止まりません。
誤解のないよう、ご注意ください。


<慢性疾患を患っている方、その周囲の方>

今回のような広範囲の災害になりますと、薬の供給が止まってしまい、
また家庭の常備薬もなくなってしまった場合に、慢性疾患を持っていらっしゃる患者さんは不安になります。
このような場合にはパニックにならずとも大丈夫です。
多くの場合、このような異常な環境では、体もストレス反応を起こしてきて、
いつもと代謝が変わってきます。

ストレスホルモンの影響で数日間は薬が無くとも無事に過ごせます。
逆に、たとえば糖尿病の患者さんが食事もままならない状況で、血糖値を下げるお薬を
定期的に飲んだとしますと、低血糖発作を起こす可能性が出てきます。
このような状況ではあわてずにしばらく薬を飲まずに様子を見て、
お医者さんの診察を受けてから薬を再開することを心がけてください。


災害では怪我がつきものです。
ほっておきますと、後になって大変なことになりますので、最初の処置はできるだけ注意したいものです。
十分な資材が不足しているため大変かとは思いますが、
応急処置や対処方法についの基礎知識があれば、現場で工夫することもできるかと思いますので、
少しでもお役にたてれば幸いです。

2011/03/17 12:29:22 | コメント (0) | トラックバック (0)

リウマチ患者さんの夢

先週後半から神戸で開催された日本リウマチ学会に行ってきました。
学会の名前は「リウマチ」ですが、対象となっている病気は関節リウマチだけでなく、
いわゆる膠原(こうげん)病、自己免疫疾患に入る病気全般です。
メタボヘルプ.comの読者の皆さまの中にリウマチ患者さんがどの程度いらっしゃるかわかりませんが、
少し関節リウマチ治療の話を書いてみます。

昔、私が診ていた関節リウマチの患者さんからお聞きした、今でも記憶に残っているお話があります。
それは「ある朝、目が覚めたら関節の痛みがすっかりよくなっていた、という夢を何度も見るのです」という
お話です。
昨今、関節リウマチの治療法は劇的な変化を遂げていて、今ならかつてのあの患者さんの夢も
かなえてあげられる、今回の学会ではそんなことを強く印象づけられました。

関節リウマチは、かつては副腎皮質ステロイド剤、
消炎鎮痛剤といくつかの抗リウマチ薬といわれる薬剤で治療が行われていました。
抗リウマチ薬というと関節リウマチの特効薬のように聞こえますが、
有効率は低く、また副作用も強いため使い方が難しい薬剤で、
基本的には副腎皮質ステロイド剤を中心に関節痛に合わせて消炎鎮痛剤を使い、
これで痛みのコントロールが難しい患者さんでは抗リウマチ薬を組み合わせて使うといったところでした。

したがって関節リウマチの患者さんは、病気を完全にはコントロール出来ず、
長年にわたって関節が壊れていき、手足の変形や膝、
股関節といった大きな関節が壊れると歩行もままならない状態になることも多かったのです。

ところが2000年代に入り、関節リウマチ治療の役者が変わってきました。
1960年代に白血病の薬として開発されたメトトレキサートが関節リウマチに
有効であることが海外で報告され、抗リウマチ薬の標準薬として国内でも広く使われるようになりました。

またTNF-αという、炎症を起こした組織から分泌され、
いろいろな細胞に悪さをする物質(細胞を刺激する物質という意味でこの手の物質をサイトカインといいます)を特異的にやっつける抗体が開発され、これが関節リウマチに大変有効であることがわかってきました。

また同じく炎症を起こした組織から出てくるIL-6というサイトカインの抗体も有効であることがわかり、
これらの薬剤(生物製剤と総称されています)が国内でも関節リウマチの治療に多く使われるようになってきました。

今回の学会では5年程度の長期間の治療成績を含めて、
これらの生物製剤を使った治療成績の発表が多くありましたが、
副腎皮質ステロイド剤を中心に治療していた頃に比較すると、格段に治療成績がよくなってきています。

日常生活でもほとんど支障がなくなり、関節が壊れていくことも抑えられるとか、
一部の患者さんでは薬の使用も止められた、という報告も出てきています。

このように生物製剤は関節リウマチ患者さんに劇的な治療効果をもたらしますが、
注射時に風邪症状や蕁麻疹、ひどいときには血圧が下がってショック状態になるといった
副作用もありますので、どんな医療機関でも気軽に使うわけにはいかないといったところが現状です。

また薬剤が高価なので、健康保険での3割負担でもけっこうな金額になるため、
効果が高いことはわかっていても、患者さんの負担を考えると、
お医者さんの中には広く一般的に使うことをためらう方も多いようです。

新しい治療薬により、関節リウマチ患者さんの関節が壊れていくのを抑えることができるというのは、
リウマチ患者さんはもちろん、リウマチ治療に携わるドクターにとっても長年の夢でしたから、
いよいよそんな時代に入ってきたな、という実感が得られた学会でした。

2010/04/26 09:43:23 | コメント (0) | トラックバック (0)

インフォームドコンセントとセカンドオピニオン

病気になって病院を訪れるとき、
いろいろと耳新しい言葉に触れることと思います。そんな不安を解消するため、
聞き慣れない言葉を解説します。

第1回目はインフォームドコンセントとセカンドオピニオンについて。

インフォームドコンセントという言葉をご存知でしょうか。

一般には「説明と同意」と訳されます。
病院で手術を受けた方はわかると思いますが、
手術前に主治医から説明を受け、いくつかの選択肢を提示され、
その上で手術承諾書に署名します。これをインフォームドコンセントといいます。

医療上の処置を行う際には必要なプロセスです。
ただし「説明と同意」という日本語は必ずしも正しくはなく、
本来の姿は「納得と同意」です。きちんと説明を受けることはもちろんですが、
その説明内容に納得しなければ、
本当の意味でのインフォームドコンセントになりません。

一昔前のお医者さんは「俺に任せておけ」、
ということでほとんど内容の説明もせず、
手術や処置をやっていました。
最近ではきちんと内容を説明し、他の治療法はないか、
その治療法と手術どちらがどの程度のメリットがあるのか、
など事細かに説明し、さあどうします?どちらを選びますか?
と結論を求められます。

患者さんやそのご家族の自由意思に基づく選択であることが不可欠ですが、
患者さん側には通常それほど医学的知識があるわけではないので、
お医者さんから言われると質問はおろか、反論すらほとんど不可能でしょう。
そこで必要なのがセカンドオピニオンという制度です。

これはインフォームドコンセントで、説明をしてくれた
お医者さん以外のお医者さんに意見を聞くことを言います。
ところが、セカンドオピニオンを求めるために、
検査データの貸し出しを頼んだりすると、とたんに機嫌が悪くなり、
「どうなっても知らない」と脅かしたりするお医者さんもいるので困ったものです。
まあ、説明したお医者さんからすれば、
俺を信用できないのか、と言いたい気持ちも判らんでもありませんが、
患者さんからすれば後遺障害が残ったり、
命に関わることだってあるわけですから、簡単にお任せしますとは言えませんよね。

もっとも患者さんがセカンドオピニオンを聞きたいので、
と言った時に機嫌が悪くなるようなお医者さんはお任せしない方が良い、
というのも一般論としては正しいものです。

もし自分の意見が医学的に最良の結論だと自信があれば、

誰にその意見を披露しても良いはずですから。

2009/02/05 14:55:19 | コメント (0) | トラックバック (0)

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プロフィール

医師、医学博士。メタボリックシンドロームに精通し、大手製薬会社にメタボ体策健康栄養指導を提供。

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「インフルエンザ」について
(ベイFM78.0MHz)
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「卵子凍結保存」について
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radio_bn.jpg2015年1月13日(火)
今年1年を健康に過ごすコツ
(ベイFM78.0MHz)

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